先週は、珍しく多忙でした2015年12月14日 15:08

 先週は、7日(月)に東京で、「労災保険審査参与勉強会」があり、10日からは、「第23回産業ストレス学会」に参加のため京都に行くと言うことで、8日の午後と、9日しかいませんでした。
 特段ご不便をかけたことはないと思いますが、すみませんでした。

 ところで、「労災保険審査参与勉強会」は連合になって初めて開催されました。しかも突然。
 それで、まあどんなもんかいなぁという様子見程度の気持ちで参加しましたが、半分あたり、半分予想外によかったというものです。

 まず、労災保険審査参与というものから説明しないとよくわからないと思いますので、解説します。
 労災保険は、いわゆる「労働保険」に含まれます。労働保険は労災保険と、雇用保険が合わさったものですが、雇用保険は労使半々が原則に対し、労災保険は使側の全額負担です。なぜなら、労働基準法75条から88条に基づき、労働災害への補償は、使用者が行うべきものだからです。当たり前ですけど、労働者が好きで労働災害に遭うわけがないので、使用者がその治療から生活保障、後遺障害補償などの全てを行うのですが、経営力によっては、十分行われない可能性がありますので、「労働者災害補償保険法」によって、国が主管する保険制度が作られています。

 そこで、国の行政ですから、もしその決定に不満がある場合は、「行政不服審査法」によって取消訴訟を行うことになるのですが、期間と費用の節約のため、労働者災害補償保険法に「不服審査」制度を設けています。ですから不服審査には一切経費はかかりませんが、行政処分である「決定」に対し、いきなり取消訴訟は提起できず、中央審査会の決定後や、申請から60日経過後などに訴訟提起できるといういわゆる前置主義がとられています。
 ごちゃごちゃと解りづらいかもしれませんが、要するに、労働基準監督署の判断が「一審」であり、労働局(都道府県に設置)の審査官が「二審」、中央不服審査会が「三審」という形になっています。

 問題は、「二審」が一番大きいのですが、なぜなら、労働局の審査官は、位置づけは行政から独立となっていますが、もともと行政マンであり「行政通達」の束縛を受けるため、「一審(監督署)」の判断について全く違法であるか、特別な事実が出てこない限り、追認しかないからです。しかも、審査官は労働基準監督官(司法権を有する)ではなく、事務官が大多数で、労災保険の取り扱いには詳しくても、特に世の中に詳しいわけではありません。さらに、彼らの口からよく出てくるのは、「労災保険は使側の全額負担だからなぁ」と言うことで、したがって、使側の都合に傾きやすいと言うことを平気で言います。つまり誰が見ても原因は使側にある(たとえば腕や指を機械で挟んだなど目に見える災害)以外は、特別の証拠がなければ、「業務外」として不支給決定する率が高いわけです。
 参与は、この労働局の審査官にたいし、労使慣行などについて意見を言うことができ、その意見は「尊重される」ことになっているのですが、これがなかなか。参与は労使2名ずつですが、使側の参与はほとんど、原処分(監督署の業務外決定)に賛同しますから。
 しかも、参与は守秘義務を負っていて、さらに当該案件についての新たな調査権限はありませんから、出てくる資料のなかで意見を言うことになりますけど、たとえば同僚からの申述についても、会社側が箝口令を引いたりすると、果たして真実かどうか、大変怪しいと言うことになります。そういう事例は実に多く見られます。労働側が再調査を要求しても、使側の参与が「棄却相当」と言ってしまうとほとんど再調査などやりません。

 そして、支給と不支給がどのくらいの比率かなどのデータは公表されていませんので、わかりません。データで公表されているのは、届け出義務のある「休業4日以上の死傷災害」の数です。H26で12万件位なのですが、H25の労災保険「新規受給者数」は60万人ですから、どうひっくり返しても、この関係がわかりません。
 どなたかわかる方がいたら教えてください。

 といっても、データは別にして世の中は進んでいきます。
 「勉強会」ですけど、内容がどうだったかは、もうすぐ終業時間ですので、明日にしましょうね。
 じゃんじゃん。