大人のための研修デザイン その6 最終回 ― 2016年09月15日 11:20
第6回「後は現場まかせ?無責任なやりっぱなし研修」
○研修が「やりっぱなし」になる理由
研修の目的は学んだことを実践して、諸活動に生かすことです。つまり、仕事や運動に必要な知識や行動を身につけ、実際の現場で成果を出すことが求められています。
しかし、どういうわけか、多くの場合は「研修は研修、仕事は仕事、(運動は運動)」と、研修と仕事(運動)とが別のものとして扱われていることがあります。なぜ、研修と実際の現場との間にこうした隔たりがあるのでしょうか。
その理由は、研修を実施する側と、研修を受ける側とのそれぞれに「貴重な時間を使った研修なのだから、その成果を仕事に役立てなければならない」という意識が欠けていることです。
まず、研修を実施する担当者は「自分たちの仕事は、研修を実施するところまでだ」と考えていることが多く、研修で学んだことを職場で実行することについては「参加者、あるいは、職場(運動)をマネジメントする上司(役員)の仕事だ」と、丸投げされているのです。
一方で、研修の参加者も「研修で学んだ知識や情報が、職場ですぐに役立つとは限らない」とか「忙しいので、研修で学んだことを実践している暇がない」などと考えており、研修で学んだことを積極的に職場に生かそうという意欲が低いのです。
つまり、厳しい言い方をすると、こうした状況が続く限り、研修をいくら実施しても参加者の行動は変わらず、仕事の成果にはつながらないのです。
○参加者の「行動変容」が研修の成否を分ける
研修の本来の成果を達成するためには、研修が終わった後の参加者の行動をどのように変えていくか、つまり、どのように行動変容を促していくかとを考えた上で、研修を設計する必要があります。
研修で学んだことを実践につなげるためには、① 実践しやすい環境を作る、② 継続しやすい環境を作ることが大切です。そのためには、職場研修では参加者の上司(職場の管理者)の協力が、労働組合研修・学習では参加できなかった人を含めた職場全体の意思統一が欠かせません。
そのためには、事前に職場と話をしておき、職場のニーズに耳を傾けるようにします。職場がどのような問題を感じているか、また、どんな行動をとって欲しいと思っているかを聞き出します。そして、研修の内容が、職場の業務内容や達成目標とどのように関連しているのか、研修で得た知識を職場の行動にどのように生かせば良いのかを明確にしていきます。
また、行動変容が起きるまで研修を終わらせない構成にする方法も考えられます。研修後の行動の変化についてフォローアップを続けるのです。本人からの自己申告でもいいですが、第三者に評価してもらうようにするとさらに効果的です。研修直後はうまく行動を起こすことができても、その後、また元に戻ってしまうこともあるため、2~3ヶ月おきに、2~3度繰り返すと確実です。
○フォローアップ研修を行うと効果的
研修後の行動を定着させるために有効な方法は、数週間後にフォローアップ研修を開催することです。フォローアップ研修では、前回と同じメンバーが集まり、お互いの行動計画の状況を報告し合い、それを振り返ってもらって、新たな気づきを得る、という、経験学習のプロセスをうながします。
または、オンラインの掲示板や、メールなどを利用して、バーチャルに研修を継続するという方法もあります。そのためには、参加者が積極的に連絡を取りあって意見交換を行えるよう、研修の事務局が積極的に働きかけ、掲示板の書き込みの管理や、議論のファシリテーションなどを行わなければなりません。
○うまく行動できなくてもいい理由とは
大人の学習には、経験から学ぶことがとても大きな意味を持ちます。たとえ、うまく行動できなかったとしても、それは失敗ではありません。やろうと思っても行動できなかった、行動してみたけれど、思うような結果が出なかった、こうした経験すべてが学びのヒントになります。
うまく行動できた場合は、なぜうまくいったのかを振り返り、うまく行動できなかった場合には、なぜうまくいかなかったのかを振り返ります。そこから新たな気づきを得て、次の実践につなげることができれば、それこそが成功なのです。こうした経験学習のプロセスをうまく回していくことが、研修の効果をより高めてくれます。
(終わり)
○研修が「やりっぱなし」になる理由
研修の目的は学んだことを実践して、諸活動に生かすことです。つまり、仕事や運動に必要な知識や行動を身につけ、実際の現場で成果を出すことが求められています。
しかし、どういうわけか、多くの場合は「研修は研修、仕事は仕事、(運動は運動)」と、研修と仕事(運動)とが別のものとして扱われていることがあります。なぜ、研修と実際の現場との間にこうした隔たりがあるのでしょうか。
その理由は、研修を実施する側と、研修を受ける側とのそれぞれに「貴重な時間を使った研修なのだから、その成果を仕事に役立てなければならない」という意識が欠けていることです。
まず、研修を実施する担当者は「自分たちの仕事は、研修を実施するところまでだ」と考えていることが多く、研修で学んだことを職場で実行することについては「参加者、あるいは、職場(運動)をマネジメントする上司(役員)の仕事だ」と、丸投げされているのです。
一方で、研修の参加者も「研修で学んだ知識や情報が、職場ですぐに役立つとは限らない」とか「忙しいので、研修で学んだことを実践している暇がない」などと考えており、研修で学んだことを積極的に職場に生かそうという意欲が低いのです。
つまり、厳しい言い方をすると、こうした状況が続く限り、研修をいくら実施しても参加者の行動は変わらず、仕事の成果にはつながらないのです。
○参加者の「行動変容」が研修の成否を分ける
研修の本来の成果を達成するためには、研修が終わった後の参加者の行動をどのように変えていくか、つまり、どのように行動変容を促していくかとを考えた上で、研修を設計する必要があります。
研修で学んだことを実践につなげるためには、① 実践しやすい環境を作る、② 継続しやすい環境を作ることが大切です。そのためには、職場研修では参加者の上司(職場の管理者)の協力が、労働組合研修・学習では参加できなかった人を含めた職場全体の意思統一が欠かせません。
そのためには、事前に職場と話をしておき、職場のニーズに耳を傾けるようにします。職場がどのような問題を感じているか、また、どんな行動をとって欲しいと思っているかを聞き出します。そして、研修の内容が、職場の業務内容や達成目標とどのように関連しているのか、研修で得た知識を職場の行動にどのように生かせば良いのかを明確にしていきます。
また、行動変容が起きるまで研修を終わらせない構成にする方法も考えられます。研修後の行動の変化についてフォローアップを続けるのです。本人からの自己申告でもいいですが、第三者に評価してもらうようにするとさらに効果的です。研修直後はうまく行動を起こすことができても、その後、また元に戻ってしまうこともあるため、2~3ヶ月おきに、2~3度繰り返すと確実です。
○フォローアップ研修を行うと効果的
研修後の行動を定着させるために有効な方法は、数週間後にフォローアップ研修を開催することです。フォローアップ研修では、前回と同じメンバーが集まり、お互いの行動計画の状況を報告し合い、それを振り返ってもらって、新たな気づきを得る、という、経験学習のプロセスをうながします。
または、オンラインの掲示板や、メールなどを利用して、バーチャルに研修を継続するという方法もあります。そのためには、参加者が積極的に連絡を取りあって意見交換を行えるよう、研修の事務局が積極的に働きかけ、掲示板の書き込みの管理や、議論のファシリテーションなどを行わなければなりません。
○うまく行動できなくてもいい理由とは
大人の学習には、経験から学ぶことがとても大きな意味を持ちます。たとえ、うまく行動できなかったとしても、それは失敗ではありません。やろうと思っても行動できなかった、行動してみたけれど、思うような結果が出なかった、こうした経験すべてが学びのヒントになります。
うまく行動できた場合は、なぜうまくいったのかを振り返り、うまく行動できなかった場合には、なぜうまくいかなかったのかを振り返ります。そこから新たな気づきを得て、次の実践につなげることができれば、それこそが成功なのです。こうした経験学習のプロセスをうまく回していくことが、研修の効果をより高めてくれます。
(終わり)
アンガーマネジメントと上司の器 ― 2016年09月30日 10:11
(アンガーマネジメント協会 ブログ より)
長い人生で出会う人の数は、平均3万人ともいわれています。ビジネスパーソンにとって、その多くは仕事の関係で出会う人かもしれません。起きている時間の大部分を職場で過ごすビジネスパーソンが、職場でどんな人と一緒に働くか、ということは大きな要因です。
とくに、若いときの上司や先輩に影響を受けた、とおっしゃる人は多く、自分が新人のときに、どのように育ててもらったか、ということが、自分の部下育成に大きく影響を受けている方もいらっしゃるようです。
◆怒りが生まれる3段階
アンガーマネジメントでは、怒りは瞬間的に生まれるものではなく、怒りが生まれる仕組みがあると考えます。人は瞬間的に怒るのではなく、必ず次の3ステップを経て怒るようにできています。
(1)「出来事に出会う」
(2)「意味づけを行う」
(3)「怒りの感情が生まれる」
同じ出来事に出会ったとしても、「意味づけ」は人それぞれ違います。 同じ出来事でも、腹立たしいととらえることも、楽しい・笑える・可愛いもんだととらえることもできるのです。
◆怒って育てるか、笑って育てるか
「お客様に日本茶をお出しして」と指示を受けた新人秘書。お茶の淹れ方がわからず、ティースプーン一杯ずつの茶葉を各々の湯飲みに入れ、お湯を注ぐ、というインスタントコーヒーさながらの技を進行していました。様子を見に来た先輩のベテラン秘書は、驚きました。
「お茶の淹れ方、知らないの?」
「はい、家のお茶はペットボトルですので・・・」
ベテラン秘書は、ジェネレーションギャップに気づき、豪快に笑って「ごめん、ごめん、知っていると思って、ちゃんと教えなかった私が悪いわね」と言いながら、お茶の淹れ方を見せながら教えました。
このケースの先輩秘書は、面白い・笑えると意味づけをしましたが、腹立たしいと意味づけをしていたら、生まれる感情とその後の行動も変わります。ネガティブな意味づけによって表出された感情や行動は、未来を変えてしまいます。
この新人秘書は、委縮せずに仕事を覚えていった経験から、後輩を叱らずに育てる先輩秘書として指導役をしています。
◆文句が多いと受け取るか、意欲があると受け取るか
仕事を完璧にしたいと思っている人ほど、要望も多くなるものです。こういう環境を整えてほしい、あれが足りない、時間がほしい、人を回してほしい、報酬を上げてほしい・・・。
「あいつ、文句が多いですね、部長」
「彼のやる気をかって抜擢したんだ。あれくらいは、可愛い“おねだり”だよ。」
部下の行動にポジティブな意味づけをする上司の下では、部下も能力を発揮しやすいため、意味づけ上手な上司は、チームの生産性を上げることができます。
感情が安定した上司を、包容力がある・信頼できる・人望があるなどと表現する部下も多く、自分もそのような上司になりたいと目指す連鎖が生まれます。
人柄を表す言葉に、「器が大きい」という表現があるように、アンガーマネジメントでは、私たちの心の中にはコップがある、と私たちは、お伝えしています。実は、この心の中のコップは、アンガーマネジメントを学ぶことで、大きくすることができるのです。
アンガーマネジメントを取り入れた、企業や官公庁での「管理職研修」・「リーダーシップ研修」・「部下育成研修」などでは、その方法もお伝えしています。
個人で学びたい方には、「アンガーマネジメント入門講座」、「アンガーマネジメント応用講座」の中でも「心のコップ」を大きくする方法をお伝えしています。日本アンガーマネジメント協会のホームページからお申込みいただけます。
日本アンガーマネジメント協会 https://www.angermanagement.co.jp/
長い人生で出会う人の数は、平均3万人ともいわれています。ビジネスパーソンにとって、その多くは仕事の関係で出会う人かもしれません。起きている時間の大部分を職場で過ごすビジネスパーソンが、職場でどんな人と一緒に働くか、ということは大きな要因です。
とくに、若いときの上司や先輩に影響を受けた、とおっしゃる人は多く、自分が新人のときに、どのように育ててもらったか、ということが、自分の部下育成に大きく影響を受けている方もいらっしゃるようです。
◆怒りが生まれる3段階
アンガーマネジメントでは、怒りは瞬間的に生まれるものではなく、怒りが生まれる仕組みがあると考えます。人は瞬間的に怒るのではなく、必ず次の3ステップを経て怒るようにできています。
(1)「出来事に出会う」
(2)「意味づけを行う」
(3)「怒りの感情が生まれる」
同じ出来事に出会ったとしても、「意味づけ」は人それぞれ違います。 同じ出来事でも、腹立たしいととらえることも、楽しい・笑える・可愛いもんだととらえることもできるのです。
◆怒って育てるか、笑って育てるか
「お客様に日本茶をお出しして」と指示を受けた新人秘書。お茶の淹れ方がわからず、ティースプーン一杯ずつの茶葉を各々の湯飲みに入れ、お湯を注ぐ、というインスタントコーヒーさながらの技を進行していました。様子を見に来た先輩のベテラン秘書は、驚きました。
「お茶の淹れ方、知らないの?」
「はい、家のお茶はペットボトルですので・・・」
ベテラン秘書は、ジェネレーションギャップに気づき、豪快に笑って「ごめん、ごめん、知っていると思って、ちゃんと教えなかった私が悪いわね」と言いながら、お茶の淹れ方を見せながら教えました。
このケースの先輩秘書は、面白い・笑えると意味づけをしましたが、腹立たしいと意味づけをしていたら、生まれる感情とその後の行動も変わります。ネガティブな意味づけによって表出された感情や行動は、未来を変えてしまいます。
この新人秘書は、委縮せずに仕事を覚えていった経験から、後輩を叱らずに育てる先輩秘書として指導役をしています。
◆文句が多いと受け取るか、意欲があると受け取るか
仕事を完璧にしたいと思っている人ほど、要望も多くなるものです。こういう環境を整えてほしい、あれが足りない、時間がほしい、人を回してほしい、報酬を上げてほしい・・・。
「あいつ、文句が多いですね、部長」
「彼のやる気をかって抜擢したんだ。あれくらいは、可愛い“おねだり”だよ。」
部下の行動にポジティブな意味づけをする上司の下では、部下も能力を発揮しやすいため、意味づけ上手な上司は、チームの生産性を上げることができます。
感情が安定した上司を、包容力がある・信頼できる・人望があるなどと表現する部下も多く、自分もそのような上司になりたいと目指す連鎖が生まれます。
人柄を表す言葉に、「器が大きい」という表現があるように、アンガーマネジメントでは、私たちの心の中にはコップがある、と私たちは、お伝えしています。実は、この心の中のコップは、アンガーマネジメントを学ぶことで、大きくすることができるのです。
アンガーマネジメントを取り入れた、企業や官公庁での「管理職研修」・「リーダーシップ研修」・「部下育成研修」などでは、その方法もお伝えしています。
個人で学びたい方には、「アンガーマネジメント入門講座」、「アンガーマネジメント応用講座」の中でも「心のコップ」を大きくする方法をお伝えしています。日本アンガーマネジメント協会のホームページからお申込みいただけます。
日本アンガーマネジメント協会 https://www.angermanagement.co.jp/

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