GATTとWTO(ドーハ)とTPP2011年11月08日 13:09

 野田総理がずいぶん力んで、TPPやら消費税10%やら、対米追随をやらかしてくれている。
 連合北海道は先日の道民集会で、民主党とともに赤っ恥かいたようだが、経験者というか、すぐそばで見ていたものとして、我が国の食料と北海道農業の行方を少し考えてみた。

 GATT(ウルグアイ・ラウンド)は1986年(S61)から開始され、1995年(H7)に決裂したが、連合北海道は93年にスイス・フランス代表団を、金もないのに送ってがんばった。時あたかもひどい冷害で、北海道の米の作況指数は42だったときだ。米の緊急輸入が行われた。
 このときも連合北海道内部では一悶着あった。それは、鉄鋼労連や自動車総連など輸出関連産別が、「輸入自由化は世界の流れだから、食料は外国から輸入すればいい。」と言ってはばからなかったが、我々は「北海道は農業が基幹産業の一つなのだから、それを守らねばならない。連合の次に北海道が付けばGATT反対になるんだ」と押し切ったものだ。
 押し切れたのは、それぞれ産別も口ではそういっても、たとえば電力の大口利用者は農家だし、自動車も複数台をもっているのは農家だし、・・・ということで、農連の顔色をうかがうことで表だってはいろいろ言っても、「北海道農業は守らねばならない」という気持ちがあったからだ。
 2000年にWTOドーハ・ラウンドが始まったときにも、農連と一緒にいろんなことをやった。しかしこん時もBSE問題が大きくなって、そんなに派手にはできなかった。けど、「北海道農業を守るべや」は変わらなかった。
 そして今回のTPP問題。早い話が、日米FTAの焼き直しでしかない。こちょこちょ考えるより、ケツをまくった方が国益になることははっきりしている。それは食糧安保の観点しかないだろう。

 ところで、この農業自由化交渉の間に北海道農業はどう変わっただろうか?
 TPPの影響について、北海道の高橋知事が出した試算は、全くの嘘っぱちだ。農業生産は1兆円しかないのに、どうして2兆円を超す影響が出るのか?でたらめな積み上げをしたに過ぎない。
 北海道農業は、ウルグアイ・ラウンドを経て、拡大してきたことは事実で、言葉で言うと、「集約化・規模拡大による生産性向上」なのだ。S60年以降は1兆円を超えて推移してきている。大きく拡大はしていないが。
 その間に農家戸数や農業人口は半減しているので、平たく言うと「農業の生産性は2倍になった」といえるのだ。ただ、不思議なことに、農家の平均所得は大きく増えていない。500万円ほどだ。ん~ん、これはよくわからないが、価格と消費量の関係だろうか。
 これも平たく言うと、生産性が2倍になって、収入が変わらないと言うことは、価格が半分になったと言うことだろう。
 全国を見ると、明らかに農業総生産は減少している。S60に約12兆円あったものが、いまは8.5兆円くらいだから、25年間で3割減と言うことになる。しかしこの減少はいわば「想定内」だろう。後継者問題だよ。65歳以上の比率が今や農業人口の4割、いや5割近いのだから、どんどんやめていってる。北海道農業もきちんと後継者問題を解決するシステムを整備しないと、同じ憂き目にあうだろう。
 キーワードは、「家族経営からの脱却、農業法人」だと、私は思うがね・・・・・。じゃんじゃん。