DVD 「ストレスの不思議」の要約 その42015年02月19日 10:52

○ひと筋の希望

 ストレスが体に与える影響を細胞レベルで調査してきたサボルフスキーは、さらに一歩踏み込んだ研究に取り組もうとしていた。
 現在、ストレスの研究における新たな方向性として注目されているのが、ストレスが遺伝子に与える影響を解明すること。数年前には誰も想像しなかったこと。
 ストレスによって影響を受ける遺伝子。それが染色体の末端を保護するテロメア。テロメアは、年齢とともに短くなっていく。ストレスホルモンによってテロメアが短くなるスピードが加速される。つまり、年齢が同じでも地位が低く、常にストレスホルモンを分泌している人のほうが、テロメアは短くなっていると考えられる。

 この発見はどのようなことに役立つのか?
 ジャネット・ローソンは、慢性的なストレスを抱える同じ境遇の母親たちと週に一度、会合を開いている。彼女たちは皆、障害児を抱えている。テロメア研究の第一人者 生物学者 エリザベス・ブラックバーン博士は、彼女たちに注目した。このグループの話を聞いて、長年難しい立場に置かれてきた母親たちの細胞で、何が起こっているのかを調べてみる価値があると思った。
 人の染色体は、46本。その末端を覆っているのがテロメア。私たちは加齢とともに短くなるテロメアが慢性的なストレスの影響を受けるかどうか、突き止めようと考えた。そこで、障害児を抱える母親たちを調べてみることにした。
 彼女たちのテロメアに何が起こり、どのように維持されているのかを詳しく分析した。その結果、テロメアの長さはストレスの量とストレスに耐えてきた年数に関連しているということが分かった。
 ブラックバーン博士の同僚、心理学者のエリッサ・エペル博士もこの研究に加わっている。
 「幼い子どもを持つ母親は、大きなストレスを抱えている。仕事と子育ての両立に追われ、自分のことなどかまっていられない。健康な子どもを持つ母親でさえそんな状態ですから、子どもに障害がある場合、母親にかかる負担はさらに膨大なものとなる。くたくたになった体にストレスを受け、時には早くに亡くなることもある。」
 彼女たちのテロメアは短くなり、酵素の活性も抑えられる。障害を持つ子どもを育てていると、一年でおよそ6歳分も老化が進むことになる。
 よく老け込んだと言うが、それは単なる愚痴ではない。医学的な老化が実際に進んでいる。慢性的なストレスにより引き起こされたものだと言える。

 しかし、希望もある。ブラックバーン博士は、テロメアを修復する酵素 テロメラーゼを発見した。
 同じ境遇にいる者同士で気持ちを分かち合うこともテロメラーゼを活性化させることにつながると考えられている。ストレスを軽減し、寿命を伸ばしてくれる有効成分を解明すること。これは、この分野における研究課題の一つになっている。他者への同情や思いやりは、重要な要素かもしれない。それによってテロメラーゼが増加し、細胞の若返りと再生が促進される可能性がある。


最後の「その5」につづく。じゃんじゃん。

コメント

_ やまし ― 2015年02月20日 11:34

中身はともかく、背景が本当によく変わりますね。
それはそれで楽しみですが、こらえ性がなくなってない?
年のせいだったりして。

_ zoumatsu ― 2015年02月20日 11:54

 こらえ性が無くなったのではなく、目がかすんできたのです。
 当面,これが気に入りましたので、しばらくは変えないと思います。
 ただ、字がもうちょっと大きければベストなんですが。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://zoumatsu.asablo.jp/blog/2015/02/19/7573677/tb