DVD 「ストレスの不思議」の要約 その5 ― 2015年02月20日 11:50
昨日、何を泡食ったのか、「その4」のまえに「その5」をアップしてしまいましたので、すでに読んだ人がいるかもしれませんが、「その5」をアップします。
はたして、ヒトはヒヒより賢いかが、問われているようです。
○ストレスのない社会
私たちは仲間と助け合うことによって、自ら癒され、より長く健康な人生を送ることが出来るのかもしれない。20年前、サボルフスキーがケニアで目撃した出来事は、そのことを裏付けるものだった。
ヒヒの群れは、オスが非常に攻撃的で厳然とした階級付けがなされ、メスは虐げられているという典型的なヒヒの社会を形成していた。そして20年前、非常に興味深い出来事が起きた。
群れは観光客に人気のあるロッジのゴミ捨て場で餌をあさっていた。そのゴミの中に、結核菌に汚染された肉が混じっていた。この結核菌によって、オスの半数近くが死んでしまった。
死んだのは群れの中でも特に攻撃的なオスばかりだった。つまり、仲間と親しくしたり、遊んだりしないような社交的でないオスは、その群れからいなくなった。支配的地位にあったオスが死に、群れの様子は一変した。
メスの数は、オスの倍になり、残ったオスはいずれも気性の穏やかなものばかりだった。攻撃性が低く、メスに優しい彼らは、社交性もあった。半数近くのオスが死ぬという出来事によって、群れの雰囲気は大きく変わった。
オスのヒヒは、思春期を迎えると生まれ育った群れを離れて放浪し、新たな群れに加わる。この群れにも後から新しいオスが加わった。彼らは最初のうちはこれまで他の群れでやっていたように傍若無人に振る舞っていたが、半年ほど経つと社会の違いに気づいた。この群れにいるオスは、皆暴力を振るわず、互いに毛づくろいをし、メスに当たり散らしたりしない。およそ半年で、あらたに加わったオスたちは周囲に同化した。攻撃性が低く、社会性が高いこの群れの文化はその後20年間ずっと受け継がれている。
この群れに起きた出来事は、ストレスのない状態が身体だけでなく社会にも影響を及ぼすということを示した。この群れのヒヒに高血圧は見当たらないし、不安に結びつくストレスホルモンのレベルも低く抑えられている。大事なのは地位ではなく、その地位が持つ社会的意味合い。
これと同じことが、人間にも当てはまる。
我々はいくつもの社会階層に属している。もし会社で何のやりがいもない最低の仕事に就いている人が、社内のソフトボールチームのキャプテンに選ばれたとしたら、どうなるか?きっと仕事は9時から5時までと割り切り、ソフトボールにすべてをかけるようになるだろう。リーダーとして采配をふるい、人々の尊敬を集めるような立場こそが、その人にとって何より大切なものとなる。
○ストレスに対抗する力
リーダーとして采配をふるう場を見つける事が、ストレス対策の一つとなる。しかし、それが職場で可能か?
イギリス公務員の調査や霊長類の研究から明らかになったことは、生活や職場の環境が健康に極めて重要な影響を及ぼすということ。
仕事の量をコントロールできるかどうかは、職場の地位と緊密に関連している。
一般的に職場において物事がうまくいかなくなったり、仕事で受けるストレスの量が増えたりすると、疾病率が上昇する。一方、仕事の量を自分でコントロールすることが出来るようになり、職場での待遇がよくなって職場における環境が改善されてくると、自ずと疾病率が低下してくる。
しかし、恵まれた立場にない人たちは、一体どうやってストレスに対処すれば良いのか?
仕事にもっと関わらせて、発言権を持たせること。そして、努力をきちんと認めて、評価してやること。そうすれば、より健康的な職場になり、生産性もあがるだろう。
ストレスを減らすことで、平和な社会が実現することをアフリカのヒヒが教えてくれた。
ストレスの研究が目指すのは、人間の繁栄を生むより良い社会作り。
「虫の居所が悪くても他の者に当たり散らして鬱憤を晴らすな。
社会に参加し、ストレスに対抗する大きな力を付けよ。」とヒヒは教えてくれた。
本来ヒヒは、競争心や敵意など、ストレスを生み出す要素が支配する社会で暮らしている。そのヒヒが、互いに思いやりを持つことで、平和な社会を実現させることが出来ると教えてくれた。
それをヒントに、私たちはより良い世界を作らなければならない。
ヒヒは、大昔から受け継がれてきた揺るぎない社会システムをたった一世代で変えた。ヒヒに出来たことが人間に出来ないなどと言えるだろうか?
サボルフスキーの研究は、私たちに一つの問を突きつける。
「人間にはヒヒから学ぶだけの勇気があるのか?」
ヒヒの群れは、ストレスを乗り越えただけでなく、繁栄している。
果たして、私たちにも同じことが出来るのだろうか?
ということでした。じゃんじゃん。
はたして、ヒトはヒヒより賢いかが、問われているようです。
○ストレスのない社会
私たちは仲間と助け合うことによって、自ら癒され、より長く健康な人生を送ることが出来るのかもしれない。20年前、サボルフスキーがケニアで目撃した出来事は、そのことを裏付けるものだった。
ヒヒの群れは、オスが非常に攻撃的で厳然とした階級付けがなされ、メスは虐げられているという典型的なヒヒの社会を形成していた。そして20年前、非常に興味深い出来事が起きた。
群れは観光客に人気のあるロッジのゴミ捨て場で餌をあさっていた。そのゴミの中に、結核菌に汚染された肉が混じっていた。この結核菌によって、オスの半数近くが死んでしまった。
死んだのは群れの中でも特に攻撃的なオスばかりだった。つまり、仲間と親しくしたり、遊んだりしないような社交的でないオスは、その群れからいなくなった。支配的地位にあったオスが死に、群れの様子は一変した。
メスの数は、オスの倍になり、残ったオスはいずれも気性の穏やかなものばかりだった。攻撃性が低く、メスに優しい彼らは、社交性もあった。半数近くのオスが死ぬという出来事によって、群れの雰囲気は大きく変わった。
オスのヒヒは、思春期を迎えると生まれ育った群れを離れて放浪し、新たな群れに加わる。この群れにも後から新しいオスが加わった。彼らは最初のうちはこれまで他の群れでやっていたように傍若無人に振る舞っていたが、半年ほど経つと社会の違いに気づいた。この群れにいるオスは、皆暴力を振るわず、互いに毛づくろいをし、メスに当たり散らしたりしない。およそ半年で、あらたに加わったオスたちは周囲に同化した。攻撃性が低く、社会性が高いこの群れの文化はその後20年間ずっと受け継がれている。
この群れに起きた出来事は、ストレスのない状態が身体だけでなく社会にも影響を及ぼすということを示した。この群れのヒヒに高血圧は見当たらないし、不安に結びつくストレスホルモンのレベルも低く抑えられている。大事なのは地位ではなく、その地位が持つ社会的意味合い。
これと同じことが、人間にも当てはまる。
我々はいくつもの社会階層に属している。もし会社で何のやりがいもない最低の仕事に就いている人が、社内のソフトボールチームのキャプテンに選ばれたとしたら、どうなるか?きっと仕事は9時から5時までと割り切り、ソフトボールにすべてをかけるようになるだろう。リーダーとして采配をふるい、人々の尊敬を集めるような立場こそが、その人にとって何より大切なものとなる。
○ストレスに対抗する力
リーダーとして采配をふるう場を見つける事が、ストレス対策の一つとなる。しかし、それが職場で可能か?
イギリス公務員の調査や霊長類の研究から明らかになったことは、生活や職場の環境が健康に極めて重要な影響を及ぼすということ。
仕事の量をコントロールできるかどうかは、職場の地位と緊密に関連している。
一般的に職場において物事がうまくいかなくなったり、仕事で受けるストレスの量が増えたりすると、疾病率が上昇する。一方、仕事の量を自分でコントロールすることが出来るようになり、職場での待遇がよくなって職場における環境が改善されてくると、自ずと疾病率が低下してくる。
しかし、恵まれた立場にない人たちは、一体どうやってストレスに対処すれば良いのか?
仕事にもっと関わらせて、発言権を持たせること。そして、努力をきちんと認めて、評価してやること。そうすれば、より健康的な職場になり、生産性もあがるだろう。
ストレスを減らすことで、平和な社会が実現することをアフリカのヒヒが教えてくれた。
ストレスの研究が目指すのは、人間の繁栄を生むより良い社会作り。
「虫の居所が悪くても他の者に当たり散らして鬱憤を晴らすな。
社会に参加し、ストレスに対抗する大きな力を付けよ。」とヒヒは教えてくれた。
本来ヒヒは、競争心や敵意など、ストレスを生み出す要素が支配する社会で暮らしている。そのヒヒが、互いに思いやりを持つことで、平和な社会を実現させることが出来ると教えてくれた。
それをヒントに、私たちはより良い世界を作らなければならない。
ヒヒは、大昔から受け継がれてきた揺るぎない社会システムをたった一世代で変えた。ヒヒに出来たことが人間に出来ないなどと言えるだろうか?
サボルフスキーの研究は、私たちに一つの問を突きつける。
「人間にはヒヒから学ぶだけの勇気があるのか?」
ヒヒの群れは、ストレスを乗り越えただけでなく、繁栄している。
果たして、私たちにも同じことが出来るのだろうか?
ということでした。じゃんじゃん。
コメント
_ みこ ― 2016年03月22日 20:40
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要約ありがとうございます
参考になりました。