あなたは、ガンを知っていますか? その32015年01月05日 14:28

新年あけましておめでとうございます。
良い年末年始であったでしょうか。

さぁ、それでは、恐ろしいガンの続きをはじめます。


ガンって、何?

毎日5000回も起きている

 細砲が分裂するときには、元のDNAを2倍にコピーして、新しい2つの細胞に振り分けます。人間(の細胞)がやることですから、コピーのときにミスがおこることがあります。これ、が突然変異です。
 こうした細胞は多くの場合、死にますが、ある遺伝子に突然変異がおこると、細胞は止めどもなく分裂を繰り返すことになります。
 最近の研究では、ガン細胞は健康な人の体でも一日に5000個も発生しては消えていくことがわかっています。
 ガン細胞ができるとそのつど退治しているのが免疫細胞(リンパ球)です。免疫細胞は、ある細胞を見つけると、まず自分の(身体の)細胞かどうかを見極めます。そして、自分の細胞でないと判断すると、殺してしまいます。
 ガン細胞は、もともと私たちの正常な細胞から発生していますので、カラダの外から侵入する細菌などと比べると、免疫細胞にとって「キケンな異物」と認識できない傾向がある、と言われます。それでも免疫細胞は、できたばかりのガン細胞を攻撃して死滅させます。私たちのカラダのなかでは、毎日毎日、「5000勝0敗」の闘いが繰り返されているのです。

ガンになるのも運、ならないのも運

 しかし、年齢を重ねると、DNAのキズが積み重なってガン細胞の発生が増える一方で、免疫細胞の機能(免疫力)が落ちてきます。そのため、ガン細胞に対する攻撃力が落ちる結果、発生したガンが免疫の網をかいくぐって成長する確率も増えるのです。
 長生きするとガンが増えるのは、突然変異が蓄積されるのと、免疫細胞の働きが衰えるからなのです。ガンが老化の一種といわれるのはそのためです。ガンは、一部の例外を除き遺伝しません。(例外は家族性腫瘍)。むしろ「ガンになる、ならない」は運の要素が大きい。

 目には見えない壮絶な隣いを勝ち抜いて、ひっそりと生き残ったたった1つのガン細胞は、分裂した後の子孫の細胞がすべて死なない「スーパー細胞」です。
 ガン細胞はゆっくりと倍々グームで分裂を重ねていき、100万個(すべてが同じ細胞!)まで増殖すると1ミリくらいの大きさになります。検査によって発見されるまで育つには、通常10~20年以上の時間が必要です。
 これが、ガンが高齢の方に多いもう1つの理由。その意味では、ガンは昨日今日できたものではありませんから、ガンと診断されてもあわてる必要はないのです。
 社会や医療環境が良くなって寿命が長くなれば、それだげガンが増える、これはやむを得ない定めです。
 ガンになってもあわてないように人生をとらえ、過ごす必要があるのです。

ガンは、生活習慣病

生活習慣とがん

 ガンは、細胞のDNAにキズ(突然変異)が積み重なってできます。この突然変異は、年齢とともに自然に増えていくもので、白髪やしわのようなもの。ここまでにはすでに述べました。しかし、どんなガンができやすいかは、生活習慣にも左右されます。たとえば、乳ガンや前立腺ガンが増えているのは、動物性の脂肪を多く摂るようになったことが背景にあります。

冷蔵庫で胃ガンが減少

 これまで日本では、胃ガン・子宮頸ガン、肝臓ガンなど、ウイルスや細菌による感染が原因となる「アジア型」のガンが多かったのですが、衛生環境の改善などで、こうした感染症型のガンによる死亡は減少に転じています。胃ガンは、ヘリコバクター・ピロリ菌などの細菌が原因の一つですから、冷蔵庫が普及して新鮮で清潔な食物を口にするようになって減りました。実際にアメリカでも、1930年ごろは、胃ガンがガン死亡のトップでした。日本より先に冷蔵庫が普及した結果、今では胃ガンは白血病より少ない、珍しいガンになっているのです。

ウイルスで感染するガン

 子宮頸がん(子宮の出口の部分にできるガン)は性交渉にともなう「ヒトパピローマウイルス」の感染が主な原因で、コンドームの使用で予防できます。
 驚かれるかもしれませんが、アメリカでは子宮頸ガンは性病と認識され、このウイルスに対するワクチンを義務化するかどうかの議論がさかんなのです。
 性交渉を始める前の女の子に、ワクチンを接種する---。ワクチンを打てば、その後パピローマウイルスが子宮にとりついても、免疫ができていますから感染しません。まさに、麻疹(はしか)の予防と同じ考え方です。
 肝臓ガンも、その大部分は肝炎ウイルスの感染が原因です。肝炎ウイルスは輸血が主な感染ルートでしたが、今ではこうしたウイルスに感染していない血液が輸血されますので、肝臓ガンも減る傾向にあります。

ガンの「アジア型」と「欧米型」

 わが国では、高齢化によってガンの死亡はどんどん増えていますが、そのなかで2005年に死亡数が減少したのは、ここにあげた胃ガン・子宮頸がん・肝臓ガンという「アジア型のガン」だけなのです。
 逆に、タバコが原因となる肺ガンの他、動物性脂肪のとりすぎが原因と考えられる乳ガン・前立腺ガン・大腸ガン・子宮体ガンなど、「欧米型」のガンが増えています。
 では、なぜ、動物性脂肪をとると、乳ガン・前立腺ガンなどが増えるのでしょうか?
 女性ホルモン・男性ホルモンは、コレステロールを材料として体内で作られます。ですから、肉を食べなければ性ホルモンは増えません。お坊さんが精進料理を食べる理由です。統計データはないでしょうが、お坊さんには前立腺ガンは少ないと推測されます。
 日本女性のバストも欧米人なみになりました。これも肉を食べるようになった影響です。肉食の結果、女性ホルモンがたくさん分泌され、乳ガンが増えているのです。

 さて、「子だくさん」のお母さんには、乳ガンができにくい。それはなぜでしょう。
 妊娠中は女性ホルモンのバランスが変わります。たとえば10人の子供を出産すると、10カ月×10人目=100カ月、つまり8年間近く乳ガンができにくい状態が続きます。実際、未婚の女性に乳ガンは多いのです。

ガンを防ぐには?

 このように、ガンは生活習慣に密接に関連しています。生活習慣病の一種と言っていい、社会を映す鏡なのです。ただし、注意がいるのは、生活習慣が発ガンのリスクを高めることはあっても、ガンになるかどうかの根本は運(確率)である点です。ですから、ベジタリアンの聖人君子でも、ガンになってしまう可能性はあるのです。
 なお、アジア型のガンの代表である胃ガンの死亡を、欧米型のガンの代表である肺ガンの死亡が追い越したのは、アメリカで1950年ごろ、日本では1990年すぎです。ガンの種類については、日本はアメリカに40年程度遅れているわけです。

 ガンにかかるかどうかは運次第、という面も否定できませんが、日常生活に気をつければ、ある程度ガンを防ぐことが可能です。禁煙が第一ですが、野菜と果物を食べ、肉やお酒はほどほどにして、太りすぎないことが大事です。これでガンの約60%(禁煙で30%、食生活の工夫でさらに30%)が防げるだろうと考えられています。

タバコとガン

 タバコはガンの原因の3割程度を占めるもので、禁煙がもっとも効果があります。日本の喫煙率は、減ってきたとはいえ欧米の倍以上で、実は日本は世界一の「タバコ大国」。世界一の「ガン大国」の一因です。
 とくに、現在、日本でもっとも死亡が多いガンが肺ガンです。タバコが原因の肺ガンは男性で70%、女性で15%。とくに若い人の喫煙は危倹で、20歳未満で喫煙を開始した人は、吸わない人の約6倍も肺ガンによる死亡率が高い。
 ノドのガン・胃ガン・食道ガン・肝臓ガンなども、たばこで増えます。あまり増えないのは大腸ガンと乳ガンくらいでしょう。タバコがなくなれば日本男性のガンの3割が消滅するのです。
 さらに、タバコの最大の問題は間接喫煙による他人への影響です。この点は飲酒とちがいます。

 ということで、このシリーズは、その5まで続きます。
 ちなみに、先日の健康診断では、胃カメラで「隆起性病変」が見つかりました。「いよいよ来たか!」と思いましたが、組織検査の結果は「良性」でした。いまのところ経過観察です。
 じゃんじゃん。

コメント

_ やまし ― 2015年01月06日 10:00

あけましておめでとうございます。
実は、わたしの娘が卵巣がんで、すでに2回の手術を受けています。
父親としても、いろいろ勉強させてもらいました。
ひとごとではありません。
ことしもよろしくお願いします。

_ zoumatsu ― 2015年01月06日 15:17

こちらこそよろしくお願いします。
娘さんのことは心配ですね。
実は私も、弟から「前がん状態」と言われました。
当面、年1回の健診程度の経過観察でいいようですが。

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