シリーズ 医療について考えた その3 潜在看護師70万人2016年02月25日 09:50

 さて、第3回は、「定員問題」を取り上げます。

 看護労働者の需給関係は、団塊世代の後期高齢者入りという超高齢社会の現状と予測を考えても、2025年に看護職員は200万人必要とされ、現在の150万人から50万人増やす必要があるとされています。
 しかし、現在は、新規の資格取得者5万人に対し、離職が半分の2.5万人ありますから、純増は2.5万人で、あと9年しかないの、どう計算しても200万人にはなりません。
 実は、看護師資格を持って就労していないいわゆる「潜在看護師」は、全国で約70万人います。
 看護師の潜在化率は23.0%で306,393人、
 准看護師の潜在化率は52.6%で408,276人
 この人たちの職場復帰を実現しないと、患者の激増により、今よりさらに看護師の需給は逼迫することになります。
 ちなみに、この「潜在看護師」の36%は「働きたい」と考えています。数でいうと、25万人。ほら、これで2025年に看護師200万人体制ができちゃうでしょう。


 「看護師等人材確保促進法」という法律があります。
1.看護職員の復職支援の強化
2.勤務環境の改善を通じた定着・離職防止
3.大卒社会人経験者の看護職への取り込み促進
などを目的にしています。
 これに基づいて、「ナース・センター」が都道府県に設置され、有資格者はここに登録することが努力義務となりました。
 また、ハローワークなどでも、積極的に看護師等の職業紹介活動に取り組んでいます。

 北海道ナースセンター
 札幌市白石区本通17丁目北3番24号
公益社団法人北海道看護協会1F

 まあ、しかし、厚生労働省は気楽に考えています。
 なぜなら、「看護師がなぜ離職するのか」の調査で、第1は「出産・育児」をあげ、第2に「結婚のため」、第3に「他の病院に興味」となっていますが、これは、いわば辞表上の理由であって、実際は、まぁ、私の予想ではありますが、

 第1位は、人間関係ではありませんか?
 嫌がらせがヒートアップしてきてこのままでは医療事故を起こしかねないという恐れからいたしかたなく病院を辞める。ということではないでしょうか。
 よく聞くのが、ナースステーションの真ん中で、同僚だけでなく医師やほかのコメディカルスタッフもいる中で、ミスを責めること。その様子は、まさに公開処刑です。

 第2位は、労働環境の不満ではないですか?
 過酷な労働条件と給与面が見合わないと感じている。夜勤や長時間労働を強いられる労働環境と賃金が見合っておらず、職員不足につながっている。
 
 第3位は、案外、上司・経営者への不満ではないですか?
 「上司の気分で、決まりごとがコロコロ変わる」、「自分がこうと思った以外受け入れてもらえない。」、「師長が、看護知識もスキルもない人で、点滴すらできない」

 第4位は、給与・待遇への不満ではないですか?
 実際の統計では、なんと7割近くの看護師が収入に不満を持っていることが分かりました。特に30代では、「現在の給与」55.9%、「福利厚生制度」51.2%と過半数が不満を抱えていることがわかります。

 第5位は、仕事の内容
 「ベッドサイドケアが十分な時間をかけてできない」、「自分の看護への満足感がない」、「患者さんの状態変化と看護計画があっていない」など。
 自分の理想の看護をしたいのにできないというジレンマが今の医療にはあると思う。勤務状況は過酷で、自分が病人になってしまうのではないかと思うときもよくある

 というふうに見ていますが、違いますか?

 つまり、まともな職場なら、いまの世の中、結婚しても、子育てしながらも、働き続けたいと思うだろうし、そのための制度や施設はいくらでもできると思います。
 そうじゃないからやめちゃうんですよ。
 じゃんじゃん。と。

コメント

_ みこ ― 2016年03月22日 20:52

元看護師です。
おっしゃるとおりです。表の理由と本音は違います。
ヒヒの群れと同じように、いじめ、やつあたり、機嫌とり、が大変なのです。責任があるのに地位が低く、権限もなく、待遇もよくなく、夜勤はきつく。。。感受性の強い優しいナースほど、患者の気持ちを感じ入り、だけど何もできないと感じてつぶれます(T . T)

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://zoumatsu.asablo.jp/blog/2016/02/26/8026279/tb