精神労災が不服審査でひっくりかえった! ― 2012年05月23日 14:33
題を読んでなんのこっちゃと思ったでしょう。それでいいんです。オタクの話だから。
昨日、北海道労働局の労災参与会があって、自殺案件である精神労災の不支給決定が取り消しになりました。つまり労災適用になったと言うことです。遺族には一時金と葬祭料が支払われることになります。
この事件をかいつまんで言うと、九州出身の22歳の方が、H22年4月からT社に雇用されて、6日間の研修ののち、札幌と渡島にある店舗で働いたのですが、6月25日に自死したという案件で、監督署段階では、精神労災の「旧判断指針」を当てはめたため、不支給(業務外認定)となりましたが、不服審査では、新認定基準で検討したところ、長時間労働が認められ、取り消し相当(業務上認定)となりました。
この判断の分かれ目は、時間外労働の積算の方法にありました。
労災では、時間外労働の積算について、「事実認定」が問題になることが多く、タイムレコーダーやPCの電源管理データなどの具体的証拠を重視しますが、それと同時に、旧判断指針では、「月単位」で積算するため、たとえばこの事案では、精神科等の受診が無く発症日がはっきりしないため、6月分は積算に入れなかったのですが、新認定基準では、時間外労働数が重要なファクターとなるため、実務要領で「発症日が月の上・中・下旬と特定できない場合は、月の1日から末日までの毎日を起点に30日を一と月として労働時間を積算する」と、詳細に定められました。
それでこの事案を積算し直したところ、心理的負荷の出来事は「中」の評価ながら、自死直前の時間外労働が100時間を超えたため、「強」に評価変更されたものです。
とりあえず業務上認定されて良かったのですが、なにせ自死案件で、本人が死をほのめかしたことを会社や同僚がまともに受け取らなかったことが不幸な結果を招いたのですから、今後の損賠訴訟では、「予見性」でほとんど会社側の敗訴決定でしょうね。22歳という若さからして、遺失利益はどうなるのか、注視したいと思います。
ともあれ、30日の札幌学習会の話題にしたいと思います。守秘義務の範囲で。
それと、教訓としては、いままで、発症日の特定については、比較的時期を狭めてきたような気がしますが、コレを考えると、ぼやかした方がいいのかもしれません。まあたいてい、うちに相談に来るのは監督署に出してからなので、ほとんど手遅れなのですがね。
それと、公務災害に手をつけることにしました。とりあえず札幌市の地方公務員災害補償基金からです。この動機は、制度のちがいがあると承知していますが、10万人あたりの公災発生率が結構高いからで、労災(民間)では10万人あたりの休業4日以上の労災件数が200件弱なのに、公災では千件を超すことが地公災の本部データで公表されていますので、北海道の実情を調べるつもりです。
少しずつ、アクセルふかして、じゃんじゃん。
昨日、北海道労働局の労災参与会があって、自殺案件である精神労災の不支給決定が取り消しになりました。つまり労災適用になったと言うことです。遺族には一時金と葬祭料が支払われることになります。
この事件をかいつまんで言うと、九州出身の22歳の方が、H22年4月からT社に雇用されて、6日間の研修ののち、札幌と渡島にある店舗で働いたのですが、6月25日に自死したという案件で、監督署段階では、精神労災の「旧判断指針」を当てはめたため、不支給(業務外認定)となりましたが、不服審査では、新認定基準で検討したところ、長時間労働が認められ、取り消し相当(業務上認定)となりました。
この判断の分かれ目は、時間外労働の積算の方法にありました。
労災では、時間外労働の積算について、「事実認定」が問題になることが多く、タイムレコーダーやPCの電源管理データなどの具体的証拠を重視しますが、それと同時に、旧判断指針では、「月単位」で積算するため、たとえばこの事案では、精神科等の受診が無く発症日がはっきりしないため、6月分は積算に入れなかったのですが、新認定基準では、時間外労働数が重要なファクターとなるため、実務要領で「発症日が月の上・中・下旬と特定できない場合は、月の1日から末日までの毎日を起点に30日を一と月として労働時間を積算する」と、詳細に定められました。
それでこの事案を積算し直したところ、心理的負荷の出来事は「中」の評価ながら、自死直前の時間外労働が100時間を超えたため、「強」に評価変更されたものです。
とりあえず業務上認定されて良かったのですが、なにせ自死案件で、本人が死をほのめかしたことを会社や同僚がまともに受け取らなかったことが不幸な結果を招いたのですから、今後の損賠訴訟では、「予見性」でほとんど会社側の敗訴決定でしょうね。22歳という若さからして、遺失利益はどうなるのか、注視したいと思います。
ともあれ、30日の札幌学習会の話題にしたいと思います。守秘義務の範囲で。
それと、教訓としては、いままで、発症日の特定については、比較的時期を狭めてきたような気がしますが、コレを考えると、ぼやかした方がいいのかもしれません。まあたいてい、うちに相談に来るのは監督署に出してからなので、ほとんど手遅れなのですがね。
それと、公務災害に手をつけることにしました。とりあえず札幌市の地方公務員災害補償基金からです。この動機は、制度のちがいがあると承知していますが、10万人あたりの公災発生率が結構高いからで、労災(民間)では10万人あたりの休業4日以上の労災件数が200件弱なのに、公災では千件を超すことが地公災の本部データで公表されていますので、北海道の実情を調べるつもりです。
少しずつ、アクセルふかして、じゃんじゃん。
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