部下とのコミュニケーションは異文化交流? ― 2014年03月07日 10:58
2月4日、東京銀座ブロッサムにて、中央労働災害防止協会主催の「平成25年度心の健康づくりシンポジウム~職場が変わる、いま必要なコミュニケーションは?」が開催された。
まず、筑波大学松崎一葉教授による「未熟な部下を成長させる上司のコミュニケーション術」のテーマで基調講演。「未熟な部下」とあるが、「未熟型うつの部下」に対する対処方。
産業医学の現場から見た鬱は次の2つで、1つは消耗型。過重なストレスが原因で過重労働による心身の電池切れであり、やりがいと目標喪失による燃えつきが特徴である。もう1つは未熟型。人格の未熟が原因で、自己愛が強く、根拠のない万能感、嫌いなことはしたくない、反省せず、他罰的、失敗は上司が悪いという。その背景はこうである。切れやすく攻撃的で、周囲に陰性感情を呼びやすいものである。又、歪んだ自己愛として失敗を曝すことができず、情緒的コミュケーションができない(デジタルなコミスキルは十分なのだが)。乳幼児期に親から共感されていないのが要因とされるが、発達障害もしかり、「未熟型うつ」は、周囲から共感されず、職場不適応となって問題が生じるのである。
対処のポイントでは、①支援する側は腹がたってくるが、陰性感情を処理して、②共感的コミュニケーションを成立させること、③そのためには、関係性維持の保証が必要である、つまり「俺はお前を見捨てないよ」と一定期間絶対的支援者(親代わり)となること。そうした安定した枠組みの中で、誇大で非現実的な願望を否定せず受け止め、「この会社で何を目指すか」「今、何をするべきか」を一緒に考える。差別せず区別し、排除せず一定期間支援すること。歪んだ自己愛を現実検討に導く。あるいは、エルダー制度、つまり5年程度の年齢差で関係性を維持できる、見捨てない先輩を活用するなどもある。結論として、会社は人を育てるところであり、心を病ませる場所ではない、と締めくった。
次に4人の報告者が続く。まず、(株)三井化学人事部健康管理室室長の土肥清太郎氏は、精神障害と脳・心疾患の労災補償状況などメンタルヘルスの全体的状況の説明の上で、自らの企業のストレス調査結果を基に、①組織のメンタル風土は上司の支援などの職場コミに大きく依存している可能性が高い、②部下は、思った以上に上司の行動を含めたコミや努力を感じ取っている、③上司は、思った以上に部下へのコミュニケーションに注意と努力を払っている、と整理し、次に、人々の協調行動が活発化することで社会の効率性を高めることができ、社会の信頼関係、規範、ネットワークの重要性を説く概念が、ソーシャル・キャピタルであること。産業保健ではそのソーシャル・キャピタルの向上を積極的に推進することが望まれ、そのためにはコミュニケーションの向上が重要である。基盤的コミュニケーションを醸成して、コーチング的、能力開発的、パーソナリティの偏り・ストレス耐性が低い人へのコミュニケーション、支援的・共感的コミュニケーション等目的を合わせたコミュニケーションが求められる、とまとめた。
「SNSの普及と職場コミ」と題する2番手、(株)ピ-スマインド・イープル国際EAP研究センターの副センター長である渋谷英雄氏は、現場感のあるメンタルヘルス研修の講師を行っているが、非対面におけるカウンセリングのあり方を提唱している。SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービスのこと。SNSにおけるトラブルハラスメントにどう対処するか?リアル以上に、クリック前に一呼吸をおくこと、感情の吐露は他人の心を乱す可能性がある、未確認情報を拡散しない、個人情報については事前に本人に開示許可を得る、と氏は念を押す。職場のトラブルを防ぐものとして、SNSに関しての上司編・部下編を整理。ネットとスマホ依存度チェックに関しても説明があった。
三番手は、(株)ダイバーシティ・マネジメント研究会代表取締役河谷隆司氏の「グローバル・ダイバーシティの時代を生きる知恵」のテーマによる報告。氏は、日本人の文化特性に合った異文化マネジメントのあり方を求めて世界各地を歩く。報告の皮切りとして、現地社員と日本人のクロストーク典型例のエピソードをとして。「問題解決とオープンディスカッション」に関して、現地社員の声は、「本当の話し合いがありません」に対し、「会議をしても提案がでないじゃないか」の対応。さらに、「提案を取り入れてください」の要望に対し、「上司を説得するぐらいの気構えを持ってほしい」とあまりにも落差が大きい。大切なのは対話を通して異文化の人を導くことだが、我々の意図・真意が理解され協働効果を発揮できるものとして、「対話型リーダーシップ・プロセス」5つの行動原則を唱える。すなわち、①意味を伝える~前提・期待・考え・感情とその根拠を伝える、②相手を巻き込む~当事者意識を植え付け、自立行動を促す、③チームで働く~一緒に働き、チームの一体感を醸成する、④協働する~協力を超えた協働でシナジーを生み出す、⑤違いを尊重する~個人の違いを肯定的にとらえ、活かす、と。アジア現地社員の5大モチベーターは、帰属欲求、共有欲求、認知欲求、成長欲求、創造欲求だが、そのうちの認知欲求の大切さを強調する。その対応方法は、「相談する・意見を聞く、3レベルのフィードバックを毎日行う・直接ほめ、全員の前でも伝達する・努力や苦労に気づき声かけること」が大切。総じて多様な相手と一緒に働くと想像力と競争力が高まる、と結論付けた。
最後に「スギ薬局グループのメンタルヘルスの取り組み」と題する、(株)スギホールディングス副社長の杉浦昭子氏。現在グループ約900店舗を展開、かかりつけ薬局としての専門性を追求し、在宅医療、訪問看護にも対応できる地域医療対応型ドラックストアとして、地域への貢献に邁進している。まず、氏は経営者として、いつも、従業員に大切にするよう伝えていることが2つある、という。それは3K、つまり個人・家庭・会社であり、自分の健康である。「自分を大切にできなければ、お客様を大切にできない」という思いが、創業からの原点。それがメンタルヘルス対策につながったのでは、と控えめに語る。対策は産業医との連携からスタートする。メンタルヘルス推進室を創設する。メンタルヘルス110番で受付をする。そこまでは他会社で実施しているが、画期的なのは、東北震災被災者の雇用がある。そして、会社は練りにねったメンタルヘルス面談を開始する。管理者に傾聴等の基礎を徹底教育して。予防・早期発見・早期対応・再発防止・復職支援・自殺防止という多面的な状況への相談体制・対応が必要と考える。面談シートはきめ細かくて、もちろん人事考課面接とは別に実施する。身体・精神・家庭・環境・業務・プライベート等を網羅した内容ツールに構成されている。その効果は休職者がもちろん減少。管理監督者のメンタルヘルス研修を集中的に実施しているが、人的管理意識が飛躍的に向上した。うつ病を発見できるのは職場しかない。周囲で協力してコミュニケーションを緊密にし、小さな変化も見逃さないようにする。笑顔で仕事ができるように、より良い人間関係と働きがいのある職場の実現をめざすと、自信溢れる報告であった。
以上は産業カウンセラーのU氏に参加してもらってのレポートである。
ん~ん。おもしろそうだったね。じゃんじゃん。
まず、筑波大学松崎一葉教授による「未熟な部下を成長させる上司のコミュニケーション術」のテーマで基調講演。「未熟な部下」とあるが、「未熟型うつの部下」に対する対処方。
産業医学の現場から見た鬱は次の2つで、1つは消耗型。過重なストレスが原因で過重労働による心身の電池切れであり、やりがいと目標喪失による燃えつきが特徴である。もう1つは未熟型。人格の未熟が原因で、自己愛が強く、根拠のない万能感、嫌いなことはしたくない、反省せず、他罰的、失敗は上司が悪いという。その背景はこうである。切れやすく攻撃的で、周囲に陰性感情を呼びやすいものである。又、歪んだ自己愛として失敗を曝すことができず、情緒的コミュケーションができない(デジタルなコミスキルは十分なのだが)。乳幼児期に親から共感されていないのが要因とされるが、発達障害もしかり、「未熟型うつ」は、周囲から共感されず、職場不適応となって問題が生じるのである。
対処のポイントでは、①支援する側は腹がたってくるが、陰性感情を処理して、②共感的コミュニケーションを成立させること、③そのためには、関係性維持の保証が必要である、つまり「俺はお前を見捨てないよ」と一定期間絶対的支援者(親代わり)となること。そうした安定した枠組みの中で、誇大で非現実的な願望を否定せず受け止め、「この会社で何を目指すか」「今、何をするべきか」を一緒に考える。差別せず区別し、排除せず一定期間支援すること。歪んだ自己愛を現実検討に導く。あるいは、エルダー制度、つまり5年程度の年齢差で関係性を維持できる、見捨てない先輩を活用するなどもある。結論として、会社は人を育てるところであり、心を病ませる場所ではない、と締めくった。
次に4人の報告者が続く。まず、(株)三井化学人事部健康管理室室長の土肥清太郎氏は、精神障害と脳・心疾患の労災補償状況などメンタルヘルスの全体的状況の説明の上で、自らの企業のストレス調査結果を基に、①組織のメンタル風土は上司の支援などの職場コミに大きく依存している可能性が高い、②部下は、思った以上に上司の行動を含めたコミや努力を感じ取っている、③上司は、思った以上に部下へのコミュニケーションに注意と努力を払っている、と整理し、次に、人々の協調行動が活発化することで社会の効率性を高めることができ、社会の信頼関係、規範、ネットワークの重要性を説く概念が、ソーシャル・キャピタルであること。産業保健ではそのソーシャル・キャピタルの向上を積極的に推進することが望まれ、そのためにはコミュニケーションの向上が重要である。基盤的コミュニケーションを醸成して、コーチング的、能力開発的、パーソナリティの偏り・ストレス耐性が低い人へのコミュニケーション、支援的・共感的コミュニケーション等目的を合わせたコミュニケーションが求められる、とまとめた。
「SNSの普及と職場コミ」と題する2番手、(株)ピ-スマインド・イープル国際EAP研究センターの副センター長である渋谷英雄氏は、現場感のあるメンタルヘルス研修の講師を行っているが、非対面におけるカウンセリングのあり方を提唱している。SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービスのこと。SNSにおけるトラブルハラスメントにどう対処するか?リアル以上に、クリック前に一呼吸をおくこと、感情の吐露は他人の心を乱す可能性がある、未確認情報を拡散しない、個人情報については事前に本人に開示許可を得る、と氏は念を押す。職場のトラブルを防ぐものとして、SNSに関しての上司編・部下編を整理。ネットとスマホ依存度チェックに関しても説明があった。
三番手は、(株)ダイバーシティ・マネジメント研究会代表取締役河谷隆司氏の「グローバル・ダイバーシティの時代を生きる知恵」のテーマによる報告。氏は、日本人の文化特性に合った異文化マネジメントのあり方を求めて世界各地を歩く。報告の皮切りとして、現地社員と日本人のクロストーク典型例のエピソードをとして。「問題解決とオープンディスカッション」に関して、現地社員の声は、「本当の話し合いがありません」に対し、「会議をしても提案がでないじゃないか」の対応。さらに、「提案を取り入れてください」の要望に対し、「上司を説得するぐらいの気構えを持ってほしい」とあまりにも落差が大きい。大切なのは対話を通して異文化の人を導くことだが、我々の意図・真意が理解され協働効果を発揮できるものとして、「対話型リーダーシップ・プロセス」5つの行動原則を唱える。すなわち、①意味を伝える~前提・期待・考え・感情とその根拠を伝える、②相手を巻き込む~当事者意識を植え付け、自立行動を促す、③チームで働く~一緒に働き、チームの一体感を醸成する、④協働する~協力を超えた協働でシナジーを生み出す、⑤違いを尊重する~個人の違いを肯定的にとらえ、活かす、と。アジア現地社員の5大モチベーターは、帰属欲求、共有欲求、認知欲求、成長欲求、創造欲求だが、そのうちの認知欲求の大切さを強調する。その対応方法は、「相談する・意見を聞く、3レベルのフィードバックを毎日行う・直接ほめ、全員の前でも伝達する・努力や苦労に気づき声かけること」が大切。総じて多様な相手と一緒に働くと想像力と競争力が高まる、と結論付けた。
最後に「スギ薬局グループのメンタルヘルスの取り組み」と題する、(株)スギホールディングス副社長の杉浦昭子氏。現在グループ約900店舗を展開、かかりつけ薬局としての専門性を追求し、在宅医療、訪問看護にも対応できる地域医療対応型ドラックストアとして、地域への貢献に邁進している。まず、氏は経営者として、いつも、従業員に大切にするよう伝えていることが2つある、という。それは3K、つまり個人・家庭・会社であり、自分の健康である。「自分を大切にできなければ、お客様を大切にできない」という思いが、創業からの原点。それがメンタルヘルス対策につながったのでは、と控えめに語る。対策は産業医との連携からスタートする。メンタルヘルス推進室を創設する。メンタルヘルス110番で受付をする。そこまでは他会社で実施しているが、画期的なのは、東北震災被災者の雇用がある。そして、会社は練りにねったメンタルヘルス面談を開始する。管理者に傾聴等の基礎を徹底教育して。予防・早期発見・早期対応・再発防止・復職支援・自殺防止という多面的な状況への相談体制・対応が必要と考える。面談シートはきめ細かくて、もちろん人事考課面接とは別に実施する。身体・精神・家庭・環境・業務・プライベート等を網羅した内容ツールに構成されている。その効果は休職者がもちろん減少。管理監督者のメンタルヘルス研修を集中的に実施しているが、人的管理意識が飛躍的に向上した。うつ病を発見できるのは職場しかない。周囲で協力してコミュニケーションを緊密にし、小さな変化も見逃さないようにする。笑顔で仕事ができるように、より良い人間関係と働きがいのある職場の実現をめざすと、自信溢れる報告であった。
以上は産業カウンセラーのU氏に参加してもらってのレポートである。
ん~ん。おもしろそうだったね。じゃんじゃん。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://zoumatsu.asablo.jp/blog/2014/03/06/7238545/tb
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。