超・超・超 高齢社会2016年02月05日 13:43

 1月は一つしか書けませんでした。別に忙しかったわけではありませんが、やはり冬は気持ちがあがりませんね。
 実は今週は、昨週末から2度も地方に行っていました。
 1月30日は日高で春闘討論集会の学習会に呼ばれて、「ちょっと変わった仲間たち」の話をしてきました。まあまあ皆さん真面目に聞いていただけたと思います。
 2月の2日からは、稚内でした。
 これは葬式です。
 当センターに月一くらいで出入りしていたT氏が、64歳の若さで、転倒事故のためなくなったのです。
 詳しく書く気になれませんので、これくらいにしておきますが、お葬式は盛大でしたけど、全く私は悲しくありませんでした。心の中で、「どうしてもっと気をつけられなかったんだよぅ。ばかやろう」と言い続けていたからです。
 本当に惜しい人を亡くしたとはこのことでしょう。

 それで、今回のテーマは、「いまさら・・・」と言うことでしょうけど、本当に「びっくりしたなぁ」と思ったので書きます。

 いま、19日の「医療職場の意見交換会」で40分くらい話すことを頼まれていて、その組み立てをしていたのですが、やっているうちに「こりゃぁ大変だ」と気がつきました。

 まず、医療、特に看護師の集まりですから、夜勤などの労働条件や労働環境の話、そして、それに関わる最大の原因である「定員不足」と政府・厚労省のすっとぼけた政策、そして、おそらく嫌気がさして職場を去る最大の理由である「人間関係」という三つの要素で構成しようと考えました。

 労働条件では、時間外労働、しかもサービス残業の常態化や、夜勤回数の問題、さらに「72時間ルール」というものがあり、それが緩和されようとしていることなどです。そういっても、医療以外の産業の方にはわからないと思いますけど、「72時間ルール」はネットで簡単に調べられますので、そちらでお願いします。
 夜勤問題では、製造業などの夜勤と明らかに違うのは、「仮眠」の制度はあっても、それが実効的ではない。つまり、いつ「ナースコール」で呼び出されるかわからないという不安定な制度であること。また看護師の95%が女性であり、一定の年齢になると子育てが絡んできて、夜勤明けとはいえ十分な睡眠が確保できないなどのことから、慢性的に睡眠障害を発していることがあげられます。

 次に定員問題では、看護師の有資格者で現在職に就いていないのは、うちの連れ合いもそうですが、70万人いて、この方たちが全て職に就けば、一挙に現状は打開できるにもかかわらず、いままでろくな手を打ってこなかったため、これも慢性的に不足が続いています。
 さらに、厚労省は、看護師の離職理由として、「出産のため」、「結婚のため」、「他施設に興味」などだと言っていますが、これは全く違うでしょう。会場でも聞いてみようと思っていますが、第一の理由は、医師の態度を含め、人間関係に嫌気をさしてやめるケースがほとんどではないかと思います。
 これを打開するには、いわゆる「ヒラメ人間(上ばかり向いている)」ではなく、本当に医療現場を改善したいというトップの強い意志、そして中間管理職のマネジメント能力の引き上げ、ライフステージに合わせた柔軟な労働時間制度などが「潜在看護師」への有効な打開策になると考えました。

 三つ目は、ハラスメントをはじめとするストレスへの対応と言うことにしました。
 「病院はハラスメントの温床であり、あらゆる国のあらゆる調査で、病院におけるモラル・ハラスメントの発生率が高い」と言うことは、フランスの精神医学者であるマリー・フランスの言葉で、「モラルハラスメント」という概念を初めて提唱した方です。
 特に医療職場は、現場では医師を頂点に医療労働者がそれぞれの資格と能力で仕事をこなしていくのですが、ともすれば、医療上の上下関係=責任関係が、医療以外の関係にもなりかねないわけで、病院という経営体のマネジメントに医療の上下関係が色濃く出されると、「能力のない上司」が幅をきかせるという最悪の状況になることが多いのです。

 まあ、こんなことを考えていたところ、今後の医療職場を考えると、ふと、一つのことが頭に浮かびました。「ところで、団塊の世代はどこ行ったっけ。」と言うこと。

 団塊の世代は、1947年から49年にかけて生まれた900万人のことで、この世代が作った子供たちは、これまた1970年代に生まれて、大きなマスを作っています。団塊の世代は1947年生まれだと、いま69歳くらいで、全体がまもなく70歳代に突入することになります。
 国勢調査でもそれがはっきりしていて、2005年の国調では、北海道の場合55~59歳が47万人となっていますが、2010年の国調では、順調に、60~64歳が46万人となっています。今年の秋には2015の国調の結果が出ると思いますけど、今度は、65~69歳の「高齢者」に団塊の世代が入ってきますので、ドンと増えるはずです。
 しかも、最近は医療ががんばってくれるおかげで、年代を重ねるときの「減衰率」、つまり「くたばり率」が実に緩やかになっきていますから、団塊の世代はあまり減ることなく年を重ねていきます。
 しかも、この世代は小学校で50人学級という恐るべき経験をくぐり抜け、兄弟も多く切磋琢磨し、食糧難のなか粗食で育ってきましたので、結構、健康です。

 で、その結果が、図の通り人口ピラミッドが「ふた付き」になります。2035年には。団塊の世代が85歳くらいになるからです。

 まぁそこまでいかなくても、後9年後の2025年には、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の3,500万が3,400万人に総数では減るにもかかわらず、75歳以上の後期高齢者が175万人も増加するという予測になっているのですけど、これで、医療と介護はとっくにパンクすることになります。
 うちらの北海道でもこの9年間で20万人増えます。
 いま医療の病床数の総計が11万くらいで、へたすりゃこれから減少していくかもしれないのに、年寄りはどんどん増えてきます。
 これが大変でなくてなんでしょうか。

 いま職場では、親の介護や入院のために離職せざるを得ないベテランが多くなってきています。
 いまや二人に一人はがんになる時代でもあります。
 政府の掲げる「在宅医療」や「在宅介護」とは、なんと言うことはない、「はばけるから、面倒見ないぞ」と言うことではないのでしょうか。
 そんな政府はいりません。

 ベテランの離職の話は、稚内市役所の例として、亡くなったT氏から問題提起を受け、昨年の集会のテーマに「三大疾病と職場」とさせていただいたものです。
 寂しいですけど、これも運命かもと受け入れるしかないでしょう。
 心からご冥福をお祈りします。
 小さい声で、じゃんじゃん。 チ~ン、南無阿弥陀仏。


 追伸、私は1951年生まれですから、団塊の世代ではありません。念のため申し添えます。

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