シリーズ 睡眠について その42015年09月16日 10:00

 昨夜は函館で、アスベストの学習会でしたので、これは函館からお送りします。
 別に何の変化もありませんが。
 あ、例の苫小牧沖で火災を起こしたフェリーがホテルの窓から見えます。
 
 さて、

◎ アミノ酸トリプトファン

 トリプトファンとは牛乳から発見された必須アミノ酸のひとつで、人体内で自然に合成することができません。よって、食べ物から摂取することになります。
 トリプトファンは脳に運ばれると、鎮痛、催眠、精神の安定などの効果がある「セロトニン」という脳内物質をつくる原料となります。このセロトニンが不足すると、睡眠障害になったり不安感や憂鬱な気持ちになります。セロトニンそのものはトリプトファンを材料として体内で合成するもので、食べ物や飲み物で補うことができません。セロトニンにはメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を促す働きもあります。

 トリプトファンはバナナにも豊富に含まれています。バナナには他にも、精神を落ち着けるマグネシウム、睡眠を誘うビタミンB6なども含まれているので、バナナは睡眠を助けてくれる食べ物です。
 おなかがすいてなかなか寝付けないときや、疲れているのに頭が冴えてしまって眠れないときは、バナナと同じようにトリプトファンを含む牛乳を飲みながらバナナを一本食べるといいでしょう。トリプトファンの効果が倍増して脳内物質セロトニンが作られ、睡眠ホルモンのメラトニンが活発に分泌されることにより、ぐっすりと穏かな眠りに落ちることができます。

◎ 脳内物質セロトニン

 セロトニンと呼ばれる脳内物質が増えると、鎮静作用によって精神状態が落ち着いてイライラしなくなり、よく眠れるようになります。
 セロトニンは脳内で作られ、その材料となるトリプトファンというアミノ酸は肉や牛乳から摂ることができます。肉ばかりそうそう食べるわけにもいきませんから、セロトニンのもっとも効果的な取り入れ方は牛乳をたくさん飲むことです。また、トリプトファンをセロトニン工場である脳に送り込むためには、ブドウ糖も同時に体内に取り入れる必要があります。
 セロトニンは、睡眠導入作用のあるメラトニンというホルモンの分泌を促進します。体内にメラトニンが増えてくると、だんだんと眠くなってきます。
 セロトニンのもうひとつの大きな働きは、満腹中枢を刺激することです。食前にミルクを一杯飲むと、満腹中枢が反応し、早めに満腹信号が出されるために、つい食べ過ぎてしまうことを防げます。食事の前に必ずミルクを飲む習慣をつけておくと、食事量を抑えてダイエットにもつながります。さらに、豊富なセロトニンのおかげで精神状態も落ち着いてよく眠れるようになるので一石二鳥です。

◎ 睡眠ホルモンのメラトニンとは

 大脳の働きをサポートしている神経伝達物質やホルモンは、長時間活動した後、分解されます。この時「睡眠物質」と呼ばれるものが脳内に蓄積されていきます。この睡眠物質がだんだんたまってくると、人は疲労を感じて眠気に襲われます。睡眠をとると脳内にたまった睡眠物質がさっぱりと消えてなくなり、脳は再び活発に活動するようになります。なお、睡眠物質はある特定の一種類のものではなく、さまざまな種類があるようです。運動した後に疲れを感じるは乳酸という「疲労物質」が体内にたまるからであり、その疲労物質を取り除いてしまえば、疲れが回復することも知られています。脳の中でも同じようなことが起きているわけです。
 「メラトニン」は1958年に初めて発見され、眠りを誘うホルモンとしてよく知られています。メラトニンは脈拍、体温、血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを上手に調整し、自然な眠りを誘う作用があります。時差ぼけ防止にも効果があり、実際に時差ぼけ予防の薬として製品化されています。
 このメラトニンを分泌するのは脳の松果体と呼ばれている部分です。松果体は網膜が受ける光の量というデータを受け取り、その情報をもとにメラトニンの分泌量を決定します。目に入る光の量が減ると、それを感知した松果体がメラトニンを分泌します。メラトニンが分泌されると、体はそれを察知し周囲が暗くなってきたことを知ります。
 メラトニンには、太陽の光が朝に目に入ってから15時間前後たたないと分泌されないという性質があります。外が明るい時昼間にはほとんど分泌されず、夕方以降暗くなってくると分泌量が増えてきます。夜になるとさらに増えて、午前2時頃に分泌量がピークに達します。
 眠る前に部屋をすこし暗くすると眠りに入りやすいのは、このメラトニンの働きをうまく利用しているからです。眠りに落ちる頃にはメラトニンの分泌はかなり活発となり、自然な眠気が訪れることになります。朝に向かってだんだんとメラトニンは減少するにしたがって、覚醒に近づくことになります。
 年齢を重ねるごとにメラトニンの分泌は減っていきます。70歳を超えると、夜間になってもメラトニンの量は昼間と同じくらい少なくなります。このメラトニンの不足により、老人は朝が早く、夜中に何度も目が覚めてしまいます。夕方以降に人工的にメラトニンを投与すると、老人も夜ぐっすりと眠れるようになることがわかっています。

◎ メラトニンはどうやって増やす?

 睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンを増やすには、どうすればいいのでしょうか。

 牛乳やバナナなどに含まれるトリプトファンというアミノ酸は、セロトニンという脳内物質をつくる原料となります。そして、セロトニンは分解されるとメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を促す働きがあります。
 ぐっすり熟睡するために効果的なサプリメントとして、アメリカではメラトニンが注目されています。また、ナイトミルクという言葉を聞いたことがあるかもしれません。牛は夜になると昼間の3~4倍のメラトニンを分泌するため、夜に絞ったミルクを飲むとより多くのメラトニンを摂ることができ、より眠りやすくなります。また、メラトニンは「若返りのホルモン」とも言われています。睡眠を十分にとることで脳中でメラトニンが分泌され、若さを保てるというわけです。
 メラトニンは人体の内部で自然につくられるホルモンであり、朝起きて夜寝るという当たり前の生活サイクルを保っている限り、サプリメントで摂取する必要はありません。ただし、年齢とともにメラトニンの分泌は減少しますし、生活が不規則な方は正常にメラトニンが分泌されていないことがあります。明け方に目が覚めてしまうという方はメラトニン不足を補うために、サプリメントを夕方以降に飲むと自然に寝つき、朝早く起きてしまうこともなくなってくるはずです。
 サプリメントよりも食品でメラトニンを摂りたい方は、青汁の原料としても知られているケールがおすすめです。ケールとは地中海原産のアブラナ科の野菜で、キャベツやブロッコリーの原種です。ビタミン、ミネラル、食物繊維だけでなく、ビタミンA、ビタミンC、ベータカロチン、カルシウムを豊富に含んでいます。
 ケールそのものは、なかなか普通にスーパーで売っているものではありません。たいていは粉末の状態に加工されて売られていて、牛乳や水で溶かして飲むというのが一般的です。ケールを原料とした「青汁」を飲むのが、一番手軽な方法でしょう。青汁というと、朝に飲むというイメージがあるかもしれませんが、快眠のためにメラトニンを摂る、という目的の場合は、夕方以降に飲むのがいいでしょう。

睡眠の基礎知識、第4回でした。じゃんじゃん。

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