認知症サポーター その7 ― 2015年12月28日 10:12
私自身が認知症ではないことは、ご理解いただけたでしょうか。今のところの話ですけど。
それで、サポーターのお話の続きになりますが、様々な場面での考え方を整理しています。
○ 地域で
認知症の人が因っているようすが見えたら「なにかお手伝いすることがありますか」と一声かけてみます。たとえ、具体的な援助はできなくても理解者であることを示すことができます。
認知症の介護家族には、「近所に迷惑をかけているのでは」という思いがあることがあります。「大変ですね、お互いさまですから、お気づかいなく」といった一言や、ねぎらいの言葉をかけることで、家族の気持ちはぐっと楽になるものです。
より進んだ支援としては、日頃のおつきあいに応じて家族の不在時の見守りなどを担うことも考えられますが、踏み込みすぎないことも大切です。
<ケース1>
サポーターになったAさん。サポーターとしてなにができるかを考えてみたが、知り合いには認知症の人はいないし両親は既にいない。だが、散歩でよく会う老夫婦、いつも二人で一緒だが、奥さんの不安そうな面持ちと夫のようすが気になっている。二人の家とAさんの自宅とはほんの数メートルしか離れてはいないが、つきあいはまったくない。Aさんは、もし、奥さんが外で一人で困っているところを見たら力になろうと心に決めている。(サポーターの声)
○ マンションの管理員さんもサポーターに
マンションで暮らす高齢者が増えるなか、認知症の症状による近隣の人とのトラブルも目立つようになっています。マンションはドアを閉めれば外界と一線を画してしまうこと、日頃からのつきあいが希薄なことから、コミュニティの意識も低いことが多いといわれています。
マンション管理会社の中には、管理員全員が認知症サポーターになっている会社も増えていますが、マンションの管理員が認知症を理解しているだけでは十分ではありません。居住する一人ひとりが認知症になっても安心して暮らせるマンションをめざして、認知症への理解を深めていくことが必要です。
<ケース2>
学校でサポータ一養成講座を受け、オレンジリングをもらった高校生のBさん。腕につけることは気恥ずかしくカバンに入れたままだった。
学校からの帰り、自宅のあるマンションの入り口で中をうかがうようにしているおばあさんを見かけた。オートロックで閉め出されたようだったので、勇気をもって「こんにちは」と声をかけるとおばあさんから「こんにちは」と返事が返ってきた。「中に入りますか?」と尋ねて一緒に入るとおばあさんを探している家族と行き会うこともできた。お礼を言われたBさん、なんだか嬉しくなって、あのおばあさんにまた会ったら挨拶しよう、と思ったことを家族に話した。
○ はたらく場面で
地域ではたらく人の理解があれば認知症の人が一人で買い物や食事にでかけることが可能になります。日常生活に直接かかわる業種に従事している人びとの理解と協力は、認知症の人の地域での生活の継続にとって大きな支えとなります。
● 商店
日用品を扱う商店、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの来店者のなかには認知症の人もいます。計算間違いは、認知症の初期段階からあらわれやすいため、支払いの計算ができない、高額紙幣のみで買い物するなどといったことが見られますが、急がせず認知症の人のベースで対応できれば認知症の人が買物を楽しむこともできます。
まれに、記憶・判断能力の衰えから商品の代金を払うことを忘れたり、どこで払うかわからず無断で、持っていくという行動をとってしまうことも起こります。このような場合、まず、本人に声をかけて、「支払い」に気づいてもらいます。状況によっては家族などと連絡をとり、事情を把握したうえで、対応策を探ってみましょう。スーパーなどの大型商店では、対応する担当者を決めておくとスムーズな解決につなげることができます。
スーパーマーケットの中には組織全体で取り組む企業も出てきています。社員は腕になにかを付けられないことになっているため、オレンジリングではなく、胸に「ロバ隊長」バッジをつけたり、店内に「認知症の人が安心して買い物のできる店」であることを客にわかってもらうよう掲示をすることなどが実施されています。
<ケース3>
一緒に買い物にきた家族から連れがはぐれてしまったという訴えを受けたスーパーJ。あらかじめ作成してあったマニュアルに沿って、まず、館内にいる内に探せるよう手早く、同行者の了解をとって館内放送をした。名前だけでなく、年齢、服装の特徴などの情報を放送したところ、近くにいた人からの連絡でことなきを得た。家族のほっとした様子に救われた。
館内から出ていってしまうと事故などの心配があるため、手の空いている人を出口に急ぎ配して水際作戦も忘れないようにしてあった。
<ケース4>
A商店街では近くにできたグループホームの利用者がよく買い物にくるようになった。最初は認知症の人だからという気負いがあったが、笑顔でショッピングを楽しむお年寄りたちに接するうちに、ゆっくり買い物を楽しんでくださいという気持ちになってきた。お金のやりとりにも慣れ、店員のほうが逆に昔の食べ物の話などでお年寄りに教えてもらうこともある。
<ケース5>
Bスーパーでは、認知症に対応する担当者を決めている。担当者のC子さんは、年配の女性がもう何時間も売り場をうろうろしているのを目にした。そこで、女性に「お疲れでしょう。私はこれから休憩に入るのでご一緒にお茶でもいかがでしょうか」と声をかけた。女性は穏やかに、にこにこと自分の話をしたので、身元もわかり、家族に連絡をとることができた。
また「認知症の人が安心して買い物できる店」であることがお客にすぐわかるよう店員の名札に明記するといった工夫が提案され、実施に向けて準備している。
● 交通機関
路線パスの運転手や駅の職員なども、認知症の人と接する機会が多いでしょう。とくにパスの利用者には高齢者が多いので、認知症と思われる人がどこに行こうとしていたのかわからなくなって困っていたり、終点になっても降りようとしない、などの場合には、運転手が事務所に案内し、事務所の職員が対応にあたり、自宅や警察などに連絡を入れるようマニュアル等をつくっておくことが必要です。
<ケース6>
市営パスの運転手Dさんは、終点に着いても、降りようとせず呆然としている年配の男性に気づいた。座席まで行き「どちらに行かれるので
すか」と声をかけると、男性は10年前に廃線になった路線の停留所名をつぶやくばかり。男性の顔色があまりよくないことに気づいたDさんは、「事務所でお茶でも飲んでいきませんか」と誘い、事務の職員が男性に対応したが、持ち物にあった連絡先から家族とも連絡がとれ、大事にいたらずにすんだ。
<ケース7>
タクシー運転手Eさんは、認知症に関する研修会で、徘徊している認知症の人についてビデオ学習をした。Eさんには、ただひたすら前を向き協目もふらずにタッタッタと早足で歩く徘徊している人の特徴が印象に残った。以後は、運転中、街中を歩く人たちを意識して観察するようにしている。
そして「アレ?」と思うようすの高齢者を目にしたときは、最寄りの交番に連絡を入れて番地を伝え、来てもらうようにしている。交番にも認知症について知識をもったお巡りさんがいて対応にあたる。地域での連携体制ができている例である。
● 銀行・郵便局など
窓口業務の職員が、認知症の人が詐欺などの被害にあって多額の引き下ろし、振り込みをしていないかなどの目配りをし、犯罪被害を未然に防いでいる例もみられます。家族と連絡がとれる場合には、事情を説明し、対応策を改めて考えておくといいでしょう。
郵便配達職員は、配達先で認知症と思われるひとり暮らし高齢者と会う場面も多いでしょう。配達時に認知症の人のようすを、それとなく確認し、安全面の見守りを担うことも考えられます。
<ケース8>
F子さんが窓口業務をしている金融機関に、年配の女性が「通帳をなくした」と言って訪れた。紛失届けの方法を銀行のマニュアル通りに説明し手続きをしたが、その女性は同じように訴えて2度3度と窓口を訪れた。その頃から女性が認知症なのではないかと気になりはじめたF子さんは、4度目に、時聞をとって女性の話を聞いてみることに。女性はひとり暮らしだというが、今日の日付などについてもあやふやだった。しかし、話から市内に住む息子がいることがわかったため、F子さんは連絡をとり、息子はそれによってはじめて母の認知症の症状に気づいたという。
<ケース9>
郵便局で配達を担当するGさんは、ひとり暮らしの高齢者H男さんの郵便受けに新聞や郵便物が何回分もたまっていることに気づいた。局に戻って上司に報告すると、上司は市役所の福祉課に連絡した。福祉課が地域の民生委員に様子の確認を頼んだところ、H男さん宅は以前と明らかに違ったありさまで雑然としており、認知症が進んでいるらしいことが判明した。その報告を受けた福祉課の職員からその旨を家族に連絡することができた。
○ 家族の人は
認知症の人の家族は、道に迷ってしまうことを想定しておき、探索器を用意したり連絡先等を身につけておいたりして、万が一に備えます。
同居している場合には、「共倒れ」になることを避けるためにも、介護サービスをうまく使うことや、認知症の人を対象とする家族の会などからの情報を得ることも考えましょう。また、近隣住民からスムーズに協力を得るためには、認知症の人が家庭にいること、その状態についてなるべくオープンにしているほうがよいでしょう。
同居していない家族に対しての近隣からの情報は、よかれと思ってもいいにくいし、誤解を生みやすいものです。とくに離れて暮らす家族は近隣の人と密に連絡をすることが大切ではないでしょうか。
<ケース10>
I子さんの母は認知症で徘徊があり、家族が目を離したあいだに一人で電車に乗ってしまい、2駅隣の町で道に迷い保護されたこともある。母親が自動改札の使い方がわからないことに気づいたI子さんは、最寄りの駅の駅員に、母親の写真と特徴を紙に書いて渡し、自動改札を通れず立ち往生していることがあるかもしれないので、母を見かけたら、どのように対応してほしいか、連絡先を伝えて「よろしくお願いします」と頼んでいる。
※ 公益社団法人「認知症の人と家族の会」
● 電話相談 0120 -294-456 土・日・祝日を除く毎日、午前10:00~午後3:00まで。全国どこからでも無料(携帯、PHSは不可)。
本部の連絡先 〒602-8143 京都市上京区堀川丸太町下ル京都社会福祉会館内 TEL: 075-811-8195 FAX: 075-811-8188
http://www.alzheimer.or.jp/jp/index.html
(上記以外にも、「家族の会jがあります。地域包括支援センターなどにお問い合わせ下さい)
●北海道認知症コールセンター - 家族の会 -
札幌市中央区北2条西7丁目かでる2・7 4階
TEL 011-204-6006
○相談日 土・日・祝日・年末年始を除く毎日
○受付時間 10:00~15:00
● 北海道若年認知症の人と家族の会
〒060-0003
北海道札幌市中央区北3条西7丁目1-1 緑苑ビル608
TEL : 090-8270-2010 / TEL&FAX : 011-205-0804
URL : http://h-himawari.sakura.ne.jp
それで、サポーターのお話の続きになりますが、様々な場面での考え方を整理しています。
○ 地域で
認知症の人が因っているようすが見えたら「なにかお手伝いすることがありますか」と一声かけてみます。たとえ、具体的な援助はできなくても理解者であることを示すことができます。
認知症の介護家族には、「近所に迷惑をかけているのでは」という思いがあることがあります。「大変ですね、お互いさまですから、お気づかいなく」といった一言や、ねぎらいの言葉をかけることで、家族の気持ちはぐっと楽になるものです。
より進んだ支援としては、日頃のおつきあいに応じて家族の不在時の見守りなどを担うことも考えられますが、踏み込みすぎないことも大切です。
<ケース1>
サポーターになったAさん。サポーターとしてなにができるかを考えてみたが、知り合いには認知症の人はいないし両親は既にいない。だが、散歩でよく会う老夫婦、いつも二人で一緒だが、奥さんの不安そうな面持ちと夫のようすが気になっている。二人の家とAさんの自宅とはほんの数メートルしか離れてはいないが、つきあいはまったくない。Aさんは、もし、奥さんが外で一人で困っているところを見たら力になろうと心に決めている。(サポーターの声)
○ マンションの管理員さんもサポーターに
マンションで暮らす高齢者が増えるなか、認知症の症状による近隣の人とのトラブルも目立つようになっています。マンションはドアを閉めれば外界と一線を画してしまうこと、日頃からのつきあいが希薄なことから、コミュニティの意識も低いことが多いといわれています。
マンション管理会社の中には、管理員全員が認知症サポーターになっている会社も増えていますが、マンションの管理員が認知症を理解しているだけでは十分ではありません。居住する一人ひとりが認知症になっても安心して暮らせるマンションをめざして、認知症への理解を深めていくことが必要です。
<ケース2>
学校でサポータ一養成講座を受け、オレンジリングをもらった高校生のBさん。腕につけることは気恥ずかしくカバンに入れたままだった。
学校からの帰り、自宅のあるマンションの入り口で中をうかがうようにしているおばあさんを見かけた。オートロックで閉め出されたようだったので、勇気をもって「こんにちは」と声をかけるとおばあさんから「こんにちは」と返事が返ってきた。「中に入りますか?」と尋ねて一緒に入るとおばあさんを探している家族と行き会うこともできた。お礼を言われたBさん、なんだか嬉しくなって、あのおばあさんにまた会ったら挨拶しよう、と思ったことを家族に話した。
○ はたらく場面で
地域ではたらく人の理解があれば認知症の人が一人で買い物や食事にでかけることが可能になります。日常生活に直接かかわる業種に従事している人びとの理解と協力は、認知症の人の地域での生活の継続にとって大きな支えとなります。
● 商店
日用品を扱う商店、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの来店者のなかには認知症の人もいます。計算間違いは、認知症の初期段階からあらわれやすいため、支払いの計算ができない、高額紙幣のみで買い物するなどといったことが見られますが、急がせず認知症の人のベースで対応できれば認知症の人が買物を楽しむこともできます。
まれに、記憶・判断能力の衰えから商品の代金を払うことを忘れたり、どこで払うかわからず無断で、持っていくという行動をとってしまうことも起こります。このような場合、まず、本人に声をかけて、「支払い」に気づいてもらいます。状況によっては家族などと連絡をとり、事情を把握したうえで、対応策を探ってみましょう。スーパーなどの大型商店では、対応する担当者を決めておくとスムーズな解決につなげることができます。
スーパーマーケットの中には組織全体で取り組む企業も出てきています。社員は腕になにかを付けられないことになっているため、オレンジリングではなく、胸に「ロバ隊長」バッジをつけたり、店内に「認知症の人が安心して買い物のできる店」であることを客にわかってもらうよう掲示をすることなどが実施されています。
<ケース3>
一緒に買い物にきた家族から連れがはぐれてしまったという訴えを受けたスーパーJ。あらかじめ作成してあったマニュアルに沿って、まず、館内にいる内に探せるよう手早く、同行者の了解をとって館内放送をした。名前だけでなく、年齢、服装の特徴などの情報を放送したところ、近くにいた人からの連絡でことなきを得た。家族のほっとした様子に救われた。
館内から出ていってしまうと事故などの心配があるため、手の空いている人を出口に急ぎ配して水際作戦も忘れないようにしてあった。
<ケース4>
A商店街では近くにできたグループホームの利用者がよく買い物にくるようになった。最初は認知症の人だからという気負いがあったが、笑顔でショッピングを楽しむお年寄りたちに接するうちに、ゆっくり買い物を楽しんでくださいという気持ちになってきた。お金のやりとりにも慣れ、店員のほうが逆に昔の食べ物の話などでお年寄りに教えてもらうこともある。
<ケース5>
Bスーパーでは、認知症に対応する担当者を決めている。担当者のC子さんは、年配の女性がもう何時間も売り場をうろうろしているのを目にした。そこで、女性に「お疲れでしょう。私はこれから休憩に入るのでご一緒にお茶でもいかがでしょうか」と声をかけた。女性は穏やかに、にこにこと自分の話をしたので、身元もわかり、家族に連絡をとることができた。
また「認知症の人が安心して買い物できる店」であることがお客にすぐわかるよう店員の名札に明記するといった工夫が提案され、実施に向けて準備している。
● 交通機関
路線パスの運転手や駅の職員なども、認知症の人と接する機会が多いでしょう。とくにパスの利用者には高齢者が多いので、認知症と思われる人がどこに行こうとしていたのかわからなくなって困っていたり、終点になっても降りようとしない、などの場合には、運転手が事務所に案内し、事務所の職員が対応にあたり、自宅や警察などに連絡を入れるようマニュアル等をつくっておくことが必要です。
<ケース6>
市営パスの運転手Dさんは、終点に着いても、降りようとせず呆然としている年配の男性に気づいた。座席まで行き「どちらに行かれるので
すか」と声をかけると、男性は10年前に廃線になった路線の停留所名をつぶやくばかり。男性の顔色があまりよくないことに気づいたDさんは、「事務所でお茶でも飲んでいきませんか」と誘い、事務の職員が男性に対応したが、持ち物にあった連絡先から家族とも連絡がとれ、大事にいたらずにすんだ。
<ケース7>
タクシー運転手Eさんは、認知症に関する研修会で、徘徊している認知症の人についてビデオ学習をした。Eさんには、ただひたすら前を向き協目もふらずにタッタッタと早足で歩く徘徊している人の特徴が印象に残った。以後は、運転中、街中を歩く人たちを意識して観察するようにしている。
そして「アレ?」と思うようすの高齢者を目にしたときは、最寄りの交番に連絡を入れて番地を伝え、来てもらうようにしている。交番にも認知症について知識をもったお巡りさんがいて対応にあたる。地域での連携体制ができている例である。
● 銀行・郵便局など
窓口業務の職員が、認知症の人が詐欺などの被害にあって多額の引き下ろし、振り込みをしていないかなどの目配りをし、犯罪被害を未然に防いでいる例もみられます。家族と連絡がとれる場合には、事情を説明し、対応策を改めて考えておくといいでしょう。
郵便配達職員は、配達先で認知症と思われるひとり暮らし高齢者と会う場面も多いでしょう。配達時に認知症の人のようすを、それとなく確認し、安全面の見守りを担うことも考えられます。
<ケース8>
F子さんが窓口業務をしている金融機関に、年配の女性が「通帳をなくした」と言って訪れた。紛失届けの方法を銀行のマニュアル通りに説明し手続きをしたが、その女性は同じように訴えて2度3度と窓口を訪れた。その頃から女性が認知症なのではないかと気になりはじめたF子さんは、4度目に、時聞をとって女性の話を聞いてみることに。女性はひとり暮らしだというが、今日の日付などについてもあやふやだった。しかし、話から市内に住む息子がいることがわかったため、F子さんは連絡をとり、息子はそれによってはじめて母の認知症の症状に気づいたという。
<ケース9>
郵便局で配達を担当するGさんは、ひとり暮らしの高齢者H男さんの郵便受けに新聞や郵便物が何回分もたまっていることに気づいた。局に戻って上司に報告すると、上司は市役所の福祉課に連絡した。福祉課が地域の民生委員に様子の確認を頼んだところ、H男さん宅は以前と明らかに違ったありさまで雑然としており、認知症が進んでいるらしいことが判明した。その報告を受けた福祉課の職員からその旨を家族に連絡することができた。
○ 家族の人は
認知症の人の家族は、道に迷ってしまうことを想定しておき、探索器を用意したり連絡先等を身につけておいたりして、万が一に備えます。
同居している場合には、「共倒れ」になることを避けるためにも、介護サービスをうまく使うことや、認知症の人を対象とする家族の会などからの情報を得ることも考えましょう。また、近隣住民からスムーズに協力を得るためには、認知症の人が家庭にいること、その状態についてなるべくオープンにしているほうがよいでしょう。
同居していない家族に対しての近隣からの情報は、よかれと思ってもいいにくいし、誤解を生みやすいものです。とくに離れて暮らす家族は近隣の人と密に連絡をすることが大切ではないでしょうか。
<ケース10>
I子さんの母は認知症で徘徊があり、家族が目を離したあいだに一人で電車に乗ってしまい、2駅隣の町で道に迷い保護されたこともある。母親が自動改札の使い方がわからないことに気づいたI子さんは、最寄りの駅の駅員に、母親の写真と特徴を紙に書いて渡し、自動改札を通れず立ち往生していることがあるかもしれないので、母を見かけたら、どのように対応してほしいか、連絡先を伝えて「よろしくお願いします」と頼んでいる。
※ 公益社団法人「認知症の人と家族の会」
● 電話相談 0120 -294-456 土・日・祝日を除く毎日、午前10:00~午後3:00まで。全国どこからでも無料(携帯、PHSは不可)。
本部の連絡先 〒602-8143 京都市上京区堀川丸太町下ル京都社会福祉会館内 TEL: 075-811-8195 FAX: 075-811-8188
http://www.alzheimer.or.jp/jp/index.html
(上記以外にも、「家族の会jがあります。地域包括支援センターなどにお問い合わせ下さい)
●北海道認知症コールセンター - 家族の会 -
札幌市中央区北2条西7丁目かでる2・7 4階
TEL 011-204-6006
○相談日 土・日・祝日・年末年始を除く毎日
○受付時間 10:00~15:00
● 北海道若年認知症の人と家族の会
〒060-0003
北海道札幌市中央区北3条西7丁目1-1 緑苑ビル608
TEL : 090-8270-2010 / TEL&FAX : 011-205-0804
URL : http://h-himawari.sakura.ne.jp
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