マスクの洗い方は? 手袋の効果は? 新型コロナ感染予防 ― 2020年06月02日 10:38
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、わずか数カ月の間にマスクは日常のアイテムとなった。
世界保健機関(WHO)は、体調不良や病気の人の世話をする場合、病院で利用されているような医療用マスクの着用を推奨している。米疾病対策センター(CDC)の指針はさらに念入りで、人が密集した場所へ出かける場合には、布で顔を覆うよう推奨している。中にはこうした公的ガイドラインの上を行き、再利用可能な、あるいは使い捨ての手袋を身につける人もいる。
しかし、こうした感染予防のアイテムも間違った方法で使っていては、何も着用しないのと変わらない可能性があると、専門家は忠告する。マスクや手袋は頻繁に洗濯や交換をしなければ、それ自体にウイルスが蓄積し、保護していない手やその後に触るものにウイルスを付着させるかもしれないからだ。
「手袋を身につけていても、無防備にテーブルの表面などを触り、そのまま直接ハンドバッグの中に手を突っ込んでいるところを見ると、これで手袋など無意味になったなと思ってしまいます」。そう話すのは、米ジョンズ・ホプキンス大学の生物学的封じ込めユニットで看護師を指導しているジェイド・フリン氏だ。
パンデミック(世界的大流行)を引き起こした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を拡散させたり自ら感染したりしないために最も効果的な手段は、やはりソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保と頻繁な手洗いだと専門家たちは言う。
しかし、それでもマスクや手袋を身につけて外出する場合には、どうやって洗ったり廃棄したりすればよいのか。そしてなぜ衣類に付着するウイルスについてはあまり心配しなくてもよいのかを以下で紹介しよう。
布マスクの洗い方
WHOおよびCDCによれば、洗濯機で普通に洗えば布にコロナウイルスは残らない(CDCは洗濯機と乾燥機が使える布のフェイスマスクを使い、定期的に洗濯するように推奨しています)。
「コロナウイルスはエンベロープウイルスなので、洗剤に弱いんです」と、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のウイルス学者、レイチェル・グレアム氏は言う。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどは、表面張力によって脂質やたんぱく質が繋ぎ止められたデリケートな「エンベロープ」に包まれ、守られている。
ほとんどの家庭用および業務用の洗濯洗剤やせっけんには、表面張力を低下させてこのエンベロープをたやすく破壊する「界面活性剤」が含まれている。そう説明するのは、米ネブラスカ大学医療センターの病理学者、ジョシュア・サンターピア氏だ。
界面とは物質の境の面のことで、水と油脂の境界面もあてはまる。せっけんなどの界面活性剤の分子の一端は脂質になじみ(親油基または疎水基)、もう一方の端は水になじむ(親水基)。まず脂質になじむ側がコロナウイルスのエンベロープに入り込んで膜を破壊する。そして、ミセルと呼ばれる球状の構造体にエンベロープの脂質が取り込まれ、水で洗い流されるというわけだ。
「界面活性剤とエンベロープの相互作用は、ウイルスの感染力を素早く失わせます」と、サンターピア氏は言う。
洗剤を使いさえすれば、洗濯機で利用する水の温度は関係ない。「綿でできたマスクは高温にも耐えられるので、もしも高温で洗う方が安心だと感じるようであれば、そうしたらよいと思います」とグレアム氏は話す。さらに乾燥機を使用すれば、高熱によりほとんどの微生物を殺すことができる。(日本で一般的な繊細な生地のガーゼマスクなどについては、厚生労働省は手洗いを推奨し、乾燥機を使用しないようにすすめています)
医療用使い捨て不織布マスクやN95マスクの場合
布製のものと違って、使い捨てを想定している医療用マスクは合成繊維の不織布からできており、通常の洗濯には耐えられない。
「洗ってしまうと、フィルターとしての機能を大幅に損ないます」とサンターピア氏は話す。ただし、ウイルスのような小さな粒子を効果的にフィルタリングし、顔をぴたりと覆うドーム形のN95マスクについては、医療従事者たちは必要に迫られてマスクを再利用している。そのため、フリン氏やサンターピア氏の職場では、マスクの効果を落とさないような医療用の消毒剤が用いられている。
サンターピア氏の職場であるネブラスカの病院ではさらに、高エネルギーの紫外線であるUV-C光を用いてマスクの消毒を行っており、これによってマスクは複数回の利用が可能となる。CDCによれば、UV-CはUV-AやUV-Bよりも強力な紫外線で、癌を発生させるリスクが高いため、UV-Cを扱う訓練を受けた人による監督のもとで行われなければならない。
つまり一般市民にとっては、医療用マスクは使い捨てにするのが理想的ということだ。もし再利用するなら、ウイルスの感染力がなくなるまで置いておくのがよい。
と言ってもそれは一体、どのくらいの期間なのか。新型コロナウイルスが物質表面、空気中、そしてマスクでどの程度長く感染力を保つのかは、科学者たちがいまだに調査中だ。4月下旬に発表された査読無しの論文によれば、N95マスクの表面にはそれなりに長い時間、コロナウイルスの形跡が見られたという。
「数時間、ひょっとしたら数日間にわたって、ウイルスはマスクを含めた様々な表面の上で感染力を保っている、ということです」。同論文の著者の一人であり、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の感染症専門家であるアマンディーン・ギャンブル氏はそう話す。同氏は、コロナウイルスがマスクの繊維の間に閉じこめられるのではないかと考えている。その場合、一定時間経過後に感染力が自然に失われるまでは、感染の危険が続くことになる。このためCDCでは、N95マスクの着用が合計8時間を超えないよう推奨しており、製造者が特に異なる見解を示さない限り、5回利用した後には廃棄すべきとしている。
しかし、病院の外であっても、公共の場で繰り返し利用したマスクにはウイルスが蓄積し、着用者が誤ってウイルスに接触する可能性が高まる。
「覚えておくべきは、感染リスクは接触したウイルス粒子の数に比例するということです」と同氏は言う。「リスクはあるかないかではなく、段階的なものです」
手袋は効果があるのか
公衆衛生機関は、コロナウイルスを防ぐ目的で普段から手袋を着用することは推奨していない。
「傷があるのでない限り、皮膚は大変効果的な免疫バリアです」とグレアム氏は言う。さらにコロナウイルスが切り傷から侵入する証拠はないこと、コロナウイルスはうまく血流に乗れないことを付け加えた。
それでも防護のために手袋を着用したいのであれば、何も着用していない時と同じくらいに気を付けることが大切だ。なるべく物に触れず、そしてとにかく、顔を触らない。
「私が懸念しているのは、手袋を着用することで自分が守られているように思う人がいることです」。そう話すのは、英ケンブリッジ大学のウイルス学者、ジェーン・グレトレクス氏だ。手袋は「廃棄するか、手と同じように洗わなければなりません」
CDCでは、手袋を外す際のやり方をステップごとに解説し、外した後には手を洗うことを推奨している。
「使い捨ての手袋は本来、洗うことを想定されていないため、穴を開けてしまう可能性が高いと思います」とサンターピア氏は言う。「手袋の着用よりも、手を清潔に保つことを考えたほうがよいでしょう」
その他の衣類
日用品の買い出しに行ったからと言って、着ていた服を捨てなければならないわけではない。なぜなら、コロナウイルスのようにエンベロープを持つウイルスは、綿のシャツやポリエステルのブラウス、デニムジーンズ等、通気性のある素材の上では長く感染力を保てないからだ。
コロナウイルスは主に飛沫によって拡散する。飛沫はほとんどが水分から成り、別の感染先にたどり着くまでの間ウイルスの水分を保つ。数日間から数週間あれば、単純に乾燥させることでウイルスの感染力を失わせることができる。そう話すのは、様々な物質の表面からウイルスがどのように移動するのかを研究してきた、米アリゾナ大学の環境微生物学者ジェラルド・ロペス氏だ。
新型コロナウイルスほど容易に拡散する病原体の場合、手、マスク、ドアノブ、携帯電話等、人が触れるものは何であれ頻繁に消毒することが重要だと同氏は言う。「ウイルスが表面に留まる可能性を軽視しないことです」
だが、日常で身につける衣服をさほど心配する必要はない。飛沫が綿などの布表面に付着した場合、布が水分をいくらか吸収し飛沫を乾燥させて、壊れやすいエンベロープを空気にさらすからだ。
「外側の脂質の膜はやがて完全に乾燥し、受容体に結びつくために必要なたんぱく質が働かなくなります」とロペス氏は言う。ウイルスの遺伝物質は残るかもしれないが、「もはや存続不可能な状態です」。あとは洗濯機が何とかしてくれるだろう。
ということですが、だんだんマスクが市場に出回り始めてきたし、キッチン用のアルコール(成分はエタノール)なら、比較的手に入りやすい。
キッチン用は「生ごみの消臭」と表示されているから結構気が付かないで見逃していることが多そうだ。
ウイズ・コロナだか何だか知らないが、付き合うしかないのかね。
てか、じゃんじゃん。
世界保健機関(WHO)は、体調不良や病気の人の世話をする場合、病院で利用されているような医療用マスクの着用を推奨している。米疾病対策センター(CDC)の指針はさらに念入りで、人が密集した場所へ出かける場合には、布で顔を覆うよう推奨している。中にはこうした公的ガイドラインの上を行き、再利用可能な、あるいは使い捨ての手袋を身につける人もいる。
しかし、こうした感染予防のアイテムも間違った方法で使っていては、何も着用しないのと変わらない可能性があると、専門家は忠告する。マスクや手袋は頻繁に洗濯や交換をしなければ、それ自体にウイルスが蓄積し、保護していない手やその後に触るものにウイルスを付着させるかもしれないからだ。
「手袋を身につけていても、無防備にテーブルの表面などを触り、そのまま直接ハンドバッグの中に手を突っ込んでいるところを見ると、これで手袋など無意味になったなと思ってしまいます」。そう話すのは、米ジョンズ・ホプキンス大学の生物学的封じ込めユニットで看護師を指導しているジェイド・フリン氏だ。
パンデミック(世界的大流行)を引き起こした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を拡散させたり自ら感染したりしないために最も効果的な手段は、やはりソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保と頻繁な手洗いだと専門家たちは言う。
しかし、それでもマスクや手袋を身につけて外出する場合には、どうやって洗ったり廃棄したりすればよいのか。そしてなぜ衣類に付着するウイルスについてはあまり心配しなくてもよいのかを以下で紹介しよう。
布マスクの洗い方
WHOおよびCDCによれば、洗濯機で普通に洗えば布にコロナウイルスは残らない(CDCは洗濯機と乾燥機が使える布のフェイスマスクを使い、定期的に洗濯するように推奨しています)。
「コロナウイルスはエンベロープウイルスなので、洗剤に弱いんです」と、米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のウイルス学者、レイチェル・グレアム氏は言う。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどは、表面張力によって脂質やたんぱく質が繋ぎ止められたデリケートな「エンベロープ」に包まれ、守られている。
ほとんどの家庭用および業務用の洗濯洗剤やせっけんには、表面張力を低下させてこのエンベロープをたやすく破壊する「界面活性剤」が含まれている。そう説明するのは、米ネブラスカ大学医療センターの病理学者、ジョシュア・サンターピア氏だ。
界面とは物質の境の面のことで、水と油脂の境界面もあてはまる。せっけんなどの界面活性剤の分子の一端は脂質になじみ(親油基または疎水基)、もう一方の端は水になじむ(親水基)。まず脂質になじむ側がコロナウイルスのエンベロープに入り込んで膜を破壊する。そして、ミセルと呼ばれる球状の構造体にエンベロープの脂質が取り込まれ、水で洗い流されるというわけだ。
「界面活性剤とエンベロープの相互作用は、ウイルスの感染力を素早く失わせます」と、サンターピア氏は言う。
洗剤を使いさえすれば、洗濯機で利用する水の温度は関係ない。「綿でできたマスクは高温にも耐えられるので、もしも高温で洗う方が安心だと感じるようであれば、そうしたらよいと思います」とグレアム氏は話す。さらに乾燥機を使用すれば、高熱によりほとんどの微生物を殺すことができる。(日本で一般的な繊細な生地のガーゼマスクなどについては、厚生労働省は手洗いを推奨し、乾燥機を使用しないようにすすめています)
医療用使い捨て不織布マスクやN95マスクの場合
布製のものと違って、使い捨てを想定している医療用マスクは合成繊維の不織布からできており、通常の洗濯には耐えられない。
「洗ってしまうと、フィルターとしての機能を大幅に損ないます」とサンターピア氏は話す。ただし、ウイルスのような小さな粒子を効果的にフィルタリングし、顔をぴたりと覆うドーム形のN95マスクについては、医療従事者たちは必要に迫られてマスクを再利用している。そのため、フリン氏やサンターピア氏の職場では、マスクの効果を落とさないような医療用の消毒剤が用いられている。
サンターピア氏の職場であるネブラスカの病院ではさらに、高エネルギーの紫外線であるUV-C光を用いてマスクの消毒を行っており、これによってマスクは複数回の利用が可能となる。CDCによれば、UV-CはUV-AやUV-Bよりも強力な紫外線で、癌を発生させるリスクが高いため、UV-Cを扱う訓練を受けた人による監督のもとで行われなければならない。
つまり一般市民にとっては、医療用マスクは使い捨てにするのが理想的ということだ。もし再利用するなら、ウイルスの感染力がなくなるまで置いておくのがよい。
と言ってもそれは一体、どのくらいの期間なのか。新型コロナウイルスが物質表面、空気中、そしてマスクでどの程度長く感染力を保つのかは、科学者たちがいまだに調査中だ。4月下旬に発表された査読無しの論文によれば、N95マスクの表面にはそれなりに長い時間、コロナウイルスの形跡が見られたという。
「数時間、ひょっとしたら数日間にわたって、ウイルスはマスクを含めた様々な表面の上で感染力を保っている、ということです」。同論文の著者の一人であり、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の感染症専門家であるアマンディーン・ギャンブル氏はそう話す。同氏は、コロナウイルスがマスクの繊維の間に閉じこめられるのではないかと考えている。その場合、一定時間経過後に感染力が自然に失われるまでは、感染の危険が続くことになる。このためCDCでは、N95マスクの着用が合計8時間を超えないよう推奨しており、製造者が特に異なる見解を示さない限り、5回利用した後には廃棄すべきとしている。
しかし、病院の外であっても、公共の場で繰り返し利用したマスクにはウイルスが蓄積し、着用者が誤ってウイルスに接触する可能性が高まる。
「覚えておくべきは、感染リスクは接触したウイルス粒子の数に比例するということです」と同氏は言う。「リスクはあるかないかではなく、段階的なものです」
手袋は効果があるのか
公衆衛生機関は、コロナウイルスを防ぐ目的で普段から手袋を着用することは推奨していない。
「傷があるのでない限り、皮膚は大変効果的な免疫バリアです」とグレアム氏は言う。さらにコロナウイルスが切り傷から侵入する証拠はないこと、コロナウイルスはうまく血流に乗れないことを付け加えた。
それでも防護のために手袋を着用したいのであれば、何も着用していない時と同じくらいに気を付けることが大切だ。なるべく物に触れず、そしてとにかく、顔を触らない。
「私が懸念しているのは、手袋を着用することで自分が守られているように思う人がいることです」。そう話すのは、英ケンブリッジ大学のウイルス学者、ジェーン・グレトレクス氏だ。手袋は「廃棄するか、手と同じように洗わなければなりません」
CDCでは、手袋を外す際のやり方をステップごとに解説し、外した後には手を洗うことを推奨している。
「使い捨ての手袋は本来、洗うことを想定されていないため、穴を開けてしまう可能性が高いと思います」とサンターピア氏は言う。「手袋の着用よりも、手を清潔に保つことを考えたほうがよいでしょう」
その他の衣類
日用品の買い出しに行ったからと言って、着ていた服を捨てなければならないわけではない。なぜなら、コロナウイルスのようにエンベロープを持つウイルスは、綿のシャツやポリエステルのブラウス、デニムジーンズ等、通気性のある素材の上では長く感染力を保てないからだ。
コロナウイルスは主に飛沫によって拡散する。飛沫はほとんどが水分から成り、別の感染先にたどり着くまでの間ウイルスの水分を保つ。数日間から数週間あれば、単純に乾燥させることでウイルスの感染力を失わせることができる。そう話すのは、様々な物質の表面からウイルスがどのように移動するのかを研究してきた、米アリゾナ大学の環境微生物学者ジェラルド・ロペス氏だ。
新型コロナウイルスほど容易に拡散する病原体の場合、手、マスク、ドアノブ、携帯電話等、人が触れるものは何であれ頻繁に消毒することが重要だと同氏は言う。「ウイルスが表面に留まる可能性を軽視しないことです」
だが、日常で身につける衣服をさほど心配する必要はない。飛沫が綿などの布表面に付着した場合、布が水分をいくらか吸収し飛沫を乾燥させて、壊れやすいエンベロープを空気にさらすからだ。
「外側の脂質の膜はやがて完全に乾燥し、受容体に結びつくために必要なたんぱく質が働かなくなります」とロペス氏は言う。ウイルスの遺伝物質は残るかもしれないが、「もはや存続不可能な状態です」。あとは洗濯機が何とかしてくれるだろう。
ということですが、だんだんマスクが市場に出回り始めてきたし、キッチン用のアルコール(成分はエタノール)なら、比較的手に入りやすい。
キッチン用は「生ごみの消臭」と表示されているから結構気が付かないで見逃していることが多そうだ。
ウイズ・コロナだか何だか知らないが、付き合うしかないのかね。
てか、じゃんじゃん。
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