アンガーマネジメントと上司の器 ― 2016年09月30日 10:11
(アンガーマネジメント協会 ブログ より)
長い人生で出会う人の数は、平均3万人ともいわれています。ビジネスパーソンにとって、その多くは仕事の関係で出会う人かもしれません。起きている時間の大部分を職場で過ごすビジネスパーソンが、職場でどんな人と一緒に働くか、ということは大きな要因です。
とくに、若いときの上司や先輩に影響を受けた、とおっしゃる人は多く、自分が新人のときに、どのように育ててもらったか、ということが、自分の部下育成に大きく影響を受けている方もいらっしゃるようです。
◆怒りが生まれる3段階
アンガーマネジメントでは、怒りは瞬間的に生まれるものではなく、怒りが生まれる仕組みがあると考えます。人は瞬間的に怒るのではなく、必ず次の3ステップを経て怒るようにできています。
(1)「出来事に出会う」
(2)「意味づけを行う」
(3)「怒りの感情が生まれる」
同じ出来事に出会ったとしても、「意味づけ」は人それぞれ違います。 同じ出来事でも、腹立たしいととらえることも、楽しい・笑える・可愛いもんだととらえることもできるのです。
◆怒って育てるか、笑って育てるか
「お客様に日本茶をお出しして」と指示を受けた新人秘書。お茶の淹れ方がわからず、ティースプーン一杯ずつの茶葉を各々の湯飲みに入れ、お湯を注ぐ、というインスタントコーヒーさながらの技を進行していました。様子を見に来た先輩のベテラン秘書は、驚きました。
「お茶の淹れ方、知らないの?」
「はい、家のお茶はペットボトルですので・・・」
ベテラン秘書は、ジェネレーションギャップに気づき、豪快に笑って「ごめん、ごめん、知っていると思って、ちゃんと教えなかった私が悪いわね」と言いながら、お茶の淹れ方を見せながら教えました。
このケースの先輩秘書は、面白い・笑えると意味づけをしましたが、腹立たしいと意味づけをしていたら、生まれる感情とその後の行動も変わります。ネガティブな意味づけによって表出された感情や行動は、未来を変えてしまいます。
この新人秘書は、委縮せずに仕事を覚えていった経験から、後輩を叱らずに育てる先輩秘書として指導役をしています。
◆文句が多いと受け取るか、意欲があると受け取るか
仕事を完璧にしたいと思っている人ほど、要望も多くなるものです。こういう環境を整えてほしい、あれが足りない、時間がほしい、人を回してほしい、報酬を上げてほしい・・・。
「あいつ、文句が多いですね、部長」
「彼のやる気をかって抜擢したんだ。あれくらいは、可愛い“おねだり”だよ。」
部下の行動にポジティブな意味づけをする上司の下では、部下も能力を発揮しやすいため、意味づけ上手な上司は、チームの生産性を上げることができます。
感情が安定した上司を、包容力がある・信頼できる・人望があるなどと表現する部下も多く、自分もそのような上司になりたいと目指す連鎖が生まれます。
人柄を表す言葉に、「器が大きい」という表現があるように、アンガーマネジメントでは、私たちの心の中にはコップがある、と私たちは、お伝えしています。実は、この心の中のコップは、アンガーマネジメントを学ぶことで、大きくすることができるのです。
アンガーマネジメントを取り入れた、企業や官公庁での「管理職研修」・「リーダーシップ研修」・「部下育成研修」などでは、その方法もお伝えしています。
個人で学びたい方には、「アンガーマネジメント入門講座」、「アンガーマネジメント応用講座」の中でも「心のコップ」を大きくする方法をお伝えしています。日本アンガーマネジメント協会のホームページからお申込みいただけます。
日本アンガーマネジメント協会 https://www.angermanagement.co.jp/
長い人生で出会う人の数は、平均3万人ともいわれています。ビジネスパーソンにとって、その多くは仕事の関係で出会う人かもしれません。起きている時間の大部分を職場で過ごすビジネスパーソンが、職場でどんな人と一緒に働くか、ということは大きな要因です。
とくに、若いときの上司や先輩に影響を受けた、とおっしゃる人は多く、自分が新人のときに、どのように育ててもらったか、ということが、自分の部下育成に大きく影響を受けている方もいらっしゃるようです。
◆怒りが生まれる3段階
アンガーマネジメントでは、怒りは瞬間的に生まれるものではなく、怒りが生まれる仕組みがあると考えます。人は瞬間的に怒るのではなく、必ず次の3ステップを経て怒るようにできています。
(1)「出来事に出会う」
(2)「意味づけを行う」
(3)「怒りの感情が生まれる」
同じ出来事に出会ったとしても、「意味づけ」は人それぞれ違います。 同じ出来事でも、腹立たしいととらえることも、楽しい・笑える・可愛いもんだととらえることもできるのです。
◆怒って育てるか、笑って育てるか
「お客様に日本茶をお出しして」と指示を受けた新人秘書。お茶の淹れ方がわからず、ティースプーン一杯ずつの茶葉を各々の湯飲みに入れ、お湯を注ぐ、というインスタントコーヒーさながらの技を進行していました。様子を見に来た先輩のベテラン秘書は、驚きました。
「お茶の淹れ方、知らないの?」
「はい、家のお茶はペットボトルですので・・・」
ベテラン秘書は、ジェネレーションギャップに気づき、豪快に笑って「ごめん、ごめん、知っていると思って、ちゃんと教えなかった私が悪いわね」と言いながら、お茶の淹れ方を見せながら教えました。
このケースの先輩秘書は、面白い・笑えると意味づけをしましたが、腹立たしいと意味づけをしていたら、生まれる感情とその後の行動も変わります。ネガティブな意味づけによって表出された感情や行動は、未来を変えてしまいます。
この新人秘書は、委縮せずに仕事を覚えていった経験から、後輩を叱らずに育てる先輩秘書として指導役をしています。
◆文句が多いと受け取るか、意欲があると受け取るか
仕事を完璧にしたいと思っている人ほど、要望も多くなるものです。こういう環境を整えてほしい、あれが足りない、時間がほしい、人を回してほしい、報酬を上げてほしい・・・。
「あいつ、文句が多いですね、部長」
「彼のやる気をかって抜擢したんだ。あれくらいは、可愛い“おねだり”だよ。」
部下の行動にポジティブな意味づけをする上司の下では、部下も能力を発揮しやすいため、意味づけ上手な上司は、チームの生産性を上げることができます。
感情が安定した上司を、包容力がある・信頼できる・人望があるなどと表現する部下も多く、自分もそのような上司になりたいと目指す連鎖が生まれます。
人柄を表す言葉に、「器が大きい」という表現があるように、アンガーマネジメントでは、私たちの心の中にはコップがある、と私たちは、お伝えしています。実は、この心の中のコップは、アンガーマネジメントを学ぶことで、大きくすることができるのです。
アンガーマネジメントを取り入れた、企業や官公庁での「管理職研修」・「リーダーシップ研修」・「部下育成研修」などでは、その方法もお伝えしています。
個人で学びたい方には、「アンガーマネジメント入門講座」、「アンガーマネジメント応用講座」の中でも「心のコップ」を大きくする方法をお伝えしています。日本アンガーマネジメント協会のホームページからお申込みいただけます。
日本アンガーマネジメント協会 https://www.angermanagement.co.jp/
第23回産業ストレス学会 一次予防とは ― 2015年12月18日 15:14

12/11~12に京都で、標記学会があり、参加してきました。
京都はいつもだと紅葉の時期が終わる頃だそうですけど、今年は暖かいので、十分紅葉しないうちに風で落ちてしまうとの事前情報でしたが、結構きれいでした。
それで、産業ストレス学会については、昨年も報告しましたけど、多少の違和感を感じながらでした。そして、今年は徹底的に、違和感を確信しましたので、来年からは行かないと思います。
今回の報告の内容は、「職場のメンタルヘルスの第一次予防 職場が元気になる効果的アプローチ」です。
まず、座長のいう「メンタル不調者のために企業等では職場復帰支援の負担が増加し、手詰まり感を感じている産業保健スタッフの方が多いと思われます。」とか、「メンタルヘルス不調の第一次予防対策への関心が高まっています。メンタルヘルスの一次予防といっても手法は様々です。」あたりはまさにその通りなのですが、問題は中味でした。
一人目の報告者は、参天製薬株式会社の保健師からの報告で、企業の事業所統合に際し、「環境変化に伴う移転前後における業務量増大や心理的負担等様々なストレスからの健康障害のリスクが危倶されたため、そのリスクを低減することで生産性の維持向上に寄与することを目的として、2012年度、2013年度とメンタルヘルスに着目した健康支援を実施した。」と言うことで、「睡眠の重要性が従業員に浸透し、移転3カ月後より移転6か月後の健康度調査の結果が向上した。また、メンタル疾患での休業率が過去5年間の平均休業率と比較して約30%改善した。」という効果があったそうです。特に睡眠キャンペーンを行い、成果を上げたようですが、質問で、「経営幹部の承認はどう受けたのか」に対しては、「単純にしつこく説明した」と言うだけでした。
確かに産業保健を経営幹部に説明することは、特に理解のある幹部でなければ邪魔くさいと思われるだけでしょうから、しつこいと思われても理解を求めることは必要でしょうと思いました。
この報告は、単にふ~んと思うだけでした。
二人目は、まず「変人」でした。
人間性心理学を専攻する准教授だそうですけど、最初に、「幸せな働き方を考え続けてきたが、特に問題とされるメンタル不調について、多くの産業保健は「予防したほうがよいもの」と決めつけているのはいかがなものか。うつ状態は正常な生体反応なのだから、安全な形で関わり続けることが必要」という、何ともわかりづらい話から始まりました。「メンタル不調は必然だ」などと言われていすから転げ落ちそうになりました。実際、わたしは「帰ろうかな」と思いました。
特にこの人が言いたかったのは、自分も一時ウツになったが、それは年齢的なもので、周りにも多くの悩みを抱える人がいて、「自分たちのための将来計画ワークショップ」を始めたところ、そこで多くのことを学び、メンタルヘルス研修にも活用できるようになったということらしい。
また、「フォーカシング的態度」というよくわからないことを持ち出して、要するに「小学校1年生の自分が今の自分に会いに来ても質問させないような自分になれているか・・・」と言うことらしいけど、これは、「外在化」で説明できることで、こんなに大げさに言うことでもないような気がしました。
「ネガティブな感情のなかにこそ資源がある」とのたまい、とにかく変人でした。
三人目は、京都府の行政職場における「職場ドック」で、高知県がやったものをまねてやってみたということでした。まあ参考になったのは、職場の改善リーダーを3年間で全ての職場に配置できたと言うことで、会場からも「どうして全てに配置できたのか」との質問がありましたが、答えは、「上からの指示でしたから」と言うことなので、果たして本当に機能しているかどうかと思いました。
違和感は一言で言うと、レベルの低さです。昨年も「精神科医や産業保健師などの産業保健スタッフがこの程度の答えしか持っていないのか」というのが、一番感じたことで、これが違和感となって残ったのですが、今年はそれがさらに大きくなったと言うことです。
この学会でただ一ついいことは、講演写真をバチバチ撮ってもいいことで、産業衛生学会はおつにすまして「とっちゃだめ」ですから、その点だけは認めましょう。
「彦にゃん」にあってきました。
じゃんじゃん。
京都はいつもだと紅葉の時期が終わる頃だそうですけど、今年は暖かいので、十分紅葉しないうちに風で落ちてしまうとの事前情報でしたが、結構きれいでした。
それで、産業ストレス学会については、昨年も報告しましたけど、多少の違和感を感じながらでした。そして、今年は徹底的に、違和感を確信しましたので、来年からは行かないと思います。
今回の報告の内容は、「職場のメンタルヘルスの第一次予防 職場が元気になる効果的アプローチ」です。
まず、座長のいう「メンタル不調者のために企業等では職場復帰支援の負担が増加し、手詰まり感を感じている産業保健スタッフの方が多いと思われます。」とか、「メンタルヘルス不調の第一次予防対策への関心が高まっています。メンタルヘルスの一次予防といっても手法は様々です。」あたりはまさにその通りなのですが、問題は中味でした。
一人目の報告者は、参天製薬株式会社の保健師からの報告で、企業の事業所統合に際し、「環境変化に伴う移転前後における業務量増大や心理的負担等様々なストレスからの健康障害のリスクが危倶されたため、そのリスクを低減することで生産性の維持向上に寄与することを目的として、2012年度、2013年度とメンタルヘルスに着目した健康支援を実施した。」と言うことで、「睡眠の重要性が従業員に浸透し、移転3カ月後より移転6か月後の健康度調査の結果が向上した。また、メンタル疾患での休業率が過去5年間の平均休業率と比較して約30%改善した。」という効果があったそうです。特に睡眠キャンペーンを行い、成果を上げたようですが、質問で、「経営幹部の承認はどう受けたのか」に対しては、「単純にしつこく説明した」と言うだけでした。
確かに産業保健を経営幹部に説明することは、特に理解のある幹部でなければ邪魔くさいと思われるだけでしょうから、しつこいと思われても理解を求めることは必要でしょうと思いました。
この報告は、単にふ~んと思うだけでした。
二人目は、まず「変人」でした。
人間性心理学を専攻する准教授だそうですけど、最初に、「幸せな働き方を考え続けてきたが、特に問題とされるメンタル不調について、多くの産業保健は「予防したほうがよいもの」と決めつけているのはいかがなものか。うつ状態は正常な生体反応なのだから、安全な形で関わり続けることが必要」という、何ともわかりづらい話から始まりました。「メンタル不調は必然だ」などと言われていすから転げ落ちそうになりました。実際、わたしは「帰ろうかな」と思いました。
特にこの人が言いたかったのは、自分も一時ウツになったが、それは年齢的なもので、周りにも多くの悩みを抱える人がいて、「自分たちのための将来計画ワークショップ」を始めたところ、そこで多くのことを学び、メンタルヘルス研修にも活用できるようになったということらしい。
また、「フォーカシング的態度」というよくわからないことを持ち出して、要するに「小学校1年生の自分が今の自分に会いに来ても質問させないような自分になれているか・・・」と言うことらしいけど、これは、「外在化」で説明できることで、こんなに大げさに言うことでもないような気がしました。
「ネガティブな感情のなかにこそ資源がある」とのたまい、とにかく変人でした。
三人目は、京都府の行政職場における「職場ドック」で、高知県がやったものをまねてやってみたということでした。まあ参考になったのは、職場の改善リーダーを3年間で全ての職場に配置できたと言うことで、会場からも「どうして全てに配置できたのか」との質問がありましたが、答えは、「上からの指示でしたから」と言うことなので、果たして本当に機能しているかどうかと思いました。
違和感は一言で言うと、レベルの低さです。昨年も「精神科医や産業保健師などの産業保健スタッフがこの程度の答えしか持っていないのか」というのが、一番感じたことで、これが違和感となって残ったのですが、今年はそれがさらに大きくなったと言うことです。
この学会でただ一ついいことは、講演写真をバチバチ撮ってもいいことで、産業衛生学会はおつにすまして「とっちゃだめ」ですから、その点だけは認めましょう。
「彦にゃん」にあってきました。
じゃんじゃん。
労災保険審査参与勉強会 その2 ― 2015年12月15日 10:43
さて、その中味の問題ですが、最初に出てきた厚労省の「労災保険審査制度」に関する説明(係長級)は、話し方も聞きづらかったのですが、とにかく内容がプアで、困りました。
最近就任された方にはよかったのかもしれませんけど、本質的な制度の位置づけや参与の役割については、うわべだけで終わり、来年4月から行政不服審査法の改正により審査制度が変更される点についても、現実離れした説明に終始していました。
何がというと、改正により「口頭意見陳述の充実」を審査官レベル(地方労働局)で充実させると言うことになっていますが、今まで一切口頭意見陳述は行われていませんでしたから、これから始めることになりますが、これは雇用保険の立会(申請者と原処分庁の同席)を労災でも行うことになるので、件数の多い労災の場合は非現実的と思います。
ただ、前回書いた「前置主義」がゆるむようなので、これはいいことです。なんせ不服審査では「棄却」の見通しがついてしまいますが、司法の場では、代理人の腕次第で、認定基準によらない判断もできるからです。したがってますます行政不服訴訟が増えると思います。弁護士は余っているようですから、仕事が増えるのはいいのですが、申請者は費用がかさみます。
次に、「精神障害の労災認定~実務上の問題点と工夫・苦労」と言うことで、弁護士からのお話でした。
このお話で注目したのは、「業務外の精神障害が悪化した場合の業務起因性」と言うことでした。
H23年末に出された精神障害の認定基準(それまでは判断指針でした)では、すでに精神障害を発症した病歴があると、寛解した場合(ほとんど症状がなくなった状態)では、認定基準に沿って新たに業務上外の判断をしますが、その場合でも「ストレスへの脆弱性」がマイナス要因となります。
また、現在治療中にあると、「業務上の理由により悪化」とは考えずに、「特別な出来事」と称し、月の時間外労働が160時間、3週間で120時間以上、あるいは、生死に関わるような出来事にあったなどがなければ、業務起因性を認めないことになっています。
これでは、ほとんどの精神障害は認定されないことになります。つまり、今までなんにも精神に問題のなかった「メンタルタフ」が精神疾患にかかった場合しか認定されないと言うことです。そこを実務に精通している法律家がどのように読み解くのかと期待しましたが、残念でした。
ただ、苦労しているのが感じられたのは、「同僚の証言は、事故のすぐ後なら正直に話してくれる」というくだりで、まさにそうだと思います。時間がたつと、会社は箝口令をしいてきますから。
もう一つの「労災における労働者性」は聞き応えがありました。
私は先入観として、どうして参与の勉強会でそんなに案件のない「労働者性」をやるのか理解しかねていましたが、すっきりと理解できました。
労働者性を考える基準の中味は省略しますが、この先生(弁護士)は労災に大変詳しい方で、経験も豊富なようでした。
そして、今都会では、バイク便や名ばかり経営者など、労働者性を問われる案件が多いからかもしれませんが、この方の話は、戦前の工場法からの経過をすっきりと整理してくださいました。ただ、時間がなくて、十分最後まで聞けなかったのは実に残念です。労働者性を巡っては、戦前の方が広い考え方であったらしく、今のように「特別加入」が規制枠とはなっていなかったようです。先生の結論としては、「クラフト・ユニオン」を形成することが、労働者性突破の切り口ということでした。
まあ、これだけでは何のことやらという感じでしょうが、参与制度は実に大変だけど、重要であるとの認識を深めてきました。
連合本部もこれだけやったのだから、次は参与のネットワークを作るくらいになってくれればいいのですが、勉強会後の交流会で担当者は、「2年に1回くらいやればよい」とか言ってました。あまり期待はできません。
ただ、現職時代にお世話になったH女史が元気でいたことや、中央審査会の参与とお話がいろいろできたので、それは有意義でした。
この資料は私のところにあります。もしご要望があれば考えてみますので、お知らせください。
ということで、じゃんじゃん。
P.S. 次は、第23回産業ストレス学会についてです。
最近就任された方にはよかったのかもしれませんけど、本質的な制度の位置づけや参与の役割については、うわべだけで終わり、来年4月から行政不服審査法の改正により審査制度が変更される点についても、現実離れした説明に終始していました。
何がというと、改正により「口頭意見陳述の充実」を審査官レベル(地方労働局)で充実させると言うことになっていますが、今まで一切口頭意見陳述は行われていませんでしたから、これから始めることになりますが、これは雇用保険の立会(申請者と原処分庁の同席)を労災でも行うことになるので、件数の多い労災の場合は非現実的と思います。
ただ、前回書いた「前置主義」がゆるむようなので、これはいいことです。なんせ不服審査では「棄却」の見通しがついてしまいますが、司法の場では、代理人の腕次第で、認定基準によらない判断もできるからです。したがってますます行政不服訴訟が増えると思います。弁護士は余っているようですから、仕事が増えるのはいいのですが、申請者は費用がかさみます。
次に、「精神障害の労災認定~実務上の問題点と工夫・苦労」と言うことで、弁護士からのお話でした。
このお話で注目したのは、「業務外の精神障害が悪化した場合の業務起因性」と言うことでした。
H23年末に出された精神障害の認定基準(それまでは判断指針でした)では、すでに精神障害を発症した病歴があると、寛解した場合(ほとんど症状がなくなった状態)では、認定基準に沿って新たに業務上外の判断をしますが、その場合でも「ストレスへの脆弱性」がマイナス要因となります。
また、現在治療中にあると、「業務上の理由により悪化」とは考えずに、「特別な出来事」と称し、月の時間外労働が160時間、3週間で120時間以上、あるいは、生死に関わるような出来事にあったなどがなければ、業務起因性を認めないことになっています。
これでは、ほとんどの精神障害は認定されないことになります。つまり、今までなんにも精神に問題のなかった「メンタルタフ」が精神疾患にかかった場合しか認定されないと言うことです。そこを実務に精通している法律家がどのように読み解くのかと期待しましたが、残念でした。
ただ、苦労しているのが感じられたのは、「同僚の証言は、事故のすぐ後なら正直に話してくれる」というくだりで、まさにそうだと思います。時間がたつと、会社は箝口令をしいてきますから。
もう一つの「労災における労働者性」は聞き応えがありました。
私は先入観として、どうして参与の勉強会でそんなに案件のない「労働者性」をやるのか理解しかねていましたが、すっきりと理解できました。
労働者性を考える基準の中味は省略しますが、この先生(弁護士)は労災に大変詳しい方で、経験も豊富なようでした。
そして、今都会では、バイク便や名ばかり経営者など、労働者性を問われる案件が多いからかもしれませんが、この方の話は、戦前の工場法からの経過をすっきりと整理してくださいました。ただ、時間がなくて、十分最後まで聞けなかったのは実に残念です。労働者性を巡っては、戦前の方が広い考え方であったらしく、今のように「特別加入」が規制枠とはなっていなかったようです。先生の結論としては、「クラフト・ユニオン」を形成することが、労働者性突破の切り口ということでした。
まあ、これだけでは何のことやらという感じでしょうが、参与制度は実に大変だけど、重要であるとの認識を深めてきました。
連合本部もこれだけやったのだから、次は参与のネットワークを作るくらいになってくれればいいのですが、勉強会後の交流会で担当者は、「2年に1回くらいやればよい」とか言ってました。あまり期待はできません。
ただ、現職時代にお世話になったH女史が元気でいたことや、中央審査会の参与とお話がいろいろできたので、それは有意義でした。
この資料は私のところにあります。もしご要望があれば考えてみますので、お知らせください。
ということで、じゃんじゃん。
P.S. 次は、第23回産業ストレス学会についてです。
先週は、珍しく多忙でした ― 2015年12月14日 15:08
先週は、7日(月)に東京で、「労災保険審査参与勉強会」があり、10日からは、「第23回産業ストレス学会」に参加のため京都に行くと言うことで、8日の午後と、9日しかいませんでした。
特段ご不便をかけたことはないと思いますが、すみませんでした。
ところで、「労災保険審査参与勉強会」は連合になって初めて開催されました。しかも突然。
それで、まあどんなもんかいなぁという様子見程度の気持ちで参加しましたが、半分あたり、半分予想外によかったというものです。
まず、労災保険審査参与というものから説明しないとよくわからないと思いますので、解説します。
労災保険は、いわゆる「労働保険」に含まれます。労働保険は労災保険と、雇用保険が合わさったものですが、雇用保険は労使半々が原則に対し、労災保険は使側の全額負担です。なぜなら、労働基準法75条から88条に基づき、労働災害への補償は、使用者が行うべきものだからです。当たり前ですけど、労働者が好きで労働災害に遭うわけがないので、使用者がその治療から生活保障、後遺障害補償などの全てを行うのですが、経営力によっては、十分行われない可能性がありますので、「労働者災害補償保険法」によって、国が主管する保険制度が作られています。
そこで、国の行政ですから、もしその決定に不満がある場合は、「行政不服審査法」によって取消訴訟を行うことになるのですが、期間と費用の節約のため、労働者災害補償保険法に「不服審査」制度を設けています。ですから不服審査には一切経費はかかりませんが、行政処分である「決定」に対し、いきなり取消訴訟は提起できず、中央審査会の決定後や、申請から60日経過後などに訴訟提起できるといういわゆる前置主義がとられています。
ごちゃごちゃと解りづらいかもしれませんが、要するに、労働基準監督署の判断が「一審」であり、労働局(都道府県に設置)の審査官が「二審」、中央不服審査会が「三審」という形になっています。
問題は、「二審」が一番大きいのですが、なぜなら、労働局の審査官は、位置づけは行政から独立となっていますが、もともと行政マンであり「行政通達」の束縛を受けるため、「一審(監督署)」の判断について全く違法であるか、特別な事実が出てこない限り、追認しかないからです。しかも、審査官は労働基準監督官(司法権を有する)ではなく、事務官が大多数で、労災保険の取り扱いには詳しくても、特に世の中に詳しいわけではありません。さらに、彼らの口からよく出てくるのは、「労災保険は使側の全額負担だからなぁ」と言うことで、したがって、使側の都合に傾きやすいと言うことを平気で言います。つまり誰が見ても原因は使側にある(たとえば腕や指を機械で挟んだなど目に見える災害)以外は、特別の証拠がなければ、「業務外」として不支給決定する率が高いわけです。
参与は、この労働局の審査官にたいし、労使慣行などについて意見を言うことができ、その意見は「尊重される」ことになっているのですが、これがなかなか。参与は労使2名ずつですが、使側の参与はほとんど、原処分(監督署の業務外決定)に賛同しますから。
しかも、参与は守秘義務を負っていて、さらに当該案件についての新たな調査権限はありませんから、出てくる資料のなかで意見を言うことになりますけど、たとえば同僚からの申述についても、会社側が箝口令を引いたりすると、果たして真実かどうか、大変怪しいと言うことになります。そういう事例は実に多く見られます。労働側が再調査を要求しても、使側の参与が「棄却相当」と言ってしまうとほとんど再調査などやりません。
そして、支給と不支給がどのくらいの比率かなどのデータは公表されていませんので、わかりません。データで公表されているのは、届け出義務のある「休業4日以上の死傷災害」の数です。H26で12万件位なのですが、H25の労災保険「新規受給者数」は60万人ですから、どうひっくり返しても、この関係がわかりません。
どなたかわかる方がいたら教えてください。
といっても、データは別にして世の中は進んでいきます。
「勉強会」ですけど、内容がどうだったかは、もうすぐ終業時間ですので、明日にしましょうね。
じゃんじゃん。
特段ご不便をかけたことはないと思いますが、すみませんでした。
ところで、「労災保険審査参与勉強会」は連合になって初めて開催されました。しかも突然。
それで、まあどんなもんかいなぁという様子見程度の気持ちで参加しましたが、半分あたり、半分予想外によかったというものです。
まず、労災保険審査参与というものから説明しないとよくわからないと思いますので、解説します。
労災保険は、いわゆる「労働保険」に含まれます。労働保険は労災保険と、雇用保険が合わさったものですが、雇用保険は労使半々が原則に対し、労災保険は使側の全額負担です。なぜなら、労働基準法75条から88条に基づき、労働災害への補償は、使用者が行うべきものだからです。当たり前ですけど、労働者が好きで労働災害に遭うわけがないので、使用者がその治療から生活保障、後遺障害補償などの全てを行うのですが、経営力によっては、十分行われない可能性がありますので、「労働者災害補償保険法」によって、国が主管する保険制度が作られています。
そこで、国の行政ですから、もしその決定に不満がある場合は、「行政不服審査法」によって取消訴訟を行うことになるのですが、期間と費用の節約のため、労働者災害補償保険法に「不服審査」制度を設けています。ですから不服審査には一切経費はかかりませんが、行政処分である「決定」に対し、いきなり取消訴訟は提起できず、中央審査会の決定後や、申請から60日経過後などに訴訟提起できるといういわゆる前置主義がとられています。
ごちゃごちゃと解りづらいかもしれませんが、要するに、労働基準監督署の判断が「一審」であり、労働局(都道府県に設置)の審査官が「二審」、中央不服審査会が「三審」という形になっています。
問題は、「二審」が一番大きいのですが、なぜなら、労働局の審査官は、位置づけは行政から独立となっていますが、もともと行政マンであり「行政通達」の束縛を受けるため、「一審(監督署)」の判断について全く違法であるか、特別な事実が出てこない限り、追認しかないからです。しかも、審査官は労働基準監督官(司法権を有する)ではなく、事務官が大多数で、労災保険の取り扱いには詳しくても、特に世の中に詳しいわけではありません。さらに、彼らの口からよく出てくるのは、「労災保険は使側の全額負担だからなぁ」と言うことで、したがって、使側の都合に傾きやすいと言うことを平気で言います。つまり誰が見ても原因は使側にある(たとえば腕や指を機械で挟んだなど目に見える災害)以外は、特別の証拠がなければ、「業務外」として不支給決定する率が高いわけです。
参与は、この労働局の審査官にたいし、労使慣行などについて意見を言うことができ、その意見は「尊重される」ことになっているのですが、これがなかなか。参与は労使2名ずつですが、使側の参与はほとんど、原処分(監督署の業務外決定)に賛同しますから。
しかも、参与は守秘義務を負っていて、さらに当該案件についての新たな調査権限はありませんから、出てくる資料のなかで意見を言うことになりますけど、たとえば同僚からの申述についても、会社側が箝口令を引いたりすると、果たして真実かどうか、大変怪しいと言うことになります。そういう事例は実に多く見られます。労働側が再調査を要求しても、使側の参与が「棄却相当」と言ってしまうとほとんど再調査などやりません。
そして、支給と不支給がどのくらいの比率かなどのデータは公表されていませんので、わかりません。データで公表されているのは、届け出義務のある「休業4日以上の死傷災害」の数です。H26で12万件位なのですが、H25の労災保険「新規受給者数」は60万人ですから、どうひっくり返しても、この関係がわかりません。
どなたかわかる方がいたら教えてください。
といっても、データは別にして世の中は進んでいきます。
「勉強会」ですけど、内容がどうだったかは、もうすぐ終業時間ですので、明日にしましょうね。
じゃんじゃん。
シリーズ 睡眠について その17 ぐっすり快眠のために その4 生き方を変えれば ― 2015年10月27日 09:29
◎ 眠れないことを気にしない
眠れない、眠れないと一人で悩んでいると、どんどん気持ちが焦ってきます。気にすればするほど、寝ようと努力すればするほど、逆に脳が覚醒してしまい眠れなくなってしまいます。こうした状態から抜け出すためには、眠れないことを気にしないようにするのが一番です。気にしないことが一番難しいことなのですが、考え方を少し変えれば、「気にしない」人に変わることができます。
眠れないということは、眠っている時間が少なく活動時間が多いため、他の人よりも長い人生を楽しめるわけです。ずっと読みたかった本を読んだり、音楽を聴いたり、好きな映画を思う存分見るなどして自分の時間を楽しみましょう。
気持ちを楽にして好きなことに熱中しているうちに、眠れないストレスからいつの間に開放され、疲労によって自然と眠くなってきます。不眠の多くは心が作り出したものですから、心さえラクにすることができれば、体は放っておいても眠ろうとしますから、自然に眠気が訪れます。
「眠れなかったらどうしよう」「寝なくてはいけない」という焦りや強迫観念が、実際はありもしない不眠症という状態を作り出してしまっていることが多いのです。つまり、不眠症はあなた自身が自分で作り上げたと言えるのです。不眠症とは身体的な病ではなく、一種の神経症(心の病)だと言われているのはこのためです。
「眠れなくても死ぬことはない」「人間、いつかは必ず眠れる」と気楽にかまえていきましょう。眠ろう、などと気合を入れてがんばってはいけないのです。
◎ 不眠であることを認めて開き直る
不眠とは一種の心の病です。自分が眠れないことに対して、焦り、危機感、劣等感、不安、といった気持ちを常に抱いています。そして自分がそうした感情に支配されていることを認めたがらないばかりか、そのことを周囲に知られることも嫌います。心の奥底にあるさまざまな葛藤をどこかで認識しているにもかかわらず、それを認めようとしないのです。
つまり、自然体とはかけ離れた無理をした状態です。こうした無理が続くと、いずれ限界がきます。それまでなんとか持ちこたえていた心の堤防が崩れ、精神的に崩壊してしまう恐れもあります。
不安は取り除こうとしても、簡単には消えない。取り除こうとするのではなく、すべては自分の内部のことなのですから、開き直って受け入れてしまうことです。「不眠症になってしまった。仕方がないんだ」とあっさり認めてしまいましょう。この開き直りが、不眠症の人にはなかなかできません。しかし、「眠れないことなんて、誰にだって起こること。自分だけではない」「これは決して深刻な病気ではない」と努力して思い込むようにしてみてください。
何度も繰り返して声に出して自分に言い聞かせれば、人間とは不思議なもので、少しずつ暗示効果が出てきて、本当に開き直ってきます。「今日はぐっすり眠れそうだ」「ああ、眠くなってきたぞ」などと自分自身に言い聞かせれば、人間とは不思議胃なもので自己暗示にかかって、本当に眠くなってきたりするものです。とにかく、深刻に考えすぎないようにすることが大切です。
開き直ることができたら、不眠症脱却のプロセスの最大の難所を通過できたことになります。以前のような心のつっかえは、いつの間にか消え去り、精神的にだいぶラクになっているはずです。こうして不眠であることを受け入れてしまえば、それだけで自然と治っていくのです。
◎ 人生を楽しんで、密度の濃い睡眠を
人間に必要な睡眠時間は、性別、年齢、職業、体調などによって変化します。また、同じ人でも、常に一定というわけではありませんから、睡眠時間の標準的な基準など存在しません。
周りの人間関係で問題があったり、人生の方向性を見失うなど、心配ごとが尽きないときは、人は眠りへの欲求が高くなり、十分に眠ったとしても寝不足感があり、一日頭がすっきりしません。これは俗に言う「現実逃避」という精神状態が原因だと考えられます。あまり気の進まない仕事に行かなくてはいけないが、できれば行きたくない、といった後ろ向きな考えが無意識に眠りへと逃避させようとするのでしょう。
日々の生活が充実していて、人生をエンジョイしているときは、多少睡眠時間が短くてもそれほど苦になることはありません。時間的には短くてもぐっすり寝たという満足感があり、目覚めもよく寝不足感もありません。
楽しいことがたくさんある、やりたいことがたくさんある、という生活を送っている人は、このように短くても充実した熟睡ライフを送ることができます。ワクワクして、いつまでも寝ていられてない、という気持ちが意識的にも無意識的にも強くなり、それが短い睡眠時間でも睡眠不足を感じさせない原因になっていると考えられます。
◎ 熱中できる趣味・やりがいを見つける
特にこれといった趣味があるわけでもなく、仕事一筋という人がいます。連日の残業で家に帰ると食事もそこそこに寝るだけの生活。週末もどこへ出かけるわけでも、何をするわけでもなく漫然と自宅でゴロゴロしてしまう。こうした状態だと精神衛生上も不健康で、健全な睡眠がとれないのも当然です。
平日は仕事に全力投球し、一方で仕事以外に何か熱中できるものが見つかれば、心にゆとりのある生活を楽しむことができます。読書や音楽に打ち込むのもいいでしょうし、運動をしたり人が集まる場所に参加するなど、楽しいことをどんどん見つけてください。生き生きとした生活を送っていれば、自然と充実した眠りを手に入れることができるでしょう。心身ともに健康になれば、不眠症などいつの間にか消えてしまいます。
◎ 眠ってはいけないと思うと逆に眠れる
眠ろうと努力すればするほど、人間は頭が冴えてしまって眠れなくなってしまいます。特に、「羊が一匹・・・」はあまり効果がありません。100匹までいったのに、まったく眠くなってこない自分に焦りを感じて、どんどん神経が高ぶってしまいかえって逆効果です。
一方で、クラシックコンサートや重要な会議など、「ここで眠ったらまずい」と手足をつねったりして必死に睡魔と闘えば闘うほど、眠気はどんどん強くなるという経験があるかと思います。眠いときに「眠ってはいけない」と強く思うことで、かえってそれが眠気を誘ってしまうのです。
ベッドに入ってからなかなか寝つけないときは、この法則をうまく利用して「眠っちゃダメだ」と自分自身と競争をするつもりで、なんとか眠らないようにがんばってみてください。きっと、気付いたら朝になっていることでしょう。
◎ 眠りたい時に、眠りたいだけ眠ればいい
不眠に悩む人は、眠りに対してある種の義務感と忠誠心を持っています。12時になったから寝なくてはいけない、一日に8時間は必ず練る必要があるはずだ、といったルールに必要以上に縛られて苦しんでいることがあります。「必要な睡眠量」の絶対的な基準など存在しません。必要な睡眠時間、という考え方を忘れてしまいましょう。
○時から○時までは寝る時間、などと決める必要はどこにもありませんし、そもそも自然体ではありません。体が求めるとき、体が求めるだけ眠ればいいんだ、と気楽に考えましょう。
12時になったから寝なくてはいけない、と無理に寝ようとする必要はありません。眠くないのなら起きていればいいのです。体が発する自然のメッセージを素直に受け取りましょう。眠くないのに無理に寝ようとしても寝られなくて当然です。
一般的に、食事をした後は人間は眠くなるようにできています。これは食べたものを消化するのに多くのエネルギーを使用するので、できれば他の活動に限りあるエネルギーを使わないように体を眠らせてしまおうと無意識が指令を出しているからです。
こうした眠気に襲われたときには、10分でも15分でも横になってしまうのが自然と人間の摂理です。職場ではなかなか難しいかもしれませんが、自宅にいるときや外出先では横になったりゆったり座ったりして目を閉じて、自然な睡眠を受け入れましょう。
◎ 笑いは天然の睡眠薬?
笑う門には福来る、ということわざがありますが、実はこれにはちゃんとした科学的根拠があるのです。
大きく口を開けて大声で笑うことで、大量の酸素を取り入れることができます。深呼吸をしたときと同じように血中の酸素量が一気に増えますので、脳も体も疲労を回復することができ、同時に免疫力も上がります。血行が促進され全身の代謝が良くなるため、健全な睡眠サイクルを整えることにも役立ちます。
また、よく笑う人はストレスをためにくく、自分自身だけでなく周囲の人をもリラックスさせることができます。こうした心身のリラックスが、体の健康や理想的な睡眠につながり、他の人も幸せにします。
疲れて帰宅した後、テレビでお笑い番組やバラエティ番組を見て、おもいっきり笑うことは健康にも良い睡眠にもとっても良いことなのです。
さあ、「ぐっすりシリーズ」が終わりました。いかがでしたでしょうか。
「睡眠」が大事な行為であることはご理解いただけたと思いますが、特別なことをしなくても、普通なら、気にすることもない自然の営みであるということなんですけど、この、「普通なら」が昨今は難しいのではないでしょうか。
ですから、もし睡眠が不調であることに「気付くことができたら」お薬の力を借りてかまいません。
もう一つの問題は、この、「気づけたら」ということです。特に高ストレスや過労になると、脳が不調になりますから、「気付き」も不調になります。常日頃、“気付いてくれる家族や仲間”を大切にしましょう。
ということで、少しお休みします。
明日から名古屋で「全国産業安全衛生大会」です。
「えびふりゃー」を食べてきます。じゃんじゃん。
眠れない、眠れないと一人で悩んでいると、どんどん気持ちが焦ってきます。気にすればするほど、寝ようと努力すればするほど、逆に脳が覚醒してしまい眠れなくなってしまいます。こうした状態から抜け出すためには、眠れないことを気にしないようにするのが一番です。気にしないことが一番難しいことなのですが、考え方を少し変えれば、「気にしない」人に変わることができます。
眠れないということは、眠っている時間が少なく活動時間が多いため、他の人よりも長い人生を楽しめるわけです。ずっと読みたかった本を読んだり、音楽を聴いたり、好きな映画を思う存分見るなどして自分の時間を楽しみましょう。
気持ちを楽にして好きなことに熱中しているうちに、眠れないストレスからいつの間に開放され、疲労によって自然と眠くなってきます。不眠の多くは心が作り出したものですから、心さえラクにすることができれば、体は放っておいても眠ろうとしますから、自然に眠気が訪れます。
「眠れなかったらどうしよう」「寝なくてはいけない」という焦りや強迫観念が、実際はありもしない不眠症という状態を作り出してしまっていることが多いのです。つまり、不眠症はあなた自身が自分で作り上げたと言えるのです。不眠症とは身体的な病ではなく、一種の神経症(心の病)だと言われているのはこのためです。
「眠れなくても死ぬことはない」「人間、いつかは必ず眠れる」と気楽にかまえていきましょう。眠ろう、などと気合を入れてがんばってはいけないのです。
◎ 不眠であることを認めて開き直る
不眠とは一種の心の病です。自分が眠れないことに対して、焦り、危機感、劣等感、不安、といった気持ちを常に抱いています。そして自分がそうした感情に支配されていることを認めたがらないばかりか、そのことを周囲に知られることも嫌います。心の奥底にあるさまざまな葛藤をどこかで認識しているにもかかわらず、それを認めようとしないのです。
つまり、自然体とはかけ離れた無理をした状態です。こうした無理が続くと、いずれ限界がきます。それまでなんとか持ちこたえていた心の堤防が崩れ、精神的に崩壊してしまう恐れもあります。
不安は取り除こうとしても、簡単には消えない。取り除こうとするのではなく、すべては自分の内部のことなのですから、開き直って受け入れてしまうことです。「不眠症になってしまった。仕方がないんだ」とあっさり認めてしまいましょう。この開き直りが、不眠症の人にはなかなかできません。しかし、「眠れないことなんて、誰にだって起こること。自分だけではない」「これは決して深刻な病気ではない」と努力して思い込むようにしてみてください。
何度も繰り返して声に出して自分に言い聞かせれば、人間とは不思議なもので、少しずつ暗示効果が出てきて、本当に開き直ってきます。「今日はぐっすり眠れそうだ」「ああ、眠くなってきたぞ」などと自分自身に言い聞かせれば、人間とは不思議胃なもので自己暗示にかかって、本当に眠くなってきたりするものです。とにかく、深刻に考えすぎないようにすることが大切です。
開き直ることができたら、不眠症脱却のプロセスの最大の難所を通過できたことになります。以前のような心のつっかえは、いつの間にか消え去り、精神的にだいぶラクになっているはずです。こうして不眠であることを受け入れてしまえば、それだけで自然と治っていくのです。
◎ 人生を楽しんで、密度の濃い睡眠を
人間に必要な睡眠時間は、性別、年齢、職業、体調などによって変化します。また、同じ人でも、常に一定というわけではありませんから、睡眠時間の標準的な基準など存在しません。
周りの人間関係で問題があったり、人生の方向性を見失うなど、心配ごとが尽きないときは、人は眠りへの欲求が高くなり、十分に眠ったとしても寝不足感があり、一日頭がすっきりしません。これは俗に言う「現実逃避」という精神状態が原因だと考えられます。あまり気の進まない仕事に行かなくてはいけないが、できれば行きたくない、といった後ろ向きな考えが無意識に眠りへと逃避させようとするのでしょう。
日々の生活が充実していて、人生をエンジョイしているときは、多少睡眠時間が短くてもそれほど苦になることはありません。時間的には短くてもぐっすり寝たという満足感があり、目覚めもよく寝不足感もありません。
楽しいことがたくさんある、やりたいことがたくさんある、という生活を送っている人は、このように短くても充実した熟睡ライフを送ることができます。ワクワクして、いつまでも寝ていられてない、という気持ちが意識的にも無意識的にも強くなり、それが短い睡眠時間でも睡眠不足を感じさせない原因になっていると考えられます。
◎ 熱中できる趣味・やりがいを見つける
特にこれといった趣味があるわけでもなく、仕事一筋という人がいます。連日の残業で家に帰ると食事もそこそこに寝るだけの生活。週末もどこへ出かけるわけでも、何をするわけでもなく漫然と自宅でゴロゴロしてしまう。こうした状態だと精神衛生上も不健康で、健全な睡眠がとれないのも当然です。
平日は仕事に全力投球し、一方で仕事以外に何か熱中できるものが見つかれば、心にゆとりのある生活を楽しむことができます。読書や音楽に打ち込むのもいいでしょうし、運動をしたり人が集まる場所に参加するなど、楽しいことをどんどん見つけてください。生き生きとした生活を送っていれば、自然と充実した眠りを手に入れることができるでしょう。心身ともに健康になれば、不眠症などいつの間にか消えてしまいます。
◎ 眠ってはいけないと思うと逆に眠れる
眠ろうと努力すればするほど、人間は頭が冴えてしまって眠れなくなってしまいます。特に、「羊が一匹・・・」はあまり効果がありません。100匹までいったのに、まったく眠くなってこない自分に焦りを感じて、どんどん神経が高ぶってしまいかえって逆効果です。
一方で、クラシックコンサートや重要な会議など、「ここで眠ったらまずい」と手足をつねったりして必死に睡魔と闘えば闘うほど、眠気はどんどん強くなるという経験があるかと思います。眠いときに「眠ってはいけない」と強く思うことで、かえってそれが眠気を誘ってしまうのです。
ベッドに入ってからなかなか寝つけないときは、この法則をうまく利用して「眠っちゃダメだ」と自分自身と競争をするつもりで、なんとか眠らないようにがんばってみてください。きっと、気付いたら朝になっていることでしょう。
◎ 眠りたい時に、眠りたいだけ眠ればいい
不眠に悩む人は、眠りに対してある種の義務感と忠誠心を持っています。12時になったから寝なくてはいけない、一日に8時間は必ず練る必要があるはずだ、といったルールに必要以上に縛られて苦しんでいることがあります。「必要な睡眠量」の絶対的な基準など存在しません。必要な睡眠時間、という考え方を忘れてしまいましょう。
○時から○時までは寝る時間、などと決める必要はどこにもありませんし、そもそも自然体ではありません。体が求めるとき、体が求めるだけ眠ればいいんだ、と気楽に考えましょう。
12時になったから寝なくてはいけない、と無理に寝ようとする必要はありません。眠くないのなら起きていればいいのです。体が発する自然のメッセージを素直に受け取りましょう。眠くないのに無理に寝ようとしても寝られなくて当然です。
一般的に、食事をした後は人間は眠くなるようにできています。これは食べたものを消化するのに多くのエネルギーを使用するので、できれば他の活動に限りあるエネルギーを使わないように体を眠らせてしまおうと無意識が指令を出しているからです。
こうした眠気に襲われたときには、10分でも15分でも横になってしまうのが自然と人間の摂理です。職場ではなかなか難しいかもしれませんが、自宅にいるときや外出先では横になったりゆったり座ったりして目を閉じて、自然な睡眠を受け入れましょう。
◎ 笑いは天然の睡眠薬?
笑う門には福来る、ということわざがありますが、実はこれにはちゃんとした科学的根拠があるのです。
大きく口を開けて大声で笑うことで、大量の酸素を取り入れることができます。深呼吸をしたときと同じように血中の酸素量が一気に増えますので、脳も体も疲労を回復することができ、同時に免疫力も上がります。血行が促進され全身の代謝が良くなるため、健全な睡眠サイクルを整えることにも役立ちます。
また、よく笑う人はストレスをためにくく、自分自身だけでなく周囲の人をもリラックスさせることができます。こうした心身のリラックスが、体の健康や理想的な睡眠につながり、他の人も幸せにします。
疲れて帰宅した後、テレビでお笑い番組やバラエティ番組を見て、おもいっきり笑うことは健康にも良い睡眠にもとっても良いことなのです。
さあ、「ぐっすりシリーズ」が終わりました。いかがでしたでしょうか。
「睡眠」が大事な行為であることはご理解いただけたと思いますが、特別なことをしなくても、普通なら、気にすることもない自然の営みであるということなんですけど、この、「普通なら」が昨今は難しいのではないでしょうか。
ですから、もし睡眠が不調であることに「気付くことができたら」お薬の力を借りてかまいません。
もう一つの問題は、この、「気づけたら」ということです。特に高ストレスや過労になると、脳が不調になりますから、「気付き」も不調になります。常日頃、“気付いてくれる家族や仲間”を大切にしましょう。
ということで、少しお休みします。
明日から名古屋で「全国産業安全衛生大会」です。
「えびふりゃー」を食べてきます。じゃんじゃん。
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