「幸せな小国オランダの智慧」という本2012年02月23日 13:01

 表題の本はPHP新書で紺野登(経営情報学)さんが書かれたものです。
先日帯広に行ったときに、いままでフィンランドやデンマークの社会制度を紹介した本を何冊か読んだモンだから、軽いのりで「高福祉高負担」の現状を紹介しとものかなと、KIOSKで買ったんだけど、1回読んでもさっぱり理解できなくて、いま2回目読み始めたら、少し理解できるようになりました。
 一言で言うと、3.11で日本には大きな災害があって、これに国民が右往左往しているけど、オランダは国土の半分が海面下でいつも洪水や高潮に脅かされているので、国民の意識が全然違うんだと。ポルダー・モデルが発達していて、このポルダーと言う水利の自治組織がオランダ国民の基礎であって、基本的には個人主義だけど、協働の精神で社会が成り立っている、と言うことかな?
 昔オランダ・モデルというのがもてはやされて、それは「ワークシェアリング」がうまくいっているから、日本の雇用政策にも取り入れられないかと、春闘の時やジロリンなんかが話していた覚えがあるけど、何でうまくいったのかまでは、よく調べなかった。
 その経過を簡単に言うと、オランダでは60年代に北海油田が発見されて、その膨大な収入で社会福祉制度を大変革したのだけれど、資源収益への偏りは国内製造業を衰退させ、結果として経済悪化を招き、赤字財政となった。これをオランダ病と言うらしいけど、1986年の失業率が15%にもなったと言います。
 これからの回復に一役買ったのが、先ほどのワークシェアリングで、政府と経営者と労働組合が合意して、正社員とパートタイムの区別を無くし、①同一価値労働同一報酬、②社会保険や労働条件等も同一化、③フルタイムかパートタイムかは労働者の選択の三つを実施したそうです。その結果、人件費が抑制されて、設備投資が順調になり、雇用の数が増加したと言うことでした。特に女性の就業率が40%台から70%台に増加し、所得が大幅に増加したとか。ただ、企業への忠誠心が低下して、いまその点では悩んでいるらしいのですが、我が国の問題に比べたら、悩みと言うほどのものではないでしょう。日本では同じ仕事をしても正社員とパートでは3倍の賃金格差があるのですから、忠誠心なんて、持ちようもないのです。しかもほぼ労働者の半分が短時間労働者で、日々雇用不安にさらされている。こんな前近代的な労務政策の国ですから。
 日本の悩みの一つとしては、GDPが世界3位になったことらしいですけど、購買力平価で比べた国民一人あたりのGDPで言うと、オランダは世界10位で、日本は25位。しかも、オランダは30年前から10位くらいをキープしているけど、日本は最高で90年頃の16位だとか。結局経済規模は拡大してきたけど、国民の生活は豊かにならないという、お粗末な国なんですね。日本は。蛇足だけど、1労働時間あたりのGDPではオランダが世界1位だそうです。
 それで、いったい何が日本とオランダで違うかというと、ソーシャル・キャピタルだそうで、一般的には「社会資本」と訳されるけど、「社会関係的知的資本」と言うべきで、これからの経済的発展は、この知的資本がベースであると言うことを書いてあったけど、この辺から分からなくなりました。
 確かに、日本の現状を考えても、いつまでも車や電機製品が産業のメインであるわけもないけど、「知的資本」とか、「知識経済社会」と言われても、肌に実感しないのですね。
 これは批判ではありません。分かるまで3回でも4回でも読んでみたいと思いますけど、北海道に置き換えて考えてみると、いわゆる北海原油は農産物などの食料だとして、それを知的資源とするにはどうしたらよいか、北海道における知識経済社会とはどんな姿か・・・
 だれか解説してくれませんかね。一緒に考えるとか。???
 じゃんじゃん。

コメント

_ やまし ― 2012年02月24日 09:54

オランダの本、面白そう。さっそく読んでみます。
ソーシャルキャピタルについては、たしか中公新
書に「ソーシャルキャピタル入門」というのがあり
ます。「知的なんたら」などという難しい話ではな
く、理解できると思います。一読をお薦めします。

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