労働新聞の「甘ちゃん」2014年11月27日 10:21

 労働新聞のメールマガジンで今議論されている労基法改正(改悪、労働時間規制の緩和)について、労働新聞編集長 箱田 尊文が以下のような「現状報告」をしました。

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 今回、「新たな労働時間制度」の対象となり得る労働者像が示され、だいぶイメージがはっきりしてきました。厚労省が大企業をヒアリングして抽出した労働者像です。それによると、証券、銀行、情報通信、製薬などにおいて、職務内容がはっきり規定され、しかも年収1000万円以上、最高3000万円程度の労働者となっています。中途採用の有期契約で、勤続年数は長くても5年程度、競合他社からのオファーで転職するケースがあるようです。ただし製薬では「管理監督者しかいない」としています。

 こうした労働者像を思い浮かべると、実態を知らない一般マスコミや評論家が「残業代ゼロ法」といっていることが、全く的を射ていないことが分かります。現実として、すでに残業代などは払われていない労働者層と考えられます。
つまり、賃金は目標管理制度を経て、成果とほぼ直結した形で決められています。仮に、払うべき残業代が払われていないということがあれば、これは監督指導が及んでいないということで、「新たな労働時間制度」とは別問題です。

 また、年休取得の底上げのため、使用者に「年休時季指定義務」を負わせる案は、なかなかの面白いアイデアです。労使ともに原則的に受け入れている数少ない論点です。そもそも年休権は、勤続などの要件が整えば当然発生し、労働者側の時季指定によって取得時期が確定するものと解釈されています(二分説)。これに労使協定による計画年休が加わり、さらに今度は使用者が時季指定するという仕組みを設けようとしているわけです。

 全体の印象としては、議論がスタートした当初、長時間労働対策が甘かった面がありましたが、上記の使用者による「年休時季指定義務」に加え、「新たな労働時間制度」導入の際に勤務間インターバル制や労働時間の絶対的上限規制を選択実施することが条件となる方向で、バランスがとれてきました。

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 などと・・・。ひどいね。

 私たちが心配しているのは、この労基法改悪・労働時間規制緩和が「突破口」だからですよ。派遣法のように、結局は「自由化」がすすむことは目に見えています。
 年休の時季指定についても、明らかに自由取得を制限するもので、容認できません。

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今後急ピッチで議論を消化し、今年年末以降には厚労省が妥協案を提示することになるでしょう。ほぼこれが改正案となるのではないかと考えられます。
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 だと。まさに職場の現実を知らないのは「労働新聞」と断定せざるを得ないでしょう。
 労働者は好きでサービス残業をしているわけではありません。
 年休ももっと取りたいけど「課長」がいい顔しないだけなのです。

 労働新聞も評価を下げなければなりませんね。
 じゃんじゃん。

 追伸 今日は午後から大阪です。第22回産業ストレス学会に参加します。面白そうな題目がたくさんあって、期待が高いです。大阪も久しぶりですし。少しは羽をのばしてきます。

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