シリーズ 労働安全衛生とは その4 安全衛生委員会2015年07月24日 15:12

 さあ、やっと安全衛生委員会にたどり着きました。

まず、設置の基準です。もちろんすべての職場にあるべきなのですが、法的に最低基準が決まっています。

○ 安全委員会~業種により常時雇用する労働者が50人以上、100人以上(安衛令8条)
○ 衛生委員会~全業種50人以上(安衛令9条)
○ 安全衛生委員会(安衛法19条)
常時50人以下~意見を聞く機会(安衛則23-2)
常時10人~50人未満~安全衛生推進者等

 ここでいつも問題になるのは、「事業場」と言うことです。
 事業場の解釈としては、昭和47年9月18日発基第91号通達の 第2の3「事業場の範囲」で示されています。
 その中で、労働安全衛生法は、事業場を単位として、その業種・規模等に応じて適用することとしており、事業場 の適用範囲は、労動基準法における考え方と同一です。つまり、一つの事業場であるか否かは主として場所的観念(同一の場所か離れた場所かということ)に よって決定すべきであり、同一の場所にあるものは原則として一つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とされています。
 例外と しては、場所的に分散しているものであっても規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性が無いものは、直近 上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うとされています。
 また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門がある場合には、その部門 を主たる部門と切り離して別個の事業場としてとらえることにより労働安全衛生法がより適切に運用できる場合には、その部門は別個の事業場としてとらえるこ ととしています。この例としては、工場の診療所などがあげられます。
 なお、事業場の業種の区分については、「その業態によって個別に決するもの」とされて おり、事業場ごとに業種を判断することになります。例えば、製鉄所は「製造業」とされますが、その経営や人事の管理をもっぱらおこなっている本社は「その他の事業」ということになります。

 ただし、「何人の規模で設置するのか」は法的事項ではありませんので、その企業などの規模で考えればいいのですが、「統括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医・経験を有する労働者(過半数は労働者の過半数代表)となりますので、最低7名は必要になります。

 次に、何をその委員会でやるのかについても、細かく決まっています。

<安全委員会の重要審議事項~安衛則21・22条>
① 労働者の危険を防止するための基本対策
② 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
③ 労働者の危険の防止に関する重要事項(※2)

(※2)重要事項には次の主要付議事項が含まれます(安衛規則21条)
1.安全に関する規程の作成
2.危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。 →リスクアセスメント
3.安全衛生に関する計画(安全に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。 →マネジメントシステム
4.安全教育の実施計画の作成
5.官公庁から文書で命令・指示・勧告・指導を受けた労働者の危険の防止に関すること。

<衛生委員会の審議事項 安衛法18条>
① 労働者の健康障害防止基本対策
② 労働者の健康保持増進基本対策
③ 労働災害の原因調査および再発防止策
④ その他健康障害の防止、健康保持増進に関する重要事項(※1)

(※1)重要事項には次の主要付議事項が含まれます(安衛規則22条)
1.衛生に関する規定の作成
2.業務遂行上の危険性又は有害性の調査と結果に基づき講じる衛生に係る措置
3.衛生に関する計画の作成、実施、評価および改善に係る措置
4.衛生教育の実施計画の作成
5.新規の化学物質の有害性調査とその結果に対する対策の樹立
6.作業環境測定の結果とその評価に基づく対策の樹立
7.健康診断および医師等の診断の結果に基づく対策の樹立
8.労働者の健康保持促進を図るために必要な実施計画の策定
9.長時間労働に従事する労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立
10.労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立
11.官公庁から文書で勧告・指導を受けた健康障害防止に関すること

 なお、「安全衛生委員会」という名称にすると、全業種の50人以上の事業場には必須となります。また、構成は総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医、経験を有する労働者~過半数は労働組合か労働者の過半数を代表するもので、審議事項は「安全委員会」と「衛生委員会」の両方の事項です。

<共通事項>

① 運営規則等は自ら定める
② 毎月1回開催
③ 議事の概要を周知
④ 議事録を作成し3年間保存

また、会議の開催時間は労働時間となることが決まっています。(基発第602号)

 長くなるので、とりあえず、じゃんじゃん。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://zoumatsu.asablo.jp/blog/2015/07/21/7713185/tb