シリーズ 睡眠について その10 いびきと睡眠時無呼吸症候群2015年09月29日 10:25

外はけっこうすごい雨ですね。
一生懸命書いているのに、なんの反応もないのは少しがっかりします。
読んでいるようなことを言う人はいますが、感想などはないのでしょうか。
さて、

◎ いびきのしくみ

 いびきはどのようにして起こるのでしょうか。人が眠っているとき、鼻の粘膜の毛細血管が広がることで、空気の通り道である上気道(じょうきどう)と呼ばれるノド周辺の気道が狭くなります。さらに、睡眠中は筋肉が緩むために、舌がノドの奥のほうに落ちていきます。こうして、上気道が狭くなってしまい、そこを空気が通るとノドの粘膜が振動してしまい音を出します。これがいびきの正体です。

 いびきには良質のものと悪質がものがあります。睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態がなければ良質なものなので特に心配する必要はありません。良質ないびきは原発性いびきと呼ばれ、音がうるさいという以外には特に問題はありません。睡眠中に呼吸停止が起こるようですと、悪質ないびきに分類され、なんらかの不調を体が訴えている警告だと言えるでしょう。

 いびきは睡眠中の呼吸が上手にできていない証拠とも言えますから、立派な睡眠障害の一つです。また、いびきをかく人は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という睡眠障害の一歩手前ですから、たかがいびきと甘く考えてはいけません。

◎ いびきの原因

 狭くなってしまった上気道を無理に空気が通るために、ノドの粘膜などが振動してしまう現象がいびきの正体です。それでは、なぜ上気道が狭くなってしまうのでしょうか。代表的な理由には以下のようなものがあります。

 肥満傾向の人はいびきをかきやすい典型的なタイプです。特に首やノドの周辺や舌そのものに余分な脂肪がついて肥大化しているために、空気が通る気道をさらに狭くしてしまうためです。睡眠中に呼吸をしても空気が上気道をスムーズに流れることができず、大きな振動音(いびき)が出てしまいます。

 また、寝る姿勢も大きく影響します。うつぶせよりも、仰向けに寝た時のほうがいびきをかきやすいと言われています。重力によって舌がノドの奥に落ち込みやすくなり、上気道をふさぎやすくなるためです。
 高齢者は若い人たちと比べると、舌を支える筋肉やノド周辺の筋肉が弱くなってくるため、上気道が狭められていびきをかきやすくなります。
 他にも、鼻炎やアレルギーなどの鼻の病気をもっている人は、鼻の空気の通りが悪い状態で呼吸をするために鼻内部の粘膜部分が振動してしまい、いびきの原因になります。

 舌がのどに落ちて上気道をふさぐのを防ぐためにもっとも簡単で有効な方法は、横向きに寝ることです。しかし、何年も仰向きで寝ている人は急に横向きに寝てくださいと言われてもなかなかうまくいかないでしょう。そんな人は、枕の左右どちらか片方の下にタオルなどを入れて枕自体を斜めに傾けてしまうといいでしょう。完全に横向きにならなくても、体が少しでも斜めになれば上気道に空気が通りやすくなりますから、いびきは改善します。

◎ いびきをかきやすいのはこんな時

 普段いびきをかかない人でも、条件によってはいびきをかくことがあります。以下のような場合には、いびきをよりかきやすくなります。

■疲労がたまっている時
 疲れているときのほうが、よりいびきをかきやすくなります。疲れていると疲労回復のために、人体はより多くの酸素を必要とします。そのために、普段は鼻で息を吸っている人も無意識に、睡眠中により多くの酸素を取り入れようとして口で呼吸をします。
 疲労によって睡眠中の筋肉はゆるみ、上気道がふさがれて空気の通り道が狭くなっているところに、口から吸い込まれた大量の空気が一気に通ろうとしますから、抵抗が大きくなっていびきが発生しやすくなるのです。

■ストレスがたまっている時
 体が疲れているときと同様に、ストレスがたまって心が疲れているときもいびきをかきやすくなります。これは、ストレスが原因で周辺の粘膜が乾燥するなどの異常な変化が上気道に起こり、振動しやすくなるためです。

■お酒を飲んだ後
 お酒を飲んだ後もいびきをかきやすくなります。アルコールによって体が一種の疲労状態となり、通常の睡眠時に比べて筋肉のゆるみが大きくなるためです。疲れているときと同様に、気道が狭くなっているにもかかわらず、より大量の空気を必要として口で呼吸をしますので、抵抗が大きくなっていびきが発生しやすい状態になります。
 また、アルコールが原因で脳の呼吸中枢がうまく機能しないことや血管が拡張して血液の循環に変化が出ることも、いびきを引き起こす要因になると考えられています。

◎ いびきをかきやすいのはこんな人

 どんな人がいびきをかきやすい傾向にあるのでしょうか。いびきをかきやすい人は、いろいろなタイプに分類することができます。

■肥満体型の人
 標準より太っている人は、首やノドのまわりにも余分な脂肪をたくわえていることが少なくありません。この脂肪によって上気道を狭くしてしまい、知らず知らずのうちに空気を通りにくくしてしまっているのです。気道が狭くなっているにもかかわらず、睡眠中に多くの空気を吸い込もうとするために、大きないびきをかくことになります。肥満気味の人はまずダイエットをして体重を体脂肪を落とすことで、多くの場合いびきの程度が軽減されます。まずは生活改善と食生活の見直しからはじめましょう。

■鼻よりも口で呼吸をする人
 鼻で呼吸をするのではなく、主に口を使って呼吸している人もいびきをかきやすいタイプです。また、口を大きく開けて寝るクセのある人も同様にいびきをかきやすいと言われています。これは、口を開けているときのほうが上気道が狭くなりやすいという人体の構造が原因です。いびきが悪化して睡眠時無呼吸症候群という病気になっている患者の多くは、睡眠中に口呼吸をしているという統計もあります。朝起きた時に口の中がカラカラに乾いている人は、睡眠中に口で呼吸をしている可能性が高いでしょう。

■鼻炎の人
 アレルギー性鼻炎やいわゆる花粉症など、ノドや鼻にアレルギーがあったり病気をもっている場合は、いびきをかきやすくなります。鼻や気道の空気の通りが悪くなることが直接の原因で、鼻が詰まっているとつい口で呼吸をしてしまい、ノドが荒れて腫れてしまうためです。アレルギー性鼻炎や蓄膿症など、口・鼻・ノド周辺の各種の炎症がある場合は要注意です。

■鼻筋がまっすぐでない人
 上気道が狭いといびきをかきますが、息を吸う鼻の空気の通りが悪い場合も同様にいびきの原因となります。いわゆるだんご鼻の人は、鼻でいびきをかきやすくなります。他にも、体質的に鼻の通りが悪い人は、鼻づまりによっていびきが発生する可能性が高くなります。鼻づまりは耳鼻科の医師に相談するといいでしょう。

■タバコを吸う人
 継続的にタバコを吸っている人は、ノドや気道周辺が荒れていて慢性的な炎症が起きています。このことが上気道を狭くしてしまっているようです。実際に、喫煙者は非喫煙者に比べるといびきをかく人の割合が倍以上で、さらに深刻な睡眠時無呼吸症候群になってしまうリスクも飛躍的に高まることがわかっています。

■バンザイをして寝る人
 両腕を上げてバンザイの姿勢で寝る人は、いびきをかきやすくなります。バンザイの姿勢で寝ると気道を狭めてしまうからです。また、枕が高すぎる場合も、同様の理由でいびきの原因となります。

◎ いびきが引き起こす病気の数々

 いびきをかくのはよく寝ている証拠、とよく言われますが、実はそれはまったくの間違いです。いびきをかくということは、よく寝ているどころか、反対に熟睡できていない証拠です。日中も疲労感が抜けず、仕事や勉強への集中力がなくなったり気が短くなったりします。

 実は、いびきにはもっとおそろしい影響があります。いびきをかく人は、慢性的に体内に取り入れる酸素が不足している状態が続きます。ぐっすり熟睡してたっぷりと酸素を吸い込んだ健康な人と違って、血液中の酸素の濃度が低いために呼吸器系や循環器系に深刻な影響を与えることがあります。
 血中の酸素濃度が慢性的に低い状態が続くことで、糖尿病や高血圧といった生活習慣病を引き起こす原因になることがわかっています。さらに、不整脈、心不全、心筋梗塞などのより深刻な病気を引き起こして、寝ている間に突然死に至るという最悪の事態にもなりかねません。特に脳が酸素不足に陥ることは人体にとって非常事態です。脳卒中や脳梗塞といった致命的な病気を引き起こしてしまう可能性も十分に考えられます。
 いびきは、体が不調を知らせてくれる警告音だと思って深刻に受け止めたほうがいいでしょう。いびきをかいている限り、決して健康体であるはずがないのです。

◎ いびき防止のために

 一人暮らしであれば誰にも迷惑がかかるわけでないので、悪質ないびきでなければ、健康上の理由を除いていびきを気にする必要はないかもしれません。しかし、日常生活をしている中では、友人と同じ部屋で寝たり、出張で会社の同僚や上司と同じ部屋で寝なければいけない場面がいつ来るとも限りません。
 そんな時、いつも通り、いびきをガーガーかいてしまっては、場合によってはその後の人間関係にも影響があるかもしれません。

 根本的な改善には、専門家である医師に相談する必要がありますが、「今日だけ、いびきをかきたくない」という緊急事態に対応するためには、市販のいびき防止グッズを利用するのが一番です。
 最近はいびき防止グッズの種類も増えてきています。鼻をはさみこむようにして貼ることによって空気の通り道を広げてくれるシールや、鼻の中に直接ふきかけるスプレータイプの薬をはじめとして、指輪のように指にはめるためだけでOKというものもあります。普通のドラッグストアで、こうしたさまざまな種類のいびき防止グッズが販売されていますから、いびきに悩んでいる人はまずこのあたりから始めてみてはいかがでしょう。

◎ 子どものいびきは要注意!

 グーグーと大きないびきをかいている子どもを見て、「ぐっすりよく眠っている」と安心する親がいますが、それはまったく間違っています。健康体の子どもは朝までスヤスヤと眠り、決していびきをかきません。毎日のように子どもがいびきをかくようであれば、それは質の良い睡眠がとれていない証拠で、身体が何らかの不調や異常を訴えている警告音だと考えたほうがいいでしょう。

 まっさきに考えられるのが、鼻炎が原因になっている可能性です。普段から口で呼吸をしている、鼻がよくつまる、歯並びが良くない、食事の栄養バランスが偏っているなどの場合、子どもでもいびきをかく原因になります。大人に比べると子どもの上気道はもともと細くできていますから、大人よりもいびきをかきやすい構造になっています。
 いびきをかいているということは、体内に十分な酸素が行き渡っていない状態になっています。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、子どもの場合はよく眠ることによって脳が発達し、同時に骨や筋肉が成長します。いびきによって血中の酸素が不足した状態が続くと、からだの発育や精神の発達に重大な影響が出てきます。また、血中の酸素濃度が低下すると日中もぼーっとしてしまい、集中力や記憶力が下がり、子どもの成績が下がることが考えられます。授業中やテスト中でも注意が散漫になり、情緒不安定になって教室で突発的な行動に出るなどして、学校で問題児の烙印を押されかねません。性格的にも内向的になり、友達と遊ぶよりも家に閉じこもるようになります。

 子どものいびきには非常に大きなリスクが潜んでいると考えてください。たかが子どものいびきと甘くみてはいけません。

 大人と同様に、いびきが悪化して睡眠時無呼吸症候群になった場合、突然死に至る可能性もあります。それくらい深刻なことであることを、まず親が認識することが大切です。日中に頻繁に居眠りをする子どもは、睡眠時無呼吸によって慢性的な寝不足になっている可能性があります。お子さんのいびきや無呼吸に気づいた場合は、いち早く対策をとる必要があります。まずは耳鼻科の医師に相談することからはじめるといいでしょう。

と言うことでした。じゃんじゃん。

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