心理学者が注目 人は自宅待機にどこまで適応できる?2020年04月26日 08:55

 コロナの話題では、有名人が亡くなると、やっぱり引き締まるが、今引きこもっても効果が表れるのは1~2週間後。

 幸いにも、我が家では罹患者が出ていないが、これからどうなることか。
 食料品などの買い物が一番社会との接触だから、これをできるだけ控えるようにすることと、いままで高齢の父と週一で外食していたものを、できるだけ持ち帰りして食事するようにしています。
 冷凍のうどんやそばは出汁をちょっと高価なものにするだけで、えらくうまく食べられます。
 カレーもココ壱からテイクアウトで、十分うまいものが食べられます。
 さてさて、先は見えるのでしょうか。
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  新型コロナウイルスの世界的大流行を受け、国によっては外出禁止令が出された。ほぼ一夜にして数億人もの人々が、孤独と闘いながら他者とつながる方法を模索しなければならなくなっている。長期にわたる自宅への「隔離」は、心にどのような影響を与えるのだろうか。

 うつ病、麻薬乱用、家庭内暴力。一部の人々が受けている心理的影響の結果を、社会科学者たちは危機感をもって見守っている。米カイザーファミリー財団の世論調査では、45%の米国人がコロナウイルスの流行で精神的なダメージを受けたと回答した。タバコやアルコールの売上も上昇した。銃もよく売れているという。

 私が暮らすワシントン州シアトルは、米国で最初の新型コロナウイルス感染者が報告された都市だ。そのシアトルで現在実施されている500人の追跡調査を見ると、少なくとも今のところは、この状況にうまく対応できている人が多いようだ。

心理状態を毎日報告

 シアトルがあるキング郡は、米国でいち早く「社会的距離」政策を採用した。調査は、被験者が自分の携帯電話やノートパソコンから毎晩ログインしてオンラインアンケートに回答する形で実施されている。アンケートの質問内容は、今日は何時間人と交流したか、自分は誰かに気にかけてもらっていると感じるか、人とのつながりを感じるか、人とのつながりを積極的に求めたか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して考えないようにすることはどのくらい難しかったか、などだ。これまでの結果を見ると、今のところ、人々はうまく適応できているようだ。

 この調査を率いるワシントン大学大学院生のアダム・クチンスキー氏は、調査開始から1カ月近くが経過し、「人々の回復力や適応力について少しずつ分かってきました」と語る。「当初は、意図しなくても頭に突然、不愉快なことを思い浮かべてしまう、いわゆる『侵入思考』によく悩まされるという回答が多かったのですが、最近は減少傾向にあります」

 今も続く自宅待機で私たちが、どう変わるのかを判断するのはまだ早い。人間は生きるためにお互いの存在を必要とするので、極端な孤立は、免疫力を弱め、血圧を上げ、がん細胞を増殖させることすらある。長期的に、人との接触を断つということは、喫煙と同じくらい不健康なことと言えよう。

 社会的つながりは、体に良いだけではない。米ノートルダム大学の人類学者アグスティン・フエンテス氏は、人間は一緒に問題を解決するように進化してきたと話す。私たちの祖先は、チームワークによって石器を作り、芸術を通してものの見方を共有するために、糊や染料を生み出した。私たちを人間たらしめるものの中心にあるのが「人と人とのつながり」である。「それが私たちを生かし続けているのです」と、フエンテス氏は言う。

「自分で自分がわからない」

 そのつながりが今、かつて誰も経験したことのない形でかき消されようとしている。世界は過去に、COVID-19よりもはるかに壊滅的な感染症を何度か経験している。第一次世界大戦がようやく終わろうかという矢先の1918年、スペイン風邪で2000万~5000万人の死者が出た。犠牲者の多くは子どもたちだった。17世紀にロンドンを襲ったペストは、数十年ごとに第2波、第3波と流行を繰り返した。警官は感染者の出た家を外から施錠し、中にいた健康な人々までも一緒に閉じ込めた。

 現在、私たちは孤立し、隔離されてはいるが、テレビ電話もゲームも、携帯電話もある。家にいながら動画で世界を旅し、ネコの動画に癒される。

 私の家では、11歳の娘が大好きなサッカーの練習に行けず、裏庭で父親相手にボールを蹴っている。来シーズンのメンバー選抜テストが行われるはずだったサッカー場は現在、200床の病院になっている。最近になって、ついに娘から涙声で「あとどのくらい?」と聞かれてしまった。私は何と答えていいか分からなかった。

 感情の糸はいつ切れるかわからない。普段何事にも動じない隣人のシャノン・キャンプさんは、突然自分の弱さに気付かされてショックを受けたという。親しい友人が夫婦で失業し、近所に住む2家族は濃厚接触の後、家で自主隔離している。キャンプさんの中学生の娘からは、友人に会いたいとせがまれる。だが、試練はまだ始まったばかりだ。エイプリルフールの日、こらえられなくなったキャンプさんは歩道で突然泣き出し、「自分で自分のことが分からなくなってしまったわ」と言った。

 一方、いつもと変わらず落ち着いた生活を続ける人々もいる。私の家から約50キロ南のタコマ市に住むジェームズ・スミスさん(74歳)は、「不安は全く感じていません」と話す。彼の93歳の母親はひとりでロサンゼルスに暮らしている。スミスさんの息子は救急救命士として働いているが、スミスさんも妻も元々心配性な方ではない。ニュースを見て、郵便受けをアルコールで消毒し、庭でのんびり過ごしている。困難な人生には慣れていると、スミスさんは言う。「これまでと同じように、これもいずれ過ぎ去るのを待つだけです。私たちはふたりとも幸せな人間です」

 こうした人たちがいるとしても、社会的距離政策で精神的ダメージを受けるのは、いたって正常な反応だ。「私たちの身体が、ほかの人々とつながりたいと信号を送っているのです」と、ブリガム・ヤング大学で人間同士のつながりの心理を研究するジュリアンナ・ホルト・ランスタッド氏は言う。「空腹が食事をとれというサインであり、喉の渇きが水を飲めというサインであるのと同じです。孤独感は、人とのつながりを促す生物的サインであると考えられています」

 でも、それができなかったら、どうなるのだろうか。2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに曝露し隔離された病院職員は、隔離されなかった職員よりも不眠やイライラ感、疲労、孤独を多く訴えたという。ほとんどの職員は数週間隔離されただけだったが、症状はその後何年も続いたという。

日々のストレスを見守る

 クチンスキー氏はワシントン大学社会的つながり科学センターの心理学者ジョナサン・カンター氏と協力して、自宅待機中の人々の心の状態を把握するため、2020年3月14日に調査を開始した。この前日、ワシントン州のジェイ・インスリー知事はすべての学校の閉鎖を発表、翌15日にはバーやレストランも閉鎖された。被験者の記憶がまだ鮮明なうちにその日の様子を報告してもらうため、毎晩7時半に最低27の質問に回答してもらう。回答にかかる時間は約3分。これを少なくとも75日間続ける。

 社会的交流と心の健康を専門とするカンター氏は、強い懸念を抱いていた。ひとり暮らしをしている人や、強迫性障害などの精神疾患を抱えている人は、社会的距離政策のために、ひどい状況に追い込まれる恐れがある。既に、同僚からはそんな話が聞こえてきていた。「無事に隔離期間を終えられる人ばかりではありません。こうした事態に弱く、頼れるものもない人々もいるのです」

 調査してすぐの頃の結果は意外なものだった。というのも、人々の多くは、うまく対応しているようなのだ。ウイルスのことが頭から離れなくても、人々は連帯意識を持ち、親しい人からの思いやりも感じているという。自分と同じように、周りの人も大変な状況にいるという事実が心の支えになっているのではないかと、カンター氏は考えている。

 不安がある程度のレベルに達すると、それ以上は増えることなく、他人との摩擦も少なくなった。新型コロナウイルスのことを考える機会は日ごとに減り、運動量は増えた。「事態に慣れつつあるのかもしれません」と、クチンスキー氏は言う。ただ、ワシントン州知事が外出禁止令を20年5月上旬まで延長すると発表した日は、被験者たちのストレスの度合いは再び上昇に転じた。

 おおむね好ましい傾向にはあるものの、深い不安と悲しみに苦しめられている人々も少なくない。「今感じている孤独感の大きさを0から10の数字で表してくださいと被験者にたずねると、4月上旬の平均値はまだ3でした。でも毎日のように、0と回答する人もいれば10と回答する人もいました」

 カンター氏は、調査で明らかになった、こうした点を憂慮している。研究を始めた当初は、ただ単純に誰がうまく適応しているか、誰が大変な思いをしているか、それはなぜなのかを知りたいと、同氏は考えていた。

 でも今カンター氏は、人々の苦しみを和らげる新たなプロジェクトに取り掛かっている。4週間かけて、全米で似たようなアンケートを実施し、2週目と3週目には被験者の半分に対して、心の健康に良いことが実証されているアドバイスを毎日テキストメッセージで送信する。

「通常の社会的交流やつながりが中断されて、実際に孤立し、社会的断絶を経験している人々がいます。そうでなくても、不安を感じている人が多いのが現状です。今できる基本的なことを実践して、人々を再びつなげることができればと願っています」。カンター氏はこう結んだ。
 
 私は比較的には孤独を好みます。したがって今の状況は特に苦痛ではありませんし、日常的に人と接触することはごくごく少ないですから、何の変化も感じていません。
 しかし、風邪一つ引けない状況は早く脱したいものです。

じゃんじゃん。