シリーズ 睡眠について その3 ― 2015年09月15日 10:00
◎ 男と女の眠りの違い
男性と違って、女性にはホルモン分泌のサイクルがあります。約一ヶ月の周期で、ホルモンのバランスが原因で睡眠時間や眠りの深さが大きく変化します。より正確にいうと、月経は一般的に28日周期です。月経が終わった日から数えて14日間(28日サイクルの前半)は女性は心身ともに活動的になり、睡眠時間は自然と減ります。28日サイクルの後半(次の月経に近づく14日間)になると、体がだんだんだるくなってきて、昼間から強烈な睡魔に襲われることになります。また、精神状態は不安定となり、睡眠の質が下がって睡眠時間も不規則になります。
一般的に、男女の眠りの性質は以下のように、さまざまな点で違いがあります。
■女性のほうが男性よりも睡眠時間は短い傾向にある。特に乳幼児がいる場合は、男性よりも1時間近く短くなる。
■女性のほうが睡眠と覚醒のサイクルが短い。また深い眠り(ノンレム睡眠)の時間が男性より短い。自分の赤ん坊の泣き声に敏感に反応し、朝型が多い。
■女性のほうが不眠になりやすく、特に年配の女性は睡眠に関する悩みを持つ人が多い。更年期障害が原因で睡眠不足になると、落ち込んだり気分の変化が激しくなる。
■女性のほうが、恐い夢を見ることが多い。
■女性のほうが、眠りは深く、短く、効率的。女性ホルモンは睡眠物質のセロトニンの分泌を助けるため、男性よりも深く眠ることができる。短いけれども深い睡眠によって効率的に脳の疲労回復を行っていることも、女性のほうが寿命が長い要因のひとつだと考えられています。
■女性のほうが、寝言を言うことが多い。
男女別の睡眠時間の統計を見ると、女性のほうが30分ほど短くなっています。これは家事をするのが、いまだに主に女性であることが多いことが原因と言われています。しかし、そうした社会的役割の違いが原因で男女の睡眠に差があるのだとすれば、現代社会では女性の活躍の場も増えていますから、こうした睡眠の男女差は将来的に縮んでいくのかもしれません。
◎ 本当は人間の一日は25時間
規則的な生活を送っている人は、だいたい毎晩決まった時間になると自然と眠くなってきます。また、朝は目覚まし時計がなくても、ほとんど同じ時間にすっきりと自然に起きることができます。これは人間の体には体内時計があるからです。
この体内時計は当然24時間周期で時間を刻んでいると考えがちですが、実はそのサイクルは24時間ではありません。温度や湿度が一定で、日光が完全に遮断された、外の様子や時間がまったくわからない洞窟や地下壕あるいは地下室のような場所でしばらく生活すると、人間は約25時間の周期で生活を送るようになることが実験の結果わかっています。
つまり、地球の一日は24時間でも、人体の一日は約25時間なのです。しかし1時間ずれたままでは、当然生活に支障をきたすため、われわれは朝起きて太陽の光を浴びることにより、自分の体内時計を毎日リセットして地球時間に適応しています。
昼夜の区別がはっきりしない都市部の人工的な環境の中で生活していると、洞窟で暮らしているのと同じように、一日のサイクルが24時間でなくなってしまうことがあります。夜中でもコンビニやレストランは営業していますし、携帯電話やパソコンの明るい画面がいつでも目に飛び込んでくるからです。こうした不自然な明るさのサイクルから一歩引いて、正常な生活サイクルを取り戻すためには、朝まず日光を思い切り浴びることが大切です。朝起きて日光を浴び、夜には強い光を目に入れないようにすることで体内時計を正常なレベルに整えましょう。
このように脳内にある時計によって管理されている周期のことをサーカディアンリズムといいます。(生体リズム、概日リズム、生物リズムとも呼ばれます)「サーカ」は「およそ」という意味で、「ディアン」とは「一日」を意味します。つまり、「およそ一日のリズム」というわけです。このサーカディアンリズムという人間の基本的行動サイクルが崩れると、昼間に強烈な眠気に襲われたり夜にぐっすり眠れなくなったりと、不眠症を引き起こす原因となります。
◎ レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠はその深さと特徴によって、レム睡眠とノンレム睡眠に分類することができます。眠りに落ちると、まずレム睡眠が始まり、しばらくすると深いノンレム睡眠のステージに入ります。レム睡眠とノンレム睡眠はセットで発生し、平均的には約90分サイクルで繰り返します。ベッドに入ってから目覚めるまでの間、個人差はありますがおおよそ約80分~110分のサイクルで、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に規則的に4~5回繰り返します。6時間睡眠の人の場合、約90分サイクルを4回繰り返しているわけです。この90分サイクルは、5歳~10歳程度の子どもの時期に形成されることがわかっています。
なお、最初の約3時間はノンレム睡眠の占める割合が高く、その後はレム睡眠とノンレム睡眠は交互に発生し、起床が近づくにつれてレム睡眠の時間が長くなってきます。
なぜこのように、人はレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返す睡眠サイクルを守っているのでしょうか。眠りに落ちてから目が覚めるまで、深い眠りのまま眠ったほうがぐっすり熟睡できるようにも思えます。もし最初から最後までノンレム睡眠だけだとすると、長時間にわたって脳の活動レベルが休息状態となり脳の温度も下がってしまい、起きたときに正常な活動レベルまで戻すのが難しくなってしまうのです。途中に適度にレム睡眠をはさむことにより脳の温度が下がりすぎることを上手に防いでいるわけです。この仕組みがあるため、朝起きたとき、大脳がスムーズに活動を再開し一日を始めることができるのです。
◎ レム睡眠とは
身体は休息状態なのに、脳は覚醒に近い状態で活動している睡眠のことをレム睡眠といいます。「カラダの眠り」と考えるとわかりやすいでしょう。こうした睡眠状態においては、顔の筋肉が軽く痙攣したり、眼球が非常に速くグルグルと回り、それは閉じたまぶたの上からも確認することができます。この特徴的な速い眼球の動き(Rapid Eye Movements)の頭文字をとって、REM(レム)睡眠といいます。眼球が動くということは、脳が活動している証拠です。
レム睡眠時は、脳は深い休息状態に入っていないため、夢を見ることが多いようです。明確な夢を見て、夢の中で何かを目で追いかけているから、眼球が動いているとも言われています。レム睡眠の最中に起こされると、夢を見ていたことをハッキリと認識できる傾向があります。ノンレム睡眠の最中にも夢を見ることがないとは言えませんが、仮に見たとしてもそれを本人が覚えていることはありません。
ベッドに入って眠りに入ると、眠りはどんどん深いノンレム睡眠の状態に入っていきます。1時間ほどたつ頃には、逆に眠りは少しずつ浅くなり始め、入眠から約90分後にはレム睡眠に入ります。この最初のレム睡眠は約10分間持続します。こうしたレム睡眠は約90分周期でくり返し発生し、明け方に近づくほど長くなり、最大20分程度になります。通常睡眠中に発生するレム睡眠の時間を合計すると、一晩に映画一本分の2時間ほどになります。レム睡眠は一夜の睡眠のうち後半部分により多く、睡眠全体に占める割合は約20%です。
レム睡眠の間は、自律神経系の活動が非常に不安定となるため、血圧の変化が激しくなったり、心拍や呼吸は不規則かつ速くなります。睡眠中に原因不明の突然死を遂げるケースがありますが、こうしたレム睡眠中の自律神経の乱れが原因となって心筋梗塞などを引き起こしていることがあるといわれています。
◎ ノンレム睡眠とは
レム睡眠以外の比較的深い眠りの状態をノンレム睡眠(レム睡眠ではない、という意味)といいます。細胞の新陳代謝を高めたり、免疫力を強化する活動がノンレム睡眠の時間に行われているといわれています。筋肉の活動は休止していませんが、脳は休息状態になります。体温は少し低くなり、呼吸や脈拍は非常に穏かになってきて血圧も下がります。
大脳の活動が休息状態に入るため、こちらは「脳の眠り」であるとも言えます。いわゆるぐっすり寝ている状態ですので、多少の物音がしたり、軽くゆさぶられても目が覚めることはありません。もしノンレム睡眠の最中に強制的に起こされたとすると、人体はすぐさま活動を開始することができません。脳の中でも最も大きい大脳が休止状態から活動を開始するまではしばらく時間が必要で、それまでの間はいわゆる「寝ぼけた」ような行動をしてしまうことになります。ノンレム睡眠の間も夢を見ることがありますが、レム睡眠中に見る夢ほどはっきりした内容ではなく、多くの場合本人は覚えていません。
眠りに落ちた直後の3時間の間に深いノンレム睡眠は集中的に発生します。最初の3時間にぐっすり熟睡し、深いノンレム睡眠をしっかりとれば、起きたときに「熟睡できた」という満足感が高くなります。実はほとんどの場合、居眠りはノンレム睡眠です。短時間でも昼寝や居眠りをすると、頭がすっきりするのはノンレム睡眠によって脳が休息できたからです。
深い眠りであるノンレム睡眠を体験することができるのは、実は大脳が発達した哺乳類と鳥類だけです。大脳が未発達の魚類、両生類、爬虫類などはノンレム睡眠がありません。
第3回でした、じゃんじゃん。
男性と違って、女性にはホルモン分泌のサイクルがあります。約一ヶ月の周期で、ホルモンのバランスが原因で睡眠時間や眠りの深さが大きく変化します。より正確にいうと、月経は一般的に28日周期です。月経が終わった日から数えて14日間(28日サイクルの前半)は女性は心身ともに活動的になり、睡眠時間は自然と減ります。28日サイクルの後半(次の月経に近づく14日間)になると、体がだんだんだるくなってきて、昼間から強烈な睡魔に襲われることになります。また、精神状態は不安定となり、睡眠の質が下がって睡眠時間も不規則になります。
一般的に、男女の眠りの性質は以下のように、さまざまな点で違いがあります。
■女性のほうが男性よりも睡眠時間は短い傾向にある。特に乳幼児がいる場合は、男性よりも1時間近く短くなる。
■女性のほうが睡眠と覚醒のサイクルが短い。また深い眠り(ノンレム睡眠)の時間が男性より短い。自分の赤ん坊の泣き声に敏感に反応し、朝型が多い。
■女性のほうが不眠になりやすく、特に年配の女性は睡眠に関する悩みを持つ人が多い。更年期障害が原因で睡眠不足になると、落ち込んだり気分の変化が激しくなる。
■女性のほうが、恐い夢を見ることが多い。
■女性のほうが、眠りは深く、短く、効率的。女性ホルモンは睡眠物質のセロトニンの分泌を助けるため、男性よりも深く眠ることができる。短いけれども深い睡眠によって効率的に脳の疲労回復を行っていることも、女性のほうが寿命が長い要因のひとつだと考えられています。
■女性のほうが、寝言を言うことが多い。
男女別の睡眠時間の統計を見ると、女性のほうが30分ほど短くなっています。これは家事をするのが、いまだに主に女性であることが多いことが原因と言われています。しかし、そうした社会的役割の違いが原因で男女の睡眠に差があるのだとすれば、現代社会では女性の活躍の場も増えていますから、こうした睡眠の男女差は将来的に縮んでいくのかもしれません。
◎ 本当は人間の一日は25時間
規則的な生活を送っている人は、だいたい毎晩決まった時間になると自然と眠くなってきます。また、朝は目覚まし時計がなくても、ほとんど同じ時間にすっきりと自然に起きることができます。これは人間の体には体内時計があるからです。
この体内時計は当然24時間周期で時間を刻んでいると考えがちですが、実はそのサイクルは24時間ではありません。温度や湿度が一定で、日光が完全に遮断された、外の様子や時間がまったくわからない洞窟や地下壕あるいは地下室のような場所でしばらく生活すると、人間は約25時間の周期で生活を送るようになることが実験の結果わかっています。
つまり、地球の一日は24時間でも、人体の一日は約25時間なのです。しかし1時間ずれたままでは、当然生活に支障をきたすため、われわれは朝起きて太陽の光を浴びることにより、自分の体内時計を毎日リセットして地球時間に適応しています。
昼夜の区別がはっきりしない都市部の人工的な環境の中で生活していると、洞窟で暮らしているのと同じように、一日のサイクルが24時間でなくなってしまうことがあります。夜中でもコンビニやレストランは営業していますし、携帯電話やパソコンの明るい画面がいつでも目に飛び込んでくるからです。こうした不自然な明るさのサイクルから一歩引いて、正常な生活サイクルを取り戻すためには、朝まず日光を思い切り浴びることが大切です。朝起きて日光を浴び、夜には強い光を目に入れないようにすることで体内時計を正常なレベルに整えましょう。
このように脳内にある時計によって管理されている周期のことをサーカディアンリズムといいます。(生体リズム、概日リズム、生物リズムとも呼ばれます)「サーカ」は「およそ」という意味で、「ディアン」とは「一日」を意味します。つまり、「およそ一日のリズム」というわけです。このサーカディアンリズムという人間の基本的行動サイクルが崩れると、昼間に強烈な眠気に襲われたり夜にぐっすり眠れなくなったりと、不眠症を引き起こす原因となります。
◎ レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠はその深さと特徴によって、レム睡眠とノンレム睡眠に分類することができます。眠りに落ちると、まずレム睡眠が始まり、しばらくすると深いノンレム睡眠のステージに入ります。レム睡眠とノンレム睡眠はセットで発生し、平均的には約90分サイクルで繰り返します。ベッドに入ってから目覚めるまでの間、個人差はありますがおおよそ約80分~110分のサイクルで、レム睡眠とノンレム睡眠は交互に規則的に4~5回繰り返します。6時間睡眠の人の場合、約90分サイクルを4回繰り返しているわけです。この90分サイクルは、5歳~10歳程度の子どもの時期に形成されることがわかっています。
なお、最初の約3時間はノンレム睡眠の占める割合が高く、その後はレム睡眠とノンレム睡眠は交互に発生し、起床が近づくにつれてレム睡眠の時間が長くなってきます。
なぜこのように、人はレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返す睡眠サイクルを守っているのでしょうか。眠りに落ちてから目が覚めるまで、深い眠りのまま眠ったほうがぐっすり熟睡できるようにも思えます。もし最初から最後までノンレム睡眠だけだとすると、長時間にわたって脳の活動レベルが休息状態となり脳の温度も下がってしまい、起きたときに正常な活動レベルまで戻すのが難しくなってしまうのです。途中に適度にレム睡眠をはさむことにより脳の温度が下がりすぎることを上手に防いでいるわけです。この仕組みがあるため、朝起きたとき、大脳がスムーズに活動を再開し一日を始めることができるのです。
◎ レム睡眠とは
身体は休息状態なのに、脳は覚醒に近い状態で活動している睡眠のことをレム睡眠といいます。「カラダの眠り」と考えるとわかりやすいでしょう。こうした睡眠状態においては、顔の筋肉が軽く痙攣したり、眼球が非常に速くグルグルと回り、それは閉じたまぶたの上からも確認することができます。この特徴的な速い眼球の動き(Rapid Eye Movements)の頭文字をとって、REM(レム)睡眠といいます。眼球が動くということは、脳が活動している証拠です。
レム睡眠時は、脳は深い休息状態に入っていないため、夢を見ることが多いようです。明確な夢を見て、夢の中で何かを目で追いかけているから、眼球が動いているとも言われています。レム睡眠の最中に起こされると、夢を見ていたことをハッキリと認識できる傾向があります。ノンレム睡眠の最中にも夢を見ることがないとは言えませんが、仮に見たとしてもそれを本人が覚えていることはありません。
ベッドに入って眠りに入ると、眠りはどんどん深いノンレム睡眠の状態に入っていきます。1時間ほどたつ頃には、逆に眠りは少しずつ浅くなり始め、入眠から約90分後にはレム睡眠に入ります。この最初のレム睡眠は約10分間持続します。こうしたレム睡眠は約90分周期でくり返し発生し、明け方に近づくほど長くなり、最大20分程度になります。通常睡眠中に発生するレム睡眠の時間を合計すると、一晩に映画一本分の2時間ほどになります。レム睡眠は一夜の睡眠のうち後半部分により多く、睡眠全体に占める割合は約20%です。
レム睡眠の間は、自律神経系の活動が非常に不安定となるため、血圧の変化が激しくなったり、心拍や呼吸は不規則かつ速くなります。睡眠中に原因不明の突然死を遂げるケースがありますが、こうしたレム睡眠中の自律神経の乱れが原因となって心筋梗塞などを引き起こしていることがあるといわれています。
◎ ノンレム睡眠とは
レム睡眠以外の比較的深い眠りの状態をノンレム睡眠(レム睡眠ではない、という意味)といいます。細胞の新陳代謝を高めたり、免疫力を強化する活動がノンレム睡眠の時間に行われているといわれています。筋肉の活動は休止していませんが、脳は休息状態になります。体温は少し低くなり、呼吸や脈拍は非常に穏かになってきて血圧も下がります。
大脳の活動が休息状態に入るため、こちらは「脳の眠り」であるとも言えます。いわゆるぐっすり寝ている状態ですので、多少の物音がしたり、軽くゆさぶられても目が覚めることはありません。もしノンレム睡眠の最中に強制的に起こされたとすると、人体はすぐさま活動を開始することができません。脳の中でも最も大きい大脳が休止状態から活動を開始するまではしばらく時間が必要で、それまでの間はいわゆる「寝ぼけた」ような行動をしてしまうことになります。ノンレム睡眠の間も夢を見ることがありますが、レム睡眠中に見る夢ほどはっきりした内容ではなく、多くの場合本人は覚えていません。
眠りに落ちた直後の3時間の間に深いノンレム睡眠は集中的に発生します。最初の3時間にぐっすり熟睡し、深いノンレム睡眠をしっかりとれば、起きたときに「熟睡できた」という満足感が高くなります。実はほとんどの場合、居眠りはノンレム睡眠です。短時間でも昼寝や居眠りをすると、頭がすっきりするのはノンレム睡眠によって脳が休息できたからです。
深い眠りであるノンレム睡眠を体験することができるのは、実は大脳が発達した哺乳類と鳥類だけです。大脳が未発達の魚類、両生類、爬虫類などはノンレム睡眠がありません。
第3回でした、じゃんじゃん。
シリーズ 睡眠について その4 ― 2015年09月16日 10:00
昨夜は函館で、アスベストの学習会でしたので、これは函館からお送りします。
別に何の変化もありませんが。
あ、例の苫小牧沖で火災を起こしたフェリーがホテルの窓から見えます。
さて、
◎ アミノ酸トリプトファン
トリプトファンとは牛乳から発見された必須アミノ酸のひとつで、人体内で自然に合成することができません。よって、食べ物から摂取することになります。
トリプトファンは脳に運ばれると、鎮痛、催眠、精神の安定などの効果がある「セロトニン」という脳内物質をつくる原料となります。このセロトニンが不足すると、睡眠障害になったり不安感や憂鬱な気持ちになります。セロトニンそのものはトリプトファンを材料として体内で合成するもので、食べ物や飲み物で補うことができません。セロトニンにはメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を促す働きもあります。
トリプトファンはバナナにも豊富に含まれています。バナナには他にも、精神を落ち着けるマグネシウム、睡眠を誘うビタミンB6なども含まれているので、バナナは睡眠を助けてくれる食べ物です。
おなかがすいてなかなか寝付けないときや、疲れているのに頭が冴えてしまって眠れないときは、バナナと同じようにトリプトファンを含む牛乳を飲みながらバナナを一本食べるといいでしょう。トリプトファンの効果が倍増して脳内物質セロトニンが作られ、睡眠ホルモンのメラトニンが活発に分泌されることにより、ぐっすりと穏かな眠りに落ちることができます。
◎ 脳内物質セロトニン
セロトニンと呼ばれる脳内物質が増えると、鎮静作用によって精神状態が落ち着いてイライラしなくなり、よく眠れるようになります。
セロトニンは脳内で作られ、その材料となるトリプトファンというアミノ酸は肉や牛乳から摂ることができます。肉ばかりそうそう食べるわけにもいきませんから、セロトニンのもっとも効果的な取り入れ方は牛乳をたくさん飲むことです。また、トリプトファンをセロトニン工場である脳に送り込むためには、ブドウ糖も同時に体内に取り入れる必要があります。
セロトニンは、睡眠導入作用のあるメラトニンというホルモンの分泌を促進します。体内にメラトニンが増えてくると、だんだんと眠くなってきます。
セロトニンのもうひとつの大きな働きは、満腹中枢を刺激することです。食前にミルクを一杯飲むと、満腹中枢が反応し、早めに満腹信号が出されるために、つい食べ過ぎてしまうことを防げます。食事の前に必ずミルクを飲む習慣をつけておくと、食事量を抑えてダイエットにもつながります。さらに、豊富なセロトニンのおかげで精神状態も落ち着いてよく眠れるようになるので一石二鳥です。
◎ 睡眠ホルモンのメラトニンとは
大脳の働きをサポートしている神経伝達物質やホルモンは、長時間活動した後、分解されます。この時「睡眠物質」と呼ばれるものが脳内に蓄積されていきます。この睡眠物質がだんだんたまってくると、人は疲労を感じて眠気に襲われます。睡眠をとると脳内にたまった睡眠物質がさっぱりと消えてなくなり、脳は再び活発に活動するようになります。なお、睡眠物質はある特定の一種類のものではなく、さまざまな種類があるようです。運動した後に疲れを感じるは乳酸という「疲労物質」が体内にたまるからであり、その疲労物質を取り除いてしまえば、疲れが回復することも知られています。脳の中でも同じようなことが起きているわけです。
「メラトニン」は1958年に初めて発見され、眠りを誘うホルモンとしてよく知られています。メラトニンは脈拍、体温、血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを上手に調整し、自然な眠りを誘う作用があります。時差ぼけ防止にも効果があり、実際に時差ぼけ予防の薬として製品化されています。
このメラトニンを分泌するのは脳の松果体と呼ばれている部分です。松果体は網膜が受ける光の量というデータを受け取り、その情報をもとにメラトニンの分泌量を決定します。目に入る光の量が減ると、それを感知した松果体がメラトニンを分泌します。メラトニンが分泌されると、体はそれを察知し周囲が暗くなってきたことを知ります。
メラトニンには、太陽の光が朝に目に入ってから15時間前後たたないと分泌されないという性質があります。外が明るい時昼間にはほとんど分泌されず、夕方以降暗くなってくると分泌量が増えてきます。夜になるとさらに増えて、午前2時頃に分泌量がピークに達します。
眠る前に部屋をすこし暗くすると眠りに入りやすいのは、このメラトニンの働きをうまく利用しているからです。眠りに落ちる頃にはメラトニンの分泌はかなり活発となり、自然な眠気が訪れることになります。朝に向かってだんだんとメラトニンは減少するにしたがって、覚醒に近づくことになります。
年齢を重ねるごとにメラトニンの分泌は減っていきます。70歳を超えると、夜間になってもメラトニンの量は昼間と同じくらい少なくなります。このメラトニンの不足により、老人は朝が早く、夜中に何度も目が覚めてしまいます。夕方以降に人工的にメラトニンを投与すると、老人も夜ぐっすりと眠れるようになることがわかっています。
◎ メラトニンはどうやって増やす?
睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンを増やすには、どうすればいいのでしょうか。
牛乳やバナナなどに含まれるトリプトファンというアミノ酸は、セロトニンという脳内物質をつくる原料となります。そして、セロトニンは分解されるとメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を促す働きがあります。
ぐっすり熟睡するために効果的なサプリメントとして、アメリカではメラトニンが注目されています。また、ナイトミルクという言葉を聞いたことがあるかもしれません。牛は夜になると昼間の3~4倍のメラトニンを分泌するため、夜に絞ったミルクを飲むとより多くのメラトニンを摂ることができ、より眠りやすくなります。また、メラトニンは「若返りのホルモン」とも言われています。睡眠を十分にとることで脳中でメラトニンが分泌され、若さを保てるというわけです。
メラトニンは人体の内部で自然につくられるホルモンであり、朝起きて夜寝るという当たり前の生活サイクルを保っている限り、サプリメントで摂取する必要はありません。ただし、年齢とともにメラトニンの分泌は減少しますし、生活が不規則な方は正常にメラトニンが分泌されていないことがあります。明け方に目が覚めてしまうという方はメラトニン不足を補うために、サプリメントを夕方以降に飲むと自然に寝つき、朝早く起きてしまうこともなくなってくるはずです。
サプリメントよりも食品でメラトニンを摂りたい方は、青汁の原料としても知られているケールがおすすめです。ケールとは地中海原産のアブラナ科の野菜で、キャベツやブロッコリーの原種です。ビタミン、ミネラル、食物繊維だけでなく、ビタミンA、ビタミンC、ベータカロチン、カルシウムを豊富に含んでいます。
ケールそのものは、なかなか普通にスーパーで売っているものではありません。たいていは粉末の状態に加工されて売られていて、牛乳や水で溶かして飲むというのが一般的です。ケールを原料とした「青汁」を飲むのが、一番手軽な方法でしょう。青汁というと、朝に飲むというイメージがあるかもしれませんが、快眠のためにメラトニンを摂る、という目的の場合は、夕方以降に飲むのがいいでしょう。
睡眠の基礎知識、第4回でした。じゃんじゃん。
別に何の変化もありませんが。
あ、例の苫小牧沖で火災を起こしたフェリーがホテルの窓から見えます。
さて、
◎ アミノ酸トリプトファン
トリプトファンとは牛乳から発見された必須アミノ酸のひとつで、人体内で自然に合成することができません。よって、食べ物から摂取することになります。
トリプトファンは脳に運ばれると、鎮痛、催眠、精神の安定などの効果がある「セロトニン」という脳内物質をつくる原料となります。このセロトニンが不足すると、睡眠障害になったり不安感や憂鬱な気持ちになります。セロトニンそのものはトリプトファンを材料として体内で合成するもので、食べ物や飲み物で補うことができません。セロトニンにはメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を促す働きもあります。
トリプトファンはバナナにも豊富に含まれています。バナナには他にも、精神を落ち着けるマグネシウム、睡眠を誘うビタミンB6なども含まれているので、バナナは睡眠を助けてくれる食べ物です。
おなかがすいてなかなか寝付けないときや、疲れているのに頭が冴えてしまって眠れないときは、バナナと同じようにトリプトファンを含む牛乳を飲みながらバナナを一本食べるといいでしょう。トリプトファンの効果が倍増して脳内物質セロトニンが作られ、睡眠ホルモンのメラトニンが活発に分泌されることにより、ぐっすりと穏かな眠りに落ちることができます。
◎ 脳内物質セロトニン
セロトニンと呼ばれる脳内物質が増えると、鎮静作用によって精神状態が落ち着いてイライラしなくなり、よく眠れるようになります。
セロトニンは脳内で作られ、その材料となるトリプトファンというアミノ酸は肉や牛乳から摂ることができます。肉ばかりそうそう食べるわけにもいきませんから、セロトニンのもっとも効果的な取り入れ方は牛乳をたくさん飲むことです。また、トリプトファンをセロトニン工場である脳に送り込むためには、ブドウ糖も同時に体内に取り入れる必要があります。
セロトニンは、睡眠導入作用のあるメラトニンというホルモンの分泌を促進します。体内にメラトニンが増えてくると、だんだんと眠くなってきます。
セロトニンのもうひとつの大きな働きは、満腹中枢を刺激することです。食前にミルクを一杯飲むと、満腹中枢が反応し、早めに満腹信号が出されるために、つい食べ過ぎてしまうことを防げます。食事の前に必ずミルクを飲む習慣をつけておくと、食事量を抑えてダイエットにもつながります。さらに、豊富なセロトニンのおかげで精神状態も落ち着いてよく眠れるようになるので一石二鳥です。
◎ 睡眠ホルモンのメラトニンとは
大脳の働きをサポートしている神経伝達物質やホルモンは、長時間活動した後、分解されます。この時「睡眠物質」と呼ばれるものが脳内に蓄積されていきます。この睡眠物質がだんだんたまってくると、人は疲労を感じて眠気に襲われます。睡眠をとると脳内にたまった睡眠物質がさっぱりと消えてなくなり、脳は再び活発に活動するようになります。なお、睡眠物質はある特定の一種類のものではなく、さまざまな種類があるようです。運動した後に疲れを感じるは乳酸という「疲労物質」が体内にたまるからであり、その疲労物質を取り除いてしまえば、疲れが回復することも知られています。脳の中でも同じようなことが起きているわけです。
「メラトニン」は1958年に初めて発見され、眠りを誘うホルモンとしてよく知られています。メラトニンは脈拍、体温、血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを上手に調整し、自然な眠りを誘う作用があります。時差ぼけ防止にも効果があり、実際に時差ぼけ予防の薬として製品化されています。
このメラトニンを分泌するのは脳の松果体と呼ばれている部分です。松果体は網膜が受ける光の量というデータを受け取り、その情報をもとにメラトニンの分泌量を決定します。目に入る光の量が減ると、それを感知した松果体がメラトニンを分泌します。メラトニンが分泌されると、体はそれを察知し周囲が暗くなってきたことを知ります。
メラトニンには、太陽の光が朝に目に入ってから15時間前後たたないと分泌されないという性質があります。外が明るい時昼間にはほとんど分泌されず、夕方以降暗くなってくると分泌量が増えてきます。夜になるとさらに増えて、午前2時頃に分泌量がピークに達します。
眠る前に部屋をすこし暗くすると眠りに入りやすいのは、このメラトニンの働きをうまく利用しているからです。眠りに落ちる頃にはメラトニンの分泌はかなり活発となり、自然な眠気が訪れることになります。朝に向かってだんだんとメラトニンは減少するにしたがって、覚醒に近づくことになります。
年齢を重ねるごとにメラトニンの分泌は減っていきます。70歳を超えると、夜間になってもメラトニンの量は昼間と同じくらい少なくなります。このメラトニンの不足により、老人は朝が早く、夜中に何度も目が覚めてしまいます。夕方以降に人工的にメラトニンを投与すると、老人も夜ぐっすりと眠れるようになることがわかっています。
◎ メラトニンはどうやって増やす?
睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンを増やすには、どうすればいいのでしょうか。
牛乳やバナナなどに含まれるトリプトファンというアミノ酸は、セロトニンという脳内物質をつくる原料となります。そして、セロトニンは分解されるとメラトニンという睡眠ホルモンの分泌を促す働きがあります。
ぐっすり熟睡するために効果的なサプリメントとして、アメリカではメラトニンが注目されています。また、ナイトミルクという言葉を聞いたことがあるかもしれません。牛は夜になると昼間の3~4倍のメラトニンを分泌するため、夜に絞ったミルクを飲むとより多くのメラトニンを摂ることができ、より眠りやすくなります。また、メラトニンは「若返りのホルモン」とも言われています。睡眠を十分にとることで脳中でメラトニンが分泌され、若さを保てるというわけです。
メラトニンは人体の内部で自然につくられるホルモンであり、朝起きて夜寝るという当たり前の生活サイクルを保っている限り、サプリメントで摂取する必要はありません。ただし、年齢とともにメラトニンの分泌は減少しますし、生活が不規則な方は正常にメラトニンが分泌されていないことがあります。明け方に目が覚めてしまうという方はメラトニン不足を補うために、サプリメントを夕方以降に飲むと自然に寝つき、朝早く起きてしまうこともなくなってくるはずです。
サプリメントよりも食品でメラトニンを摂りたい方は、青汁の原料としても知られているケールがおすすめです。ケールとは地中海原産のアブラナ科の野菜で、キャベツやブロッコリーの原種です。ビタミン、ミネラル、食物繊維だけでなく、ビタミンA、ビタミンC、ベータカロチン、カルシウムを豊富に含んでいます。
ケールそのものは、なかなか普通にスーパーで売っているものではありません。たいていは粉末の状態に加工されて売られていて、牛乳や水で溶かして飲むというのが一般的です。ケールを原料とした「青汁」を飲むのが、一番手軽な方法でしょう。青汁というと、朝に飲むというイメージがあるかもしれませんが、快眠のためにメラトニンを摂る、という目的の場合は、夕方以降に飲むのがいいでしょう。
睡眠の基礎知識、第4回でした。じゃんじゃん。
シリーズ 睡眠について その5 ― 2015年09月17日 10:00
◎ 朝型人間と夜型人間
よく言われるように、人の生活スタイルは朝方と夜型の二種類に分けることができます。
一日の生活サイクルが平均よりも前にずれていて、早寝早起きの習慣がある人を「朝型人間」と呼び、サイクルが後ろにずれて夜更かし朝寝坊が身についている人のことを「夜型人間」といいます。
朝型の人はすっきりと気持ちよく目覚めて、毎朝きちんと朝食も食べます。午前中から頭はフル回転、バリバリと仕事をこなすエネルギッシュなタイプです。血圧は高めで食欲もあり、何事にも積極的・行動的な性格で、あまり細かいことにこだわらない大らかな一面もあります。朝が早いために、比較的早い時間に眠くなるため、夜更かしは苦手です。
一方、夜型の人は血圧が低めなこともあり、朝起きるのがとにかく苦手。胃腸があまり強くないので朝食を食べないことが多く、午前中はいまひとつ仕事の効率が上がりません。朝型と比べると、消極的・内向的な性格の人が多く、何事も即行動の前にまずはじっくりと考える性格です。しかし、午後からはようやくエンジンがかかり、特に夕方から夜にかけては絶好調になるため、仕事に遊びにとつい夜更かしをしてしまいがちです。また、神経質な一面もあり、心配事があるとなかなかそれが頭から離れず、夜も眠れなくなることがあります。
短時間睡眠者と長時間睡眠者の二種類の人がいるとの同じように、もともと生まれながらの体質や生活環境などによって、朝方か夜型かが決まるといわれています。遺伝によって先天的に脳内の睡眠物質であるセロトニンの分泌量が少ないと夜型、多いと朝型になるという傾向があるようです。また、一日の中の体温変化のサイクルも朝型か夜型かを決める大きな要因となります。
人間の一日の正常なサイクルは24時間ですが、夜型人間の人はこのサイクルが正常な人と比較して数時間うしろにズレてしまっているわけです。
サイクルそのものは24時間と正常で、それがそっくり数時間ズレているだけであれば、それほど深刻な問題ではありません。しかし、不規則な生活や過度のストレスによって、サイクルの長さそのものが24時間でなくなっている人がいます。サイクル自体が狂ったり不規則だったりすると、疲労感がいつまでも抜けず、食欲もなく憂鬱な気分が続くなど、さまざまな障害が出てきます。
夜型人間は不規則な睡眠時間の変化にうまく対応する力があり、時差ぼけにも強いという特徴があります。朝型の人は急な残業などによって生活時間帯が遅れてしまうと、寝る時間が遅くなってしまいますが、目が覚める時間はいつもと変わらないために寝不足気味になります。寝る時間が遅かったから、起きる時間も遅くする、といった自在な調整ができないのです。朝型の人はこのように自分の生活サイクルに対して非常に忠実であるために、睡眠時間の変化に対する順応力は弱いと言えます。
◎ 朝型人間になりたい!
人生を歩んでいく中で、人はさまざまな要因で朝型から夜型へ、あるいは夜型から朝型へ、とそのライフスタイルを変更することがあります。実は朝型になりたいと思っている夜型の人は少なくないかもしれません。ずっと夜型の生活を送っている人が、一念発起して朝型に切り替えることはできるのでしょうか。
朝型、夜型は生まれつきのもので一生変わらない、というわけではありませんから、夜型から朝型へ切り替えることは可能です。朝型から夜型への切り替えと比較すると、夜型から朝型への切り替えは、相当の努力と忍耐が必要になるでしょう。毎日少しずつ体をならしていき、ゆっくり時間をかけて自分の生活リズムを変えていくわけですが、強いモチベーションを持ち続けることが成功のカギです。つまり、たとえば「朝早く起きて、日頃できない読書をしたい」「毎朝1時間ずつ勉強して、資格試験に合格したい」「忙しかったせいでしばらく離れていた趣味を再開したい」など、自分は朝型になって何がしたいのか、という理由を明確にして自分自身を奮い立たせることが大切なポイントになるでしょう。
■朝型に切り替える秘訣は「早起き」から
朝型に切り替えようとすると、たいていの人は「じゃあ、まず夜早く寝るところから始めよう」と考えます。しかし、もともとが夜型の人ですから、夜はどちらかというと頭が冴えてくる時間帯ですから、急に早く寝ようとしてもすぐに寝られるはずがありません。
理想的で健康的な睡眠サイクルを取り戻し、朝型人間に切り替えるためには、早く寝ようと頑張るよりも、まずは早く起きることから始めたほうが簡単でスムーズです。いつもよりも朝早く起きることは最初は苦痛ですが、思い切って起きてしまい、窓を全開にして太陽の光をたっぷりと浴びれば、すぐにスッキリとした気分になるでしょう。また、早く起きたことで自分の時間が手に入るのもうれしい点です。
早起きをすると、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌がいつもよりも早く始まるので、必然的に早い時間に眠くなってきます。いきなり毎日起きる時間を早くするのが厳しいという人は、週に一度でもいいので、早起きにチャレンジしてみてください。だんだんと慣れてきて、生活サイクルが朝方に切り替われば、もはや早起きは苦痛ではなく、生活の自然な一部となるでしょう。
このようにして、早起き⇒早寝⇒早起きというサイクルを繰り返し体に覚えさせれば、数週間で朝型人間に生まれ変わることができます。
◎ 金縛りは心霊現象ではありません
意識はハッキリしているのに、手足を動かそうと思ってもまったく体が言うことをきかない、といういわゆる金縛りの経験がある人は決して少数派ではありません。中にはこれを心霊現象だとか幽霊のたたりや呪いだと考えて恐れる人がいますが、金縛りは決して心霊現象ではありません。
脳の動きが活発なのに、体の筋肉は活動を休止している睡眠状態をレム睡眠といいます。このレム睡眠の時に何かのきっかけで目が覚めてしまうと、意識がハッキリしているのに思うように体が動かないことがあります。筋肉がだらっと弛緩した(ゆるんだ)状態であるために、「動け」と脳が指令を出しても筋肉には伝わらず、自分の意思ではまったく動かすことができないのです。これが金縛りの正体で、睡眠医学では睡眠麻痺と呼ばれています。時間的には長くても1~2分程度です。焦る必要はまったくないので、特に気にせず体が動くようになるのを気楽に待ちましょう。慣れてくると「ああ、また金縛りがきたな」と冷静に受け止めることができます。
通常であれば、眠りから目が覚めて覚醒状態となれば筋肉にも自然と力が入るようになり、思ったとおりに体を動かすことができます。しかし不規則な生活や過度の肉体疲労、ストレスがたまった状態が続くと、覚醒するということと筋肉の動きがうまくかみ合わず、不整合を起こしてしまうことがあります。霊が体の上に乗っかって重くて動けない心霊現象や、たたりのしわざではなく、原因は自分自身にあるのです。
金縛りは、眠りに落ちる直前や明け方に目覚めた時など、覚醒と睡眠のスイッチの切り替えがうまくいかなかった時に起きやすいようです。睡眠のリズムが一定でない人、徹夜が続く人、昼夜交代勤務によって寝る時間が毎日違う人は、金縛りにかかりやすいタイプだといわれています。
金縛りには特に男女差はないようですが、生活サイクル(睡眠サイクル)が不規則になりがちな若い人に起こりやすく、睡眠不足やストレスがたまってきた時に特に発生します。思春期から青年期にかけて比較的発生しやすいようですが、中高年になってからや子どもでも経験する人もいます。昼夜交代の勤務時や海外で時差ぼけになっている時も、金縛りになる条件が整っています。規則的な睡眠をこころがけ、一定の生活サイクルを取り戻せば、自然と金縛りはなくなるはずです。
◎ 寝相でわかる性格判断
睡眠中の動きは、その人の本能や本性が素直に表れるために、寝相のタイプによって、だいたいどのような性格の人なのかわかります。
1.あおむけ
自分に自信のある人は、仰向けで堂々と大の字で寝る人が多いようです。大スターや成功者もこのタイプが多いと言われています。すべてのことに対して開放的、積極的に取り組むことができる人です。個性的で自信家の人が多いようです。
2.うつぶせ
どちらかというと保守的・消極的な性格で、小さなことにこだわる神経質なところがある人が多いようです。また、時間に正確な人が多いと言われています。
3.からだを丸める
母親のおなかの中の胎児のように、体全体を丸めて寝る人は、世間や他人に対して心を開くことができず、自己防衛本能が強いタイプです。人生をエンジョイしようという前向きな気持ちが比較的弱く、まずは自分を守るという極めて内向的な性格だと言えるでしょう。
4.横向き
バランスのとれた性格で、非常に安定した性格の人です。世間や他人との距離のとり方が上手で、まわりの環境にうまく順応してしまうタイプです。
◎ 「羊が一匹・・・」では眠れない
頭の中で羊を数えていると、だんだん眠くなってくるという説が昔からあります。ところが、これを真に受けて実際試してみたけれど、100匹を過ぎても眠れずかえって頭が冴えてしまった、という体験をした人もいるかと思います。実はこのやり方は、「日本語では」うまく機能しないのです。
この方法はもともとイギリスから入ってきた入眠方法だと言われていますが、英語だからこそうまくいく仕掛けがあるのです。
羊は英語でsheep(シープ)です。これは眠るという意味のsleepと音感が近いため、頭の中で羊を数えながら何度も何度もsheepと繰り返していると、だんだん発音があいまいになってきてsleep(眠りなさい)に近くなります。sleepと繰り返し自分に言い聞かせる状態となり、いわゆる自己催眠状態となります。
また、はじめの頃はsheepの「p(ぷ)」の音をはっきり発音していたとしても、だんだん疲れてめんどくさくなってくると、pの音がなくなって、「シー、シー」の連続になってきます。この発音をしていると、自然と体の力が抜けてきます。こうして少しずつリラックス状態となって眠れるようになるという仕組みなのですが、これはあくまでも英語だからこそ通用する方法です。日本語の「ひつじ」を何度言っても、リラックス効果は期待できません。100匹までいっても、200匹までいっても、眠くならなかったのはこうした理由だったのです。
もう一つ眠れない理由があるとすれば、羊という動物そのものです。犬や猫と違って、日本人にとって羊はそれほど身近な存在ではありませんから、羊の姿がすぐにハッキリとイメージできないのです。羊ってどんな形だったかな、と思い出そうとすることで、かえって脳が活性化してしまっているのかもしれません。とにかく、羊に頼るのはもうやめたほうがいいでしょう。
◎ 睡眠不足は重大な事故を引き起こす
当たり前のことですが、睡眠不足がたまっていると、昼間に強烈な眠気に襲われることがあります。人間の睡眠・覚醒サイクルの関係で、午後2時前後に眠くなるのは誰にも起きる自然なことですが、睡眠不足の時には特に眠気が強くなります。起きていなくてはいけない、という意識とはうらはらに、眠気は容赦なく襲ってきます。このような本格的な睡魔の攻撃にあってしまうと、人間が必死に抵抗しても限界があります。ちょっとだけ目を閉じてみよう、と考えたが最後、数秒間の瞬間的な眠りが発生します。これをマイクロスリープといいます。マイクロスリープは時には1秒や2秒という非常に短い時間であるために、本人は眠っているという実感がありません。しかし、意識は確実に遠のき、集中力はゼロに近い状態になっています。思考力、判断力も著しく低下し、生産性も当然大きく落ちることになります。
オフィスでパソコン作業をしている時にマイクロスリープが発生しても、せいぜいガクっと動いて回りに気づかれて気まずい思いをする程度で済みます。しかし、これが重機を操縦して危険な作業をしている場合や、乗客の生命を預かっているバスの運転や飛行機の操縦をしている最中であったら、取り返しのつかない致命的な事故に直結することが十分ありえます。
マイクロスリープだけでなく、睡眠時無呼吸症候群という病気にかかっている場合も、上記のような危険な事故につながるような危険性があります。アメリカのスリーマイル島で起きた原子炉爆発事故(1979年)チェルノブイリ原子力発電所の放射能漏れ事故(1986年)、アラスカ沖巨大タンカー座礁事故(1989年)、スペースシャトルのチャレンジャー号爆発事故(1986年)などは、作業にあたった現場のスタッフが睡眠時無呼吸症候群によって睡眠不足となっていたことが原因だったと考えられています。
こうした海外の大事故のニュースを見ても、つい自分の生活とは直接関係がないと考えてしまいがちですが、決してそんなことはありません。日本国内においても、バスやタクシーの運転手や新幹線の運転士が居眠り運転をして事故になったという事例は複数報告されていますから、自分自身がいつそうした事故の被害者にならないとも限らないのです。
これで「睡眠の基礎」が終わりました。
次は、「不眠症とは」です。じゃんじゃん。
よく言われるように、人の生活スタイルは朝方と夜型の二種類に分けることができます。
一日の生活サイクルが平均よりも前にずれていて、早寝早起きの習慣がある人を「朝型人間」と呼び、サイクルが後ろにずれて夜更かし朝寝坊が身についている人のことを「夜型人間」といいます。
朝型の人はすっきりと気持ちよく目覚めて、毎朝きちんと朝食も食べます。午前中から頭はフル回転、バリバリと仕事をこなすエネルギッシュなタイプです。血圧は高めで食欲もあり、何事にも積極的・行動的な性格で、あまり細かいことにこだわらない大らかな一面もあります。朝が早いために、比較的早い時間に眠くなるため、夜更かしは苦手です。
一方、夜型の人は血圧が低めなこともあり、朝起きるのがとにかく苦手。胃腸があまり強くないので朝食を食べないことが多く、午前中はいまひとつ仕事の効率が上がりません。朝型と比べると、消極的・内向的な性格の人が多く、何事も即行動の前にまずはじっくりと考える性格です。しかし、午後からはようやくエンジンがかかり、特に夕方から夜にかけては絶好調になるため、仕事に遊びにとつい夜更かしをしてしまいがちです。また、神経質な一面もあり、心配事があるとなかなかそれが頭から離れず、夜も眠れなくなることがあります。
短時間睡眠者と長時間睡眠者の二種類の人がいるとの同じように、もともと生まれながらの体質や生活環境などによって、朝方か夜型かが決まるといわれています。遺伝によって先天的に脳内の睡眠物質であるセロトニンの分泌量が少ないと夜型、多いと朝型になるという傾向があるようです。また、一日の中の体温変化のサイクルも朝型か夜型かを決める大きな要因となります。
人間の一日の正常なサイクルは24時間ですが、夜型人間の人はこのサイクルが正常な人と比較して数時間うしろにズレてしまっているわけです。
サイクルそのものは24時間と正常で、それがそっくり数時間ズレているだけであれば、それほど深刻な問題ではありません。しかし、不規則な生活や過度のストレスによって、サイクルの長さそのものが24時間でなくなっている人がいます。サイクル自体が狂ったり不規則だったりすると、疲労感がいつまでも抜けず、食欲もなく憂鬱な気分が続くなど、さまざまな障害が出てきます。
夜型人間は不規則な睡眠時間の変化にうまく対応する力があり、時差ぼけにも強いという特徴があります。朝型の人は急な残業などによって生活時間帯が遅れてしまうと、寝る時間が遅くなってしまいますが、目が覚める時間はいつもと変わらないために寝不足気味になります。寝る時間が遅かったから、起きる時間も遅くする、といった自在な調整ができないのです。朝型の人はこのように自分の生活サイクルに対して非常に忠実であるために、睡眠時間の変化に対する順応力は弱いと言えます。
◎ 朝型人間になりたい!
人生を歩んでいく中で、人はさまざまな要因で朝型から夜型へ、あるいは夜型から朝型へ、とそのライフスタイルを変更することがあります。実は朝型になりたいと思っている夜型の人は少なくないかもしれません。ずっと夜型の生活を送っている人が、一念発起して朝型に切り替えることはできるのでしょうか。
朝型、夜型は生まれつきのもので一生変わらない、というわけではありませんから、夜型から朝型へ切り替えることは可能です。朝型から夜型への切り替えと比較すると、夜型から朝型への切り替えは、相当の努力と忍耐が必要になるでしょう。毎日少しずつ体をならしていき、ゆっくり時間をかけて自分の生活リズムを変えていくわけですが、強いモチベーションを持ち続けることが成功のカギです。つまり、たとえば「朝早く起きて、日頃できない読書をしたい」「毎朝1時間ずつ勉強して、資格試験に合格したい」「忙しかったせいでしばらく離れていた趣味を再開したい」など、自分は朝型になって何がしたいのか、という理由を明確にして自分自身を奮い立たせることが大切なポイントになるでしょう。
■朝型に切り替える秘訣は「早起き」から
朝型に切り替えようとすると、たいていの人は「じゃあ、まず夜早く寝るところから始めよう」と考えます。しかし、もともとが夜型の人ですから、夜はどちらかというと頭が冴えてくる時間帯ですから、急に早く寝ようとしてもすぐに寝られるはずがありません。
理想的で健康的な睡眠サイクルを取り戻し、朝型人間に切り替えるためには、早く寝ようと頑張るよりも、まずは早く起きることから始めたほうが簡単でスムーズです。いつもよりも朝早く起きることは最初は苦痛ですが、思い切って起きてしまい、窓を全開にして太陽の光をたっぷりと浴びれば、すぐにスッキリとした気分になるでしょう。また、早く起きたことで自分の時間が手に入るのもうれしい点です。
早起きをすると、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌がいつもよりも早く始まるので、必然的に早い時間に眠くなってきます。いきなり毎日起きる時間を早くするのが厳しいという人は、週に一度でもいいので、早起きにチャレンジしてみてください。だんだんと慣れてきて、生活サイクルが朝方に切り替われば、もはや早起きは苦痛ではなく、生活の自然な一部となるでしょう。
このようにして、早起き⇒早寝⇒早起きというサイクルを繰り返し体に覚えさせれば、数週間で朝型人間に生まれ変わることができます。
◎ 金縛りは心霊現象ではありません
意識はハッキリしているのに、手足を動かそうと思ってもまったく体が言うことをきかない、といういわゆる金縛りの経験がある人は決して少数派ではありません。中にはこれを心霊現象だとか幽霊のたたりや呪いだと考えて恐れる人がいますが、金縛りは決して心霊現象ではありません。
脳の動きが活発なのに、体の筋肉は活動を休止している睡眠状態をレム睡眠といいます。このレム睡眠の時に何かのきっかけで目が覚めてしまうと、意識がハッキリしているのに思うように体が動かないことがあります。筋肉がだらっと弛緩した(ゆるんだ)状態であるために、「動け」と脳が指令を出しても筋肉には伝わらず、自分の意思ではまったく動かすことができないのです。これが金縛りの正体で、睡眠医学では睡眠麻痺と呼ばれています。時間的には長くても1~2分程度です。焦る必要はまったくないので、特に気にせず体が動くようになるのを気楽に待ちましょう。慣れてくると「ああ、また金縛りがきたな」と冷静に受け止めることができます。
通常であれば、眠りから目が覚めて覚醒状態となれば筋肉にも自然と力が入るようになり、思ったとおりに体を動かすことができます。しかし不規則な生活や過度の肉体疲労、ストレスがたまった状態が続くと、覚醒するということと筋肉の動きがうまくかみ合わず、不整合を起こしてしまうことがあります。霊が体の上に乗っかって重くて動けない心霊現象や、たたりのしわざではなく、原因は自分自身にあるのです。
金縛りは、眠りに落ちる直前や明け方に目覚めた時など、覚醒と睡眠のスイッチの切り替えがうまくいかなかった時に起きやすいようです。睡眠のリズムが一定でない人、徹夜が続く人、昼夜交代勤務によって寝る時間が毎日違う人は、金縛りにかかりやすいタイプだといわれています。
金縛りには特に男女差はないようですが、生活サイクル(睡眠サイクル)が不規則になりがちな若い人に起こりやすく、睡眠不足やストレスがたまってきた時に特に発生します。思春期から青年期にかけて比較的発生しやすいようですが、中高年になってからや子どもでも経験する人もいます。昼夜交代の勤務時や海外で時差ぼけになっている時も、金縛りになる条件が整っています。規則的な睡眠をこころがけ、一定の生活サイクルを取り戻せば、自然と金縛りはなくなるはずです。
◎ 寝相でわかる性格判断
睡眠中の動きは、その人の本能や本性が素直に表れるために、寝相のタイプによって、だいたいどのような性格の人なのかわかります。
1.あおむけ
自分に自信のある人は、仰向けで堂々と大の字で寝る人が多いようです。大スターや成功者もこのタイプが多いと言われています。すべてのことに対して開放的、積極的に取り組むことができる人です。個性的で自信家の人が多いようです。
2.うつぶせ
どちらかというと保守的・消極的な性格で、小さなことにこだわる神経質なところがある人が多いようです。また、時間に正確な人が多いと言われています。
3.からだを丸める
母親のおなかの中の胎児のように、体全体を丸めて寝る人は、世間や他人に対して心を開くことができず、自己防衛本能が強いタイプです。人生をエンジョイしようという前向きな気持ちが比較的弱く、まずは自分を守るという極めて内向的な性格だと言えるでしょう。
4.横向き
バランスのとれた性格で、非常に安定した性格の人です。世間や他人との距離のとり方が上手で、まわりの環境にうまく順応してしまうタイプです。
◎ 「羊が一匹・・・」では眠れない
頭の中で羊を数えていると、だんだん眠くなってくるという説が昔からあります。ところが、これを真に受けて実際試してみたけれど、100匹を過ぎても眠れずかえって頭が冴えてしまった、という体験をした人もいるかと思います。実はこのやり方は、「日本語では」うまく機能しないのです。
この方法はもともとイギリスから入ってきた入眠方法だと言われていますが、英語だからこそうまくいく仕掛けがあるのです。
羊は英語でsheep(シープ)です。これは眠るという意味のsleepと音感が近いため、頭の中で羊を数えながら何度も何度もsheepと繰り返していると、だんだん発音があいまいになってきてsleep(眠りなさい)に近くなります。sleepと繰り返し自分に言い聞かせる状態となり、いわゆる自己催眠状態となります。
また、はじめの頃はsheepの「p(ぷ)」の音をはっきり発音していたとしても、だんだん疲れてめんどくさくなってくると、pの音がなくなって、「シー、シー」の連続になってきます。この発音をしていると、自然と体の力が抜けてきます。こうして少しずつリラックス状態となって眠れるようになるという仕組みなのですが、これはあくまでも英語だからこそ通用する方法です。日本語の「ひつじ」を何度言っても、リラックス効果は期待できません。100匹までいっても、200匹までいっても、眠くならなかったのはこうした理由だったのです。
もう一つ眠れない理由があるとすれば、羊という動物そのものです。犬や猫と違って、日本人にとって羊はそれほど身近な存在ではありませんから、羊の姿がすぐにハッキリとイメージできないのです。羊ってどんな形だったかな、と思い出そうとすることで、かえって脳が活性化してしまっているのかもしれません。とにかく、羊に頼るのはもうやめたほうがいいでしょう。
◎ 睡眠不足は重大な事故を引き起こす
当たり前のことですが、睡眠不足がたまっていると、昼間に強烈な眠気に襲われることがあります。人間の睡眠・覚醒サイクルの関係で、午後2時前後に眠くなるのは誰にも起きる自然なことですが、睡眠不足の時には特に眠気が強くなります。起きていなくてはいけない、という意識とはうらはらに、眠気は容赦なく襲ってきます。このような本格的な睡魔の攻撃にあってしまうと、人間が必死に抵抗しても限界があります。ちょっとだけ目を閉じてみよう、と考えたが最後、数秒間の瞬間的な眠りが発生します。これをマイクロスリープといいます。マイクロスリープは時には1秒や2秒という非常に短い時間であるために、本人は眠っているという実感がありません。しかし、意識は確実に遠のき、集中力はゼロに近い状態になっています。思考力、判断力も著しく低下し、生産性も当然大きく落ちることになります。
オフィスでパソコン作業をしている時にマイクロスリープが発生しても、せいぜいガクっと動いて回りに気づかれて気まずい思いをする程度で済みます。しかし、これが重機を操縦して危険な作業をしている場合や、乗客の生命を預かっているバスの運転や飛行機の操縦をしている最中であったら、取り返しのつかない致命的な事故に直結することが十分ありえます。
マイクロスリープだけでなく、睡眠時無呼吸症候群という病気にかかっている場合も、上記のような危険な事故につながるような危険性があります。アメリカのスリーマイル島で起きた原子炉爆発事故(1979年)チェルノブイリ原子力発電所の放射能漏れ事故(1986年)、アラスカ沖巨大タンカー座礁事故(1989年)、スペースシャトルのチャレンジャー号爆発事故(1986年)などは、作業にあたった現場のスタッフが睡眠時無呼吸症候群によって睡眠不足となっていたことが原因だったと考えられています。
こうした海外の大事故のニュースを見ても、つい自分の生活とは直接関係がないと考えてしまいがちですが、決してそんなことはありません。日本国内においても、バスやタクシーの運転手や新幹線の運転士が居眠り運転をして事故になったという事例は複数報告されていますから、自分自身がいつそうした事故の被害者にならないとも限らないのです。
これで「睡眠の基礎」が終わりました。
次は、「不眠症とは」です。じゃんじゃん。
シリーズ 睡眠について その6 不眠症の1 ― 2015年09月18日 10:00
◎ 不眠症は病気ではない
不眠の悩みを抱えている人は、日本人の5人に1人と言われています。24時間活動型の都市部を中心に生活時間帯はどんどん遅くなり、睡眠時間は削られる一方です。現代ほど不眠に悩まされている人が多い時代は、人類史上かつてありませんでした。
睡眠不足が何日も続くと、熟睡感を得ることができず、疲労も回復しないので、日中に強烈な眠気に襲われます。こうした状態になると、日中の仕事の作業効率や判断力が著しく低下し、ミスや事故の原因となります。さらには、高血圧、心筋梗塞、肥満、糖尿病などの他の病気を引き起こす原因にもなってしまいます。
不眠症という言葉は広く世間に認知されていますが、実は「○○という状態を不眠症と呼ぶ」といった統一した正式な医学的基準があるわけではありません。一般的指標として、寝つきが悪い状態や夜中に目が覚めるなどして眠りが持続しない状態が1ヶ月以上続いた場合などには、不眠症であると言っていいでしょう。
ほとんどの人は不眠症は病気の名前だと考えているようですが、不眠症は病気ではありません。一般に、不眠症は「心身の疲労などにより、十分に眠れない状態が続く病的状態」と定義されています。不眠症とは、何らかの原因によってよく眠れないことを悩んでいる状態、つまり「症状」を指す言葉であり、決して病名ではありません。
「症状であって病名ではない」の他の例として、頭痛があります。頭痛そのものは病気ではなく、何らかの他の病気(脳腫瘍など)や過労などの他の体調不良が表面に出てきているに過ぎません。不眠症もこれとまったく同じで、人それぞれ眠れない原因が異なります。職場のストレス、近所の工事の騒音、将来への不安感など、実にさまざまです。よって、不眠症を解消するためにはまず不眠の原因を特定し、適切な対処をする必要があるのです。
◎ 不眠症の人は実際は眠っている
不眠症に悩み、「一睡もできないんです」と医師に相談する人の多くは、実際は、自分でも気付かないうちに数時間は眠っていることが多いのが実情です。ただ、自分では寝たという意識や記憶がないだけなのです。
ここに睡眠不足に悩んでいるAさんとBさんがいます。ふたりのうち、不眠症でより大きな苦痛を感じているのはどちらでしょうか。
Aさん:昨日4時間しか眠れなかった。自分が4時間眠ったと認識している。
Bさん:昨日は一睡もできなかったと信じている。(実際は4時間眠っている)
実際の睡眠時間は同じですから、二人とも肉体的負担は同じはずです。しかし、Bさんのほうが明らかにげっそりしています。
なぜこうした違いが出てくるのでしょうか。これは、ひとえにBさんの気持ちの持ち方が原因です。自分は眠っていないと信じ込んでしまい、そのために本当は眠っているのに、自分は一睡もしていないと信じてしまっています。人の心と身体は一心同体です。「病は気から」と言われるように、人間の身体は気持ちの持ちようで、良いほうにも悪いほうにも変化します。実際はしっかり眠っていて肉体も健康のはずなのに、「自分は眠れていない」と心が信じてしまうと、肉体的にもいろいろな異常が出てきてしまうのです。
つまり、実際に物理的に眠ったかどうかよりも、本人が「眠ったと感じる」ことができることのほうが大切なのです。
不眠症の人は、実際はよく眠っています。それを家族や医師に指摘されるとムキになって否定する傾向があります。自分はこんなに不眠症で悩んでいるんだから、実際には眠っているなんてウソだ、と絶対に認めたくないのです。そうした気持ちが、実際は十分に眠っているのに自分はずっと寝ていないという精神的な寝不足とも言うべき精神状態となり、自分は不眠だとより強く思い込むようになります。
そうした自称不眠症の患者さんを納得させるためには、睡眠障害専門のクリニックで一晩眠ってもらい、熟睡している様子をビデオに撮影してその映像を本人に見てもらうのが最も効果的です。自分がぐっすり寝ている映像を見せられて、あなたは実際は眠れていますから心配ありませんよ、と医師に説明されるとようやく納得します。そうすると不思議なもので、これ以上の「治療」は一切しなくても、不眠症は治ってしまうというケースがめずらしくありません。不眠症の原因は、患者本人のこころの中にあることが少なくないのです。
◎ 不眠症の4つのタイプ
一般的には「不眠症」という言葉で知られていますが、医学的には不眠症という睡眠障害は、大きく4つのタイプに分類することできます。不眠症に悩んでいる人が医師に相談するときは、自分がどのタイプに該当するのかを事前に考えておいてください。
■入眠障害タイプ
入眠障害タイプとは、いわゆる「寝つきが悪い」というもので、不眠症を訴える人の多くはこのタイプに該当します。
寝る直前に仕事のメールをチェックしたり、心配事や悩み事について一人でじっと考えたりすると、寝つきが悪くなるのは当然です。寝つきが悪いと、頭の中にいろいろな考えが次から次へと浮かんできます。仕事や家庭の心配事で精神的に後ろ向き、内向きになっているときは、まるで連想ゲームのように、どんどん悪い方向に考えが進んでいってしまうものです。「明日も仕事だから、よく眠らなくてはいけない」などと考えると、焦りによってかえって目が冴えてしまうといった経験は誰にもあると思います。ベッドや布団に入ってからは、いろいろと考えをめぐらせるのをやめる、というのが解決策ですが、なかなか簡単にできることではありません。
入眠するまで常に1時間以上かかる場合は入眠障害だと言えるでしょう。ベッドに入ってから何時間も寝つけない、と自覚症状があるのはとても苦痛です。それが毎日続くのであれば、それは明らかに睡眠障害です。眠りに落ちるまでに毎晩数時間もかかる場合は、入眠障害の恐れがありますから医師に相談してください。
■中途覚醒タイプ
眠りに落ちることはできても、夜中に2回以上目が覚めてしまい、すぐにまた眠りに戻れないタイプです。眠りが浅く、ぐっすり熟睡した満足感がないのが特徴で、睡眠時無呼吸症候群、うつなどの精神疾患、ストレスなどが原因として考えられます。
特に中高年齢期になると、睡眠の質がどうしても落ちてきます。深いノンレム睡眠が減り、夜中に何度も目が覚めてしまうなど、熟睡が朝まで持続しない浅い眠りとなってしまいます。
規則正しい生活リズムを取り戻し、食生活にも十分に配慮をした上で、睡眠と覚醒の切り替えにメリハリをつけるようにすれば、たとえ年齢を重ねていたとしても、若い人と同じようにぐっすり熟睡して朝まで続けて眠れるようになります。
■熟眠障害タイプ
いわゆる「眠りが浅い」というタイプのことです。朝まで熟睡した、という満足感がないため、自分は不眠症だと考えてしまいます。まだ若いのに必ず夜中にトイレに何度も起きるという方もいますが、トイレから帰ってきてまたすぐに眠ってしまうのであれば、熟眠障害と呼ぶ必要はないでしょう。夜中にトイレに起きてしまうと、意識が冴えてしまって眠れなくなってしまう、あるいは家族のいびきで毎晩のように夜中に起きてしまい、一時間ほど寝付けないといったケースは、熟眠障害の可能性があります。うつなどの精神疾患が原因である場合もあります。
■早朝(早期)覚醒タイプ
自分が起きる予定の時間よりも何時間も早く目が覚めてしまい、眠りたいのに眠れなくなってしまうタイプのことです。高齢者やうつの患者によく見られる症状です。
明日は出張で朝が早いから寝過ごしては大変だと、目覚ましより早くパッと起きてしまった、あるいは、5時起きしてゴルフに行く予定だったが、あまりにワクワクして4時に起きてしまった、などという経験はあるでしょう。子どもの頃、遠足が楽しみで当日の朝は早く起きてしまった、といった経験も誰でも一度はあるかと思います。このように何かワクワクするような楽しみがあったり、どうしても寝過ごすわけにはいかないという緊張感があると、人はちゃんと早く目が覚めるようにできています。言うまでもありませんが、こうしたケースで予定よりも早く目が覚めてしまうことは、早期覚醒タイプの不眠症ではありません。
特に楽しみや緊張感といった理由がないのに、何日も連続して予定より早く目が覚めてしまうのであれば、それは早期覚醒の可能性があります。多くの場合、過度のストレスといった精神的要因によるものだと考えられますので、精神状態を安定させることによって、少しずつ改善していく必要があります。
「老人は朝が早い」といいますが、これは加齢によって自律神経の働きが弱ってくることが原因ですから不眠症ではなく自然なことです。
◎ 不眠症の原因
不眠は一時的なものであることもありますが、程度が深刻になって本格的に日常生活に支障をきたす場合もあります。不眠で死ぬことはありませんが、人生や生活の質を大きく下げてしまいます。また、不眠によって他のいろいろな病気を誘発してしまうことも少なくないため、不眠を放置しておくわけにもいきません。
ひとくちに不眠症といっても、その原因は人によってさまざまです。不眠症から脱却するための第一歩は、客観的な正しい知識を身につけたうえで、自分が眠れない原因を理解することです。自分の状態について一番よく理解しているのは、もちろん自分自身です。まずは自分の置かれた状況と心の状態を客観的に見つめなおすところから始めましょう。
▽騒音
ぐっすり眠るためには、どのような環境で眠るかが非常に大切です。近くに幹線道路があり、一晩中クルマやトラックの騒音が絶えない環境で熟睡することは、簡単なことではありません。また、クルマの騒音以上に気になるのが、家の外から聞こえる人の話し声です。コンビニが近所にあると、深夜に若者の話し声や騒ぎ声が気になって眠れないことがあります。睡眠の妨げになるこうした騒音は、厚めのカーテンをひいたり、耳栓を利用したり、環境音楽などの音によって騒音を相殺するなどの対処によって、克服するしかありません。
▽体内時計の乱れ
体内時計が感じる時間と実際の時間との間にズレが出ている状態だと、眠くなる時間もズレてきてしまいます。海外旅行をした人なら一度は経験があるかと思いますが、日本と時差の大きな外国に行くと時差ぼけによってなかなか眠れないことがあります。また、朝寝坊や夜更かしが習慣化してしまった人や、職場の交代勤務制(シフト制)によって勤務時間が昼間だったり夜間だったりする人も体内時計が正常に機能していないことがあります。
▽日頃からの慢性的な運動不足
現代人は、多くの人が自覚しているように日頃から運動不足の状態が続いています。交通網が発達し、どの建物にもエスカレーターやエレベーターが設置され、自分の足で移動しなければならない機会がどんどん減っているためです。
特に内勤者の場合は、昼食の時に多少の距離を歩くくらいがせいぜいで、一日のほとんどをオフィスの自分の席で過ごすわけですから、運動不足になって当然です。社内でも意識的に階段を使ったり、駅ではエスカレーターは使わない、などできるところから運動を少しずつ増やしていきましょう。
▽現代人の生活サイクルの乱れ
時代が進むとともに仕事は増える一方ですし、24時間サービス提供型が当たり前となった現代では、生活はどうしても夜型になっていきます。遅くまで残業したあとに深夜にコンビニ弁当で夕食をとるなどの典型的な生活スタイルは、健康的に熟睡するための理想的な生活スタイルとはかけ離れています。不規則な食事時間、偏った栄養バランス、不規則な睡眠時間といった現代人にありがちな生活サイクルの乱れそのものが、不眠の原因になるのです。
▽病気や怪我
睡眠に障害がある人は、何らかの病気にかかっているケースが少なくありません。逆に言えば、不眠症を訴えるということは、時には本人すら認識していない病気が原因で、体が悲鳴をあげている証拠である場合があるのです。睡眠に対して満足感が低い人は、自分の生活習慣や体調について、じっくりと見つめなおす良い機会だと考えるといいでしょう。特にこれといった原因が思い当たらない場合は、精神科や神経科の医師に相談しましょう。
▽身体的不調
肩こり、腰痛、眼精疲労、更年期障害、かゆみ、冷え性、発熱、頻尿、呼吸器疾患、循環器疾患などの体調不良によって、不眠が引き起こされることがあります。寝る前に十分にリラックスを心がけ、5分程度でもいいので軽くストレッチをして血行を良くしておくと、こうした体調不良による不眠は改善できるでしょう。
▽こころの病気
うつ、統合失調症(精神分裂病)に代表されるこころの病気も不眠の原因となります。うつを原因とした不眠の場合、本当に一睡もできない日が続くなど、深刻な状況になる場合もあります。精神科などの、うつの専門医に相談してください。
▽ストレス、ノイローゼ、ヒステリー
結婚、出産、引越し、転勤などの大きなイベントがあると本人が意識している以上にストレスを感じています。こうした精神的負担、不安、緊張によるストレスが不眠を引き起こすことは少なくありません。ストレスを受けると、体内には乳酸が蓄積され、活性酸素が生成されます。不眠を引き起こすだけではなく、心筋梗塞や脳卒中の原因ともなりますから注意が必要です。
慢性的なストレスが原因となっている場合は本人が自覚できずに、医者に相談することもなく、体調不良が原因だと間違った判断をしてしまいます。また、眠らなければならない、という精神的プレッシャーがストレスとなり、眠ろうとすればするほどかえって眠れなくなってしまうことがあります。眠れない日が続くと、「今日も眠れないのではないか」という不安がいっそう眠りにくくさせてしまいます。
職場の人間関係、夫婦間や親子間の人間関係が原因でストレスを受けると、心身ともに緊張状態となり脳が覚醒してしまいます。筋肉に余計な力が入り、血管も収縮するため、血行が悪くなり眠りにくくなります。ぐっすり熟睡できず、夜中に何度も目が覚めてしまいます。
悩みを友人に打ち明ける、スポーツやカラオケでストレスを発散するなど、気持ちのガス抜きをすることを心がけてください。とにかく精神的にリラックスすることが大切なので、何事も深刻に考えすぎないようにしましょう。ストレスはどう受け止めるか、という考え方次第でプラスにもマイナスにもなるのです。
不眠症とはのその1でした。
私は、ここしばらく入眠障害で、睡眠導入剤を飲み続けています。
そのおかげか、たまに眠りが浅いときもありますが、年ですから。
そのほかは特に日中に眠くてしようがないというようなことはありません。
と言ってますが、本当はうとうとしているかもしれませんけど、他に誰もいないので、分かりません。
じゃんじゃん。
不眠の悩みを抱えている人は、日本人の5人に1人と言われています。24時間活動型の都市部を中心に生活時間帯はどんどん遅くなり、睡眠時間は削られる一方です。現代ほど不眠に悩まされている人が多い時代は、人類史上かつてありませんでした。
睡眠不足が何日も続くと、熟睡感を得ることができず、疲労も回復しないので、日中に強烈な眠気に襲われます。こうした状態になると、日中の仕事の作業効率や判断力が著しく低下し、ミスや事故の原因となります。さらには、高血圧、心筋梗塞、肥満、糖尿病などの他の病気を引き起こす原因にもなってしまいます。
不眠症という言葉は広く世間に認知されていますが、実は「○○という状態を不眠症と呼ぶ」といった統一した正式な医学的基準があるわけではありません。一般的指標として、寝つきが悪い状態や夜中に目が覚めるなどして眠りが持続しない状態が1ヶ月以上続いた場合などには、不眠症であると言っていいでしょう。
ほとんどの人は不眠症は病気の名前だと考えているようですが、不眠症は病気ではありません。一般に、不眠症は「心身の疲労などにより、十分に眠れない状態が続く病的状態」と定義されています。不眠症とは、何らかの原因によってよく眠れないことを悩んでいる状態、つまり「症状」を指す言葉であり、決して病名ではありません。
「症状であって病名ではない」の他の例として、頭痛があります。頭痛そのものは病気ではなく、何らかの他の病気(脳腫瘍など)や過労などの他の体調不良が表面に出てきているに過ぎません。不眠症もこれとまったく同じで、人それぞれ眠れない原因が異なります。職場のストレス、近所の工事の騒音、将来への不安感など、実にさまざまです。よって、不眠症を解消するためにはまず不眠の原因を特定し、適切な対処をする必要があるのです。
◎ 不眠症の人は実際は眠っている
不眠症に悩み、「一睡もできないんです」と医師に相談する人の多くは、実際は、自分でも気付かないうちに数時間は眠っていることが多いのが実情です。ただ、自分では寝たという意識や記憶がないだけなのです。
ここに睡眠不足に悩んでいるAさんとBさんがいます。ふたりのうち、不眠症でより大きな苦痛を感じているのはどちらでしょうか。
Aさん:昨日4時間しか眠れなかった。自分が4時間眠ったと認識している。
Bさん:昨日は一睡もできなかったと信じている。(実際は4時間眠っている)
実際の睡眠時間は同じですから、二人とも肉体的負担は同じはずです。しかし、Bさんのほうが明らかにげっそりしています。
なぜこうした違いが出てくるのでしょうか。これは、ひとえにBさんの気持ちの持ち方が原因です。自分は眠っていないと信じ込んでしまい、そのために本当は眠っているのに、自分は一睡もしていないと信じてしまっています。人の心と身体は一心同体です。「病は気から」と言われるように、人間の身体は気持ちの持ちようで、良いほうにも悪いほうにも変化します。実際はしっかり眠っていて肉体も健康のはずなのに、「自分は眠れていない」と心が信じてしまうと、肉体的にもいろいろな異常が出てきてしまうのです。
つまり、実際に物理的に眠ったかどうかよりも、本人が「眠ったと感じる」ことができることのほうが大切なのです。
不眠症の人は、実際はよく眠っています。それを家族や医師に指摘されるとムキになって否定する傾向があります。自分はこんなに不眠症で悩んでいるんだから、実際には眠っているなんてウソだ、と絶対に認めたくないのです。そうした気持ちが、実際は十分に眠っているのに自分はずっと寝ていないという精神的な寝不足とも言うべき精神状態となり、自分は不眠だとより強く思い込むようになります。
そうした自称不眠症の患者さんを納得させるためには、睡眠障害専門のクリニックで一晩眠ってもらい、熟睡している様子をビデオに撮影してその映像を本人に見てもらうのが最も効果的です。自分がぐっすり寝ている映像を見せられて、あなたは実際は眠れていますから心配ありませんよ、と医師に説明されるとようやく納得します。そうすると不思議なもので、これ以上の「治療」は一切しなくても、不眠症は治ってしまうというケースがめずらしくありません。不眠症の原因は、患者本人のこころの中にあることが少なくないのです。
◎ 不眠症の4つのタイプ
一般的には「不眠症」という言葉で知られていますが、医学的には不眠症という睡眠障害は、大きく4つのタイプに分類することできます。不眠症に悩んでいる人が医師に相談するときは、自分がどのタイプに該当するのかを事前に考えておいてください。
■入眠障害タイプ
入眠障害タイプとは、いわゆる「寝つきが悪い」というもので、不眠症を訴える人の多くはこのタイプに該当します。
寝る直前に仕事のメールをチェックしたり、心配事や悩み事について一人でじっと考えたりすると、寝つきが悪くなるのは当然です。寝つきが悪いと、頭の中にいろいろな考えが次から次へと浮かんできます。仕事や家庭の心配事で精神的に後ろ向き、内向きになっているときは、まるで連想ゲームのように、どんどん悪い方向に考えが進んでいってしまうものです。「明日も仕事だから、よく眠らなくてはいけない」などと考えると、焦りによってかえって目が冴えてしまうといった経験は誰にもあると思います。ベッドや布団に入ってからは、いろいろと考えをめぐらせるのをやめる、というのが解決策ですが、なかなか簡単にできることではありません。
入眠するまで常に1時間以上かかる場合は入眠障害だと言えるでしょう。ベッドに入ってから何時間も寝つけない、と自覚症状があるのはとても苦痛です。それが毎日続くのであれば、それは明らかに睡眠障害です。眠りに落ちるまでに毎晩数時間もかかる場合は、入眠障害の恐れがありますから医師に相談してください。
■中途覚醒タイプ
眠りに落ちることはできても、夜中に2回以上目が覚めてしまい、すぐにまた眠りに戻れないタイプです。眠りが浅く、ぐっすり熟睡した満足感がないのが特徴で、睡眠時無呼吸症候群、うつなどの精神疾患、ストレスなどが原因として考えられます。
特に中高年齢期になると、睡眠の質がどうしても落ちてきます。深いノンレム睡眠が減り、夜中に何度も目が覚めてしまうなど、熟睡が朝まで持続しない浅い眠りとなってしまいます。
規則正しい生活リズムを取り戻し、食生活にも十分に配慮をした上で、睡眠と覚醒の切り替えにメリハリをつけるようにすれば、たとえ年齢を重ねていたとしても、若い人と同じようにぐっすり熟睡して朝まで続けて眠れるようになります。
■熟眠障害タイプ
いわゆる「眠りが浅い」というタイプのことです。朝まで熟睡した、という満足感がないため、自分は不眠症だと考えてしまいます。まだ若いのに必ず夜中にトイレに何度も起きるという方もいますが、トイレから帰ってきてまたすぐに眠ってしまうのであれば、熟眠障害と呼ぶ必要はないでしょう。夜中にトイレに起きてしまうと、意識が冴えてしまって眠れなくなってしまう、あるいは家族のいびきで毎晩のように夜中に起きてしまい、一時間ほど寝付けないといったケースは、熟眠障害の可能性があります。うつなどの精神疾患が原因である場合もあります。
■早朝(早期)覚醒タイプ
自分が起きる予定の時間よりも何時間も早く目が覚めてしまい、眠りたいのに眠れなくなってしまうタイプのことです。高齢者やうつの患者によく見られる症状です。
明日は出張で朝が早いから寝過ごしては大変だと、目覚ましより早くパッと起きてしまった、あるいは、5時起きしてゴルフに行く予定だったが、あまりにワクワクして4時に起きてしまった、などという経験はあるでしょう。子どもの頃、遠足が楽しみで当日の朝は早く起きてしまった、といった経験も誰でも一度はあるかと思います。このように何かワクワクするような楽しみがあったり、どうしても寝過ごすわけにはいかないという緊張感があると、人はちゃんと早く目が覚めるようにできています。言うまでもありませんが、こうしたケースで予定よりも早く目が覚めてしまうことは、早期覚醒タイプの不眠症ではありません。
特に楽しみや緊張感といった理由がないのに、何日も連続して予定より早く目が覚めてしまうのであれば、それは早期覚醒の可能性があります。多くの場合、過度のストレスといった精神的要因によるものだと考えられますので、精神状態を安定させることによって、少しずつ改善していく必要があります。
「老人は朝が早い」といいますが、これは加齢によって自律神経の働きが弱ってくることが原因ですから不眠症ではなく自然なことです。
◎ 不眠症の原因
不眠は一時的なものであることもありますが、程度が深刻になって本格的に日常生活に支障をきたす場合もあります。不眠で死ぬことはありませんが、人生や生活の質を大きく下げてしまいます。また、不眠によって他のいろいろな病気を誘発してしまうことも少なくないため、不眠を放置しておくわけにもいきません。
ひとくちに不眠症といっても、その原因は人によってさまざまです。不眠症から脱却するための第一歩は、客観的な正しい知識を身につけたうえで、自分が眠れない原因を理解することです。自分の状態について一番よく理解しているのは、もちろん自分自身です。まずは自分の置かれた状況と心の状態を客観的に見つめなおすところから始めましょう。
▽騒音
ぐっすり眠るためには、どのような環境で眠るかが非常に大切です。近くに幹線道路があり、一晩中クルマやトラックの騒音が絶えない環境で熟睡することは、簡単なことではありません。また、クルマの騒音以上に気になるのが、家の外から聞こえる人の話し声です。コンビニが近所にあると、深夜に若者の話し声や騒ぎ声が気になって眠れないことがあります。睡眠の妨げになるこうした騒音は、厚めのカーテンをひいたり、耳栓を利用したり、環境音楽などの音によって騒音を相殺するなどの対処によって、克服するしかありません。
▽体内時計の乱れ
体内時計が感じる時間と実際の時間との間にズレが出ている状態だと、眠くなる時間もズレてきてしまいます。海外旅行をした人なら一度は経験があるかと思いますが、日本と時差の大きな外国に行くと時差ぼけによってなかなか眠れないことがあります。また、朝寝坊や夜更かしが習慣化してしまった人や、職場の交代勤務制(シフト制)によって勤務時間が昼間だったり夜間だったりする人も体内時計が正常に機能していないことがあります。
▽日頃からの慢性的な運動不足
現代人は、多くの人が自覚しているように日頃から運動不足の状態が続いています。交通網が発達し、どの建物にもエスカレーターやエレベーターが設置され、自分の足で移動しなければならない機会がどんどん減っているためです。
特に内勤者の場合は、昼食の時に多少の距離を歩くくらいがせいぜいで、一日のほとんどをオフィスの自分の席で過ごすわけですから、運動不足になって当然です。社内でも意識的に階段を使ったり、駅ではエスカレーターは使わない、などできるところから運動を少しずつ増やしていきましょう。
▽現代人の生活サイクルの乱れ
時代が進むとともに仕事は増える一方ですし、24時間サービス提供型が当たり前となった現代では、生活はどうしても夜型になっていきます。遅くまで残業したあとに深夜にコンビニ弁当で夕食をとるなどの典型的な生活スタイルは、健康的に熟睡するための理想的な生活スタイルとはかけ離れています。不規則な食事時間、偏った栄養バランス、不規則な睡眠時間といった現代人にありがちな生活サイクルの乱れそのものが、不眠の原因になるのです。
▽病気や怪我
睡眠に障害がある人は、何らかの病気にかかっているケースが少なくありません。逆に言えば、不眠症を訴えるということは、時には本人すら認識していない病気が原因で、体が悲鳴をあげている証拠である場合があるのです。睡眠に対して満足感が低い人は、自分の生活習慣や体調について、じっくりと見つめなおす良い機会だと考えるといいでしょう。特にこれといった原因が思い当たらない場合は、精神科や神経科の医師に相談しましょう。
▽身体的不調
肩こり、腰痛、眼精疲労、更年期障害、かゆみ、冷え性、発熱、頻尿、呼吸器疾患、循環器疾患などの体調不良によって、不眠が引き起こされることがあります。寝る前に十分にリラックスを心がけ、5分程度でもいいので軽くストレッチをして血行を良くしておくと、こうした体調不良による不眠は改善できるでしょう。
▽こころの病気
うつ、統合失調症(精神分裂病)に代表されるこころの病気も不眠の原因となります。うつを原因とした不眠の場合、本当に一睡もできない日が続くなど、深刻な状況になる場合もあります。精神科などの、うつの専門医に相談してください。
▽ストレス、ノイローゼ、ヒステリー
結婚、出産、引越し、転勤などの大きなイベントがあると本人が意識している以上にストレスを感じています。こうした精神的負担、不安、緊張によるストレスが不眠を引き起こすことは少なくありません。ストレスを受けると、体内には乳酸が蓄積され、活性酸素が生成されます。不眠を引き起こすだけではなく、心筋梗塞や脳卒中の原因ともなりますから注意が必要です。
慢性的なストレスが原因となっている場合は本人が自覚できずに、医者に相談することもなく、体調不良が原因だと間違った判断をしてしまいます。また、眠らなければならない、という精神的プレッシャーがストレスとなり、眠ろうとすればするほどかえって眠れなくなってしまうことがあります。眠れない日が続くと、「今日も眠れないのではないか」という不安がいっそう眠りにくくさせてしまいます。
職場の人間関係、夫婦間や親子間の人間関係が原因でストレスを受けると、心身ともに緊張状態となり脳が覚醒してしまいます。筋肉に余計な力が入り、血管も収縮するため、血行が悪くなり眠りにくくなります。ぐっすり熟睡できず、夜中に何度も目が覚めてしまいます。
悩みを友人に打ち明ける、スポーツやカラオケでストレスを発散するなど、気持ちのガス抜きをすることを心がけてください。とにかく精神的にリラックスすることが大切なので、何事も深刻に考えすぎないようにしましょう。ストレスはどう受け止めるか、という考え方次第でプラスにもマイナスにもなるのです。
不眠症とはのその1でした。
私は、ここしばらく入眠障害で、睡眠導入剤を飲み続けています。
そのおかげか、たまに眠りが浅いときもありますが、年ですから。
そのほかは特に日中に眠くてしようがないというようなことはありません。
と言ってますが、本当はうとうとしているかもしれませんけど、他に誰もいないので、分かりません。
じゃんじゃん。
シリーズ 睡眠について その7 不眠症の2 ― 2015年09月24日 10:00
◎ 不眠症で死んだ人はいない
人間にとって睡眠は非常に大切なものです。不眠症の人は、大切な睡眠を十分にとれない日々が続いている状態を非常に心配します。そして中でも極端な人は「もしかすると、このまま眠れない日が続けば、自分は死んでしまうのではないか」などと考えるようになります。
安心してください。いまだかつて、不眠が原因で死んだ人は一人もいません。不眠がいくら続いたとしても(多くの場合、実際には本人が気づいていないだけで眠っています)連日24時間体勢で肉体的拷問を受けるなどの極めて異常な状況でない限り、人間は死ぬ前にまず眠ってしまいます。本能的に人間は自分の命を守ることを優先しますから、死という最悪の事態を避けるためにも身体を強制的に眠らせてしまうのです。
死んでしまうかもしれない、といった過度の恐怖心がさらなるストレスとなり、ますます眠れない状態に自分自身を追い込んでしまいます。「いくら眠れなくたって、死ぬことはないんだから、気楽に考えよう」と開き直ってしまうことが案外効果があります。悩まなくなった瞬間に安心して、眠りに落ちるという不眠症患者は少なくありません。
◎ 不眠症になる人、ならない人
不眠症になる原因の代表的なものに人間関係のストレスがあります。職場の上司とうまくいかない、夫婦の関係がぎくしゃくしている、子どもと会話が成り立たない、などの悩みをお持ちの方は決して少なくないはずです。こうした人間関係の問題は、非常にありふれているとも言えますが、こうした原因によって不眠症になってしまう人がいる一方で、まったく気にせずよく眠れる人がいます。
つまり、同じような状況にいても、不眠症になってしまう人とならない人がいるということです。なぜこのような違いが出てくるかということについて明確な答えが用意されているわけではありませんが、性格的な違いが原因だと考えられます。負けず嫌いで自己主張が強く、そのくせいつまでも感情を引きずってしまうタイプの人は、人間関係が原因で不眠症になりやすい傾向があります。逆に、サバサバした性格で、人間関係で不愉快なことがあっても、ベッドに入ればそんなことはすっかり忘れてしまい、一晩寝たらまったく気にしていないというあっさりした方は、不眠症になることはありません。
性格は変えられないと思い込んではいけません。人間はいつからだって、自分自身を変えることはできます。人間ですから悩みがあるのは当たり前です。しかし、その悩みに睡眠を邪魔されてしまっては、自分が損をするだけでいいことは一つもありません。寝るときは不愉快なことをきれいさっぱりと忘れる、という練習を少しずつやってみてください。こうした頭の切り替えがだんだん上手になってくれば、ストレスが原因で眠れなくなることもなくなり、朝までぐっすり眠れるようになるでしょう。
◎ うつ病の不眠症は、本当に眠れない
不眠症を訴える人の多くは、自分ではよく眠れていないと思っていても、多くの場合に実際はよく眠っているわけですが、これは神経症性の不眠症患者に限った話です。
うつ病性の不眠患者の場合は、本人が眠れないと主張するのに加えて、家族や医師が実際に観察してみると本当に眠れていないのです。短期的に寝ている間も脳は睡眠状態になれず、2~3時間眠るともう目が覚めてしまい、眠れなくなってしまいます。眠気がないから眠れない、というのではなく、眠いのに眠れないという最悪の状態になります。
うつ病性の不眠症の場合、食欲減退、体重減少といった症状が出ます。うつの人は日中変動といって、一日の中でも時間帯によって非常に激しく気分が移り変わります。午前中はずっと低調でどんよりした雰囲気だったのに、夕方くらいから急に人が変わったように明るく活発になる、といった具合です。このように不安定な精神のため、自分の不眠症を深刻に悩み苦しんで、最悪の場合自殺を図ることもあります。
神経症性の不眠症とうつ病性の不眠症を見分けるポイントの一つは、夜中に起きてしまったときの行動です。神経症性の人は、夜中に起きてしまって眠れなくなってしまったことに対して焦り、ひどい場合には普通に寝ているのんきな家族に対して怒りを覚えることがあります。
一方で、うつ病性の場合は、自分が夜中に起きてしまったら、普通に寝ている家族を起こさないように、そっと寝室を離れてひとり静かに夜空を見上げるようなタイプの人です。
神経症の不眠症は、患者本人の睡眠中の映像を見せて実際には眠れていることを理解してもらったり、必要な睡眠時間にこだわらないように考え方を変えてもらうなど、精神的な治療でほとんどが治ってしまいます。
うつ病性の場合は、中枢神経機能がバランスを崩していることが原因なので、薬による治療が必要になります。いわゆる睡眠薬や精神安定剤を投与して睡眠をうながす方法もありますが、うつ病の薬も併用します。不眠症そのものは病気ではなく、うつが引き起こす症状の一つに過ぎません。根本の原因であるうつ病を治療すれば、不眠症も自然に治ることになります。
うつ病性の患者に対しては、厳しい態度で接することは厳禁です。また決して「がんばって」などと励ましてはいけません。周囲は良かれと思ってやったとしても、本人にとっては、「自分は十分にがんばっているのに、これ以上どうやってがんばるんだ」と逆に精神的負担を与えてしまい、最悪の場合は追い詰められて自殺を図るケースがあるからです。
◎ こんな人は不眠症予備軍
眠りに入るのに時間がかかるといった不眠の症状がない人の中にも、不眠症予備軍とも言える人たちがいます。「いつでもどこでも、好きな時に眠れること」を自分の特技として自慢する人がいますが、実はこのような人は不眠症予備軍の代表です。環境が変わっても、時間が昼間であってもすぐに眠りに入れる人というのは、実は単なる睡眠不足が原因なのです。寝つきが良ければ良いほど、睡眠不足の程度が深刻であると言うことができます。
適切な睡眠を確保している健康な人は、昼間に寝てくださいと言われても寝られるものではありません。覚醒と睡眠の正常なサイクルで一日を過ごしている人は、日中は脳が活発に覚醒していますから、いくら部屋を暗くされて横になったとしても、眠れるはずがないのです。
ところが睡眠不足が続いている人や不眠に悩む人は、寝てもいいですよと言われると、イスに座ったままでもあっという間に眠ってしまいます。これは決して自分で睡眠をコントロールしているからできる特技などではなく、重度の睡眠不足のために、体が必然的に眠りを必要としている証拠なのです。
こうした人たちは正常な睡眠サイクルがすっかり乱れてしまっていますから、すぐにでも不眠の症状が出てきても不思議ではありません。自分では認識することはなくても、不眠症予備軍の筆頭に位置づけることができます。どこでも寝られる「特技」を自慢してる場合ではないのです。
予備軍から本格的な不眠症に「格上げ」になることを避けるには、睡眠時間を増やすとともに、規則正しい生活パターンを取り戻して理想的な睡眠サイクルを手に入れることが何よりも大切です。
健康的な眠りを十分にとれている人は、夜ベッドや布団に入ってから眠りに落ちるまでに10分~15分かかるのが正常です。自分はおそらく5分とたたないうちに眠ってしまっていると思う人は、睡眠不足が蓄積していると考えていいでしょう。
◎ 不眠の相談は、どんな病院へ行くべきか
自分は不眠症ではないか、と思ったときには、ひとりで悩んでいても仕方がありません。思い切って専門家に相談してプロの意見を聞けば、精神的な整理ができて安心できます。
それでは、具体的にどのような医師に相談すればいいのでしょうか。大きな規模の病院で、睡眠障害専門の医師がいるところがあるのがベストです。そのような医師が見当たらない場合は、精神科、精神神経科、心療内科でも対応してくれます。これらの診療科が近くにない場合は、まずはなじみのある内科の医師に相談してみましょう。もしそこで解決しない場合は、専門医のいる病院を紹介してもらってください。
病院に行くときには、まずは自分の不眠の状況を医師にうまく説明できるように、よく整理しておきましょう。
「眠れない状況はどのくらいの期間続いているか」
「自分の不眠のタイプは入眠障害、熟睡障害、途中覚醒、早朝覚醒のうちどれだと思うか」
「職場でのストレスや家庭環境の変化など、原因となりそうな思い当たる事情はあるか」
もし言いにくいことがあっても、自分の現状についてできるだけ正直に話してください。なるべく多くの情報を患者から提供したほうが、医師のほうも適切な判断がしやすくなります。
◎ 不眠症の自己診断 - アテネ不眠尺度
自分の不眠の度合いをはかる目安として、世界共通で使われているチェックシートがあります。
アテネ不眠尺度(AIS)
(Soldatos et al.: Journal of Psychosomatic Research 48:555-560, 2000)
アテネ不眠尺度とは、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法です。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、客観的に不眠度を測定できます。
下記のAからHまでの、8つの質問に答えてください。
過去1カ月間に、少なくとも週3回以上経験したものに当てはまるものにチェックしてください。
選択肢の先頭についている点数の合計で結果が診断されます。
A 寝つきは(布団に入ってから眠るまで要する時間)
0 いつも寝つきはよい
1 いつもより少し時間がかかった
2 いつもよりかなり時間がかかった
3 いつもより非常に時間がかかったか、全く眠れなかった
B 夜間、睡眠途中に目が覚めることは?
0 問題になるほどではなかった
1 少し困ることがあった
2 かなり困っている
3 深刻な状態か、全く眠れなかった
C 希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか?
0 そのようなことはなかった
1 少し早かった
2 かなり早かった
3 非常に早かったか、全く眠れなかった
D 総睡眠時間は?
0 十分である
1 少し足りない
2 かなり足りない
3 全く足りないか、全く眠れなかった
E 全体的な睡眠の質は?
0 満足している
1 少し不満
2 かなり不満
3 非常に不満か、全く眠れなかった
F 日中の気分は?
0 いつも通り
1 少しめいった
2 かなりめいった
3 非常にめいった
G 日中の活動について(身体的及び精神的)
0 いつも通り
1 少し低下
2 かなり低下
3 非常に低下
H 日中の眠気について
0 全くない
1 少しある
2 かなりある
3 激しい
・合計得点が4点未満の場合:睡眠障害の心配はありません。
・合計得点が4~5点の場合:不眠症の疑いが少しあります。
⇒できれば医師に相談してください
・合計得点が6点以上の場合:不眠症の疑いがあります。
⇒医師に相談することをお勧めします。
以上、不眠症についてでした。
どうでしたか?
睡眠導入剤等のお薬は、進歩していますので、依存等はあまり心配しないでいいようです。
もし、睡眠について不安が大きければ、医師に相談してみてください。
それにしても、「どこでも眠れる」は重度の睡眠不足とは、知りませんでした。
じゃんじゃん。
人間にとって睡眠は非常に大切なものです。不眠症の人は、大切な睡眠を十分にとれない日々が続いている状態を非常に心配します。そして中でも極端な人は「もしかすると、このまま眠れない日が続けば、自分は死んでしまうのではないか」などと考えるようになります。
安心してください。いまだかつて、不眠が原因で死んだ人は一人もいません。不眠がいくら続いたとしても(多くの場合、実際には本人が気づいていないだけで眠っています)連日24時間体勢で肉体的拷問を受けるなどの極めて異常な状況でない限り、人間は死ぬ前にまず眠ってしまいます。本能的に人間は自分の命を守ることを優先しますから、死という最悪の事態を避けるためにも身体を強制的に眠らせてしまうのです。
死んでしまうかもしれない、といった過度の恐怖心がさらなるストレスとなり、ますます眠れない状態に自分自身を追い込んでしまいます。「いくら眠れなくたって、死ぬことはないんだから、気楽に考えよう」と開き直ってしまうことが案外効果があります。悩まなくなった瞬間に安心して、眠りに落ちるという不眠症患者は少なくありません。
◎ 不眠症になる人、ならない人
不眠症になる原因の代表的なものに人間関係のストレスがあります。職場の上司とうまくいかない、夫婦の関係がぎくしゃくしている、子どもと会話が成り立たない、などの悩みをお持ちの方は決して少なくないはずです。こうした人間関係の問題は、非常にありふれているとも言えますが、こうした原因によって不眠症になってしまう人がいる一方で、まったく気にせずよく眠れる人がいます。
つまり、同じような状況にいても、不眠症になってしまう人とならない人がいるということです。なぜこのような違いが出てくるかということについて明確な答えが用意されているわけではありませんが、性格的な違いが原因だと考えられます。負けず嫌いで自己主張が強く、そのくせいつまでも感情を引きずってしまうタイプの人は、人間関係が原因で不眠症になりやすい傾向があります。逆に、サバサバした性格で、人間関係で不愉快なことがあっても、ベッドに入ればそんなことはすっかり忘れてしまい、一晩寝たらまったく気にしていないというあっさりした方は、不眠症になることはありません。
性格は変えられないと思い込んではいけません。人間はいつからだって、自分自身を変えることはできます。人間ですから悩みがあるのは当たり前です。しかし、その悩みに睡眠を邪魔されてしまっては、自分が損をするだけでいいことは一つもありません。寝るときは不愉快なことをきれいさっぱりと忘れる、という練習を少しずつやってみてください。こうした頭の切り替えがだんだん上手になってくれば、ストレスが原因で眠れなくなることもなくなり、朝までぐっすり眠れるようになるでしょう。
◎ うつ病の不眠症は、本当に眠れない
不眠症を訴える人の多くは、自分ではよく眠れていないと思っていても、多くの場合に実際はよく眠っているわけですが、これは神経症性の不眠症患者に限った話です。
うつ病性の不眠患者の場合は、本人が眠れないと主張するのに加えて、家族や医師が実際に観察してみると本当に眠れていないのです。短期的に寝ている間も脳は睡眠状態になれず、2~3時間眠るともう目が覚めてしまい、眠れなくなってしまいます。眠気がないから眠れない、というのではなく、眠いのに眠れないという最悪の状態になります。
うつ病性の不眠症の場合、食欲減退、体重減少といった症状が出ます。うつの人は日中変動といって、一日の中でも時間帯によって非常に激しく気分が移り変わります。午前中はずっと低調でどんよりした雰囲気だったのに、夕方くらいから急に人が変わったように明るく活発になる、といった具合です。このように不安定な精神のため、自分の不眠症を深刻に悩み苦しんで、最悪の場合自殺を図ることもあります。
神経症性の不眠症とうつ病性の不眠症を見分けるポイントの一つは、夜中に起きてしまったときの行動です。神経症性の人は、夜中に起きてしまって眠れなくなってしまったことに対して焦り、ひどい場合には普通に寝ているのんきな家族に対して怒りを覚えることがあります。
一方で、うつ病性の場合は、自分が夜中に起きてしまったら、普通に寝ている家族を起こさないように、そっと寝室を離れてひとり静かに夜空を見上げるようなタイプの人です。
神経症の不眠症は、患者本人の睡眠中の映像を見せて実際には眠れていることを理解してもらったり、必要な睡眠時間にこだわらないように考え方を変えてもらうなど、精神的な治療でほとんどが治ってしまいます。
うつ病性の場合は、中枢神経機能がバランスを崩していることが原因なので、薬による治療が必要になります。いわゆる睡眠薬や精神安定剤を投与して睡眠をうながす方法もありますが、うつ病の薬も併用します。不眠症そのものは病気ではなく、うつが引き起こす症状の一つに過ぎません。根本の原因であるうつ病を治療すれば、不眠症も自然に治ることになります。
うつ病性の患者に対しては、厳しい態度で接することは厳禁です。また決して「がんばって」などと励ましてはいけません。周囲は良かれと思ってやったとしても、本人にとっては、「自分は十分にがんばっているのに、これ以上どうやってがんばるんだ」と逆に精神的負担を与えてしまい、最悪の場合は追い詰められて自殺を図るケースがあるからです。
◎ こんな人は不眠症予備軍
眠りに入るのに時間がかかるといった不眠の症状がない人の中にも、不眠症予備軍とも言える人たちがいます。「いつでもどこでも、好きな時に眠れること」を自分の特技として自慢する人がいますが、実はこのような人は不眠症予備軍の代表です。環境が変わっても、時間が昼間であってもすぐに眠りに入れる人というのは、実は単なる睡眠不足が原因なのです。寝つきが良ければ良いほど、睡眠不足の程度が深刻であると言うことができます。
適切な睡眠を確保している健康な人は、昼間に寝てくださいと言われても寝られるものではありません。覚醒と睡眠の正常なサイクルで一日を過ごしている人は、日中は脳が活発に覚醒していますから、いくら部屋を暗くされて横になったとしても、眠れるはずがないのです。
ところが睡眠不足が続いている人や不眠に悩む人は、寝てもいいですよと言われると、イスに座ったままでもあっという間に眠ってしまいます。これは決して自分で睡眠をコントロールしているからできる特技などではなく、重度の睡眠不足のために、体が必然的に眠りを必要としている証拠なのです。
こうした人たちは正常な睡眠サイクルがすっかり乱れてしまっていますから、すぐにでも不眠の症状が出てきても不思議ではありません。自分では認識することはなくても、不眠症予備軍の筆頭に位置づけることができます。どこでも寝られる「特技」を自慢してる場合ではないのです。
予備軍から本格的な不眠症に「格上げ」になることを避けるには、睡眠時間を増やすとともに、規則正しい生活パターンを取り戻して理想的な睡眠サイクルを手に入れることが何よりも大切です。
健康的な眠りを十分にとれている人は、夜ベッドや布団に入ってから眠りに落ちるまでに10分~15分かかるのが正常です。自分はおそらく5分とたたないうちに眠ってしまっていると思う人は、睡眠不足が蓄積していると考えていいでしょう。
◎ 不眠の相談は、どんな病院へ行くべきか
自分は不眠症ではないか、と思ったときには、ひとりで悩んでいても仕方がありません。思い切って専門家に相談してプロの意見を聞けば、精神的な整理ができて安心できます。
それでは、具体的にどのような医師に相談すればいいのでしょうか。大きな規模の病院で、睡眠障害専門の医師がいるところがあるのがベストです。そのような医師が見当たらない場合は、精神科、精神神経科、心療内科でも対応してくれます。これらの診療科が近くにない場合は、まずはなじみのある内科の医師に相談してみましょう。もしそこで解決しない場合は、専門医のいる病院を紹介してもらってください。
病院に行くときには、まずは自分の不眠の状況を医師にうまく説明できるように、よく整理しておきましょう。
「眠れない状況はどのくらいの期間続いているか」
「自分の不眠のタイプは入眠障害、熟睡障害、途中覚醒、早朝覚醒のうちどれだと思うか」
「職場でのストレスや家庭環境の変化など、原因となりそうな思い当たる事情はあるか」
もし言いにくいことがあっても、自分の現状についてできるだけ正直に話してください。なるべく多くの情報を患者から提供したほうが、医師のほうも適切な判断がしやすくなります。
◎ 不眠症の自己診断 - アテネ不眠尺度
自分の不眠の度合いをはかる目安として、世界共通で使われているチェックシートがあります。
アテネ不眠尺度(AIS)
(Soldatos et al.: Journal of Psychosomatic Research 48:555-560, 2000)
アテネ不眠尺度とは、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法です。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、客観的に不眠度を測定できます。
下記のAからHまでの、8つの質問に答えてください。
過去1カ月間に、少なくとも週3回以上経験したものに当てはまるものにチェックしてください。
選択肢の先頭についている点数の合計で結果が診断されます。
A 寝つきは(布団に入ってから眠るまで要する時間)
0 いつも寝つきはよい
1 いつもより少し時間がかかった
2 いつもよりかなり時間がかかった
3 いつもより非常に時間がかかったか、全く眠れなかった
B 夜間、睡眠途中に目が覚めることは?
0 問題になるほどではなかった
1 少し困ることがあった
2 かなり困っている
3 深刻な状態か、全く眠れなかった
C 希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか?
0 そのようなことはなかった
1 少し早かった
2 かなり早かった
3 非常に早かったか、全く眠れなかった
D 総睡眠時間は?
0 十分である
1 少し足りない
2 かなり足りない
3 全く足りないか、全く眠れなかった
E 全体的な睡眠の質は?
0 満足している
1 少し不満
2 かなり不満
3 非常に不満か、全く眠れなかった
F 日中の気分は?
0 いつも通り
1 少しめいった
2 かなりめいった
3 非常にめいった
G 日中の活動について(身体的及び精神的)
0 いつも通り
1 少し低下
2 かなり低下
3 非常に低下
H 日中の眠気について
0 全くない
1 少しある
2 かなりある
3 激しい
・合計得点が4点未満の場合:睡眠障害の心配はありません。
・合計得点が4~5点の場合:不眠症の疑いが少しあります。
⇒できれば医師に相談してください
・合計得点が6点以上の場合:不眠症の疑いがあります。
⇒医師に相談することをお勧めします。
以上、不眠症についてでした。
どうでしたか?
睡眠導入剤等のお薬は、進歩していますので、依存等はあまり心配しないでいいようです。
もし、睡眠について不安が大きければ、医師に相談してみてください。
それにしても、「どこでも眠れる」は重度の睡眠不足とは、知りませんでした。
じゃんじゃん。




最近のコメント